どこよりも早く!2013大学入試センター「物理」の解説!
過去の解説はこちらを御覧ください。
・平成28年度(2016年)今年も当日解きます!センター物理!2016
・平成27年度(2015年) 物理基礎 物理(発展)
・平成26年度(2014年) 物理1
・平成25年度(2013年) 物理1
・平成24年度(2012年) 物理1
第1問
問1
バイオリンの振動数をf1、音叉の振動数440Hz とすると、問題文より
f1 < 440
だということがわかります。次に0.5秒の周期でうなりが聞こえたということで、
1秒あたりに聞こえるうなりの数をf’とすると、
ということがわかります。
よって、440Hzから2を引いた振動数ですから、答えは438Hzとなります。
ポイントは、うなりの公式
1秒間に聞こえるうなりの数 = |f1 − f2|
の左辺が周期ではなく、振動数であるということですね。
ちょっとひねった問題でした。あせるとミスをする可能性があります。
答え 1
問2
海水のエネルギーが電気のエネルギーに変換される時の割合が知りたいという趣旨を読み取ります。
海水のエネルギー(1)と電気のエネルギー(2)を別々に求めていき、
(2)を(1)で割って、割合を出そう!という方針をはじめにたてましょう。
まず簡単な電気エネルギーのほうから見ていきます。
これは1秒あたりで比較することがコツ!!
電力が450Wなので、1秒あたり450Jの電気エネルギーが作られています。
(2) 450J
次に海水の運動エネルギーについてです。
1秒あたりにプロペラにぶつかる海水をひとまとまりのブロックとして考えます。
1秒あたり3000kgの海水がぶつかるので、
図のようにmは3000。また速度は海水の速さが3.6km/hなので、
これをm/sになおしてしようします。
一応単位換算についても丁寧にやってみましょう。
ちょうど1m/sですね。
よって海水の運動エネルギーは、
となります。
(1) 15ooJ
(1)も(2)も1秒あたりのエネルギーで計算しておきましょう。
それでは(2)÷(1)を計算すると、0.3となります。つまり答えは30%です。
答え 3
問3
それぞれの様子を絵にしました。導体なので自由電子が動き回れるのがポイントでしょうか。
Aはマイナス、BとCはプラスに帯電ですね。
はく検電器の実験の応用パターンといったところでしょうか。
学校で一度実験をしている人は、解ける問題です。
正解 3
問4
地面を基準として、等加速度直線運動のAの距離の式、Bの距離の式を作ってみましょう。
Aについて
Bについて
ではまずAが地面に落下する時刻をTAとすると、式1より、
となります。
またBが地面に落下する時刻をTBとすると、
となります。同時に落下することから、TA = TBとなり、そこから速度vについて求めると
となります。これは落ち着けば、ひねりのない、簡単な問題だったかもしれません。
答え 2
問5
これは波の回折についての問題ですね。見るポイントとしては、まず振動数が半分になったので、
波面も半分のものを選びます。すると、選択肢1か2になります。
次に回りこみの様子ですが、回折は波長が大きな波(振動数の小さな波)ほど、広く回り込みます。
よって答えは2番です。
後半の知識に関しては、回折についてよく知る必要がありましたね。
答え 2
問6
方針としては、まず各おもりに対して、力のつり合いから張力TA、TBを求めます。
次に棒に注目をし、TAとTBと長さを使って、
棒のまわりのモーメントのつり合いを考えて、
a/bを求めて行きましょう。
それではまずそれぞれのおもりについて、力のつり合いからTAを求めます。
浮力の公式ρVgをおぼえておきましょう。
力のつり合いより、上向きの力=下向きの力から張力を求めます。
同様にTBについても求めましょう。
それでは次に棒に注目します。回転軸をひもの位置にすると、モーメントのつり合いより、
ここからa/bについてTAとTBを代入して求めていきます。
できましたね。これはオーソドックスな問題で、モーメント、浮力、力のつり合いの組み合わせ問題ですね。
よくあるパターンです。
答え 4
第2問 A
問1
電磁誘導の問題ですね。誘導起電力Vは
で決まります。
よってアのように磁石を強くすれば、Φが大きくなるため、ΔΦ/Δtが大きくなり、電流の量は増えます。
またイのように巻き数を減らせば、Nが小さくなるので誘導起電力も小さくなり、電流の量は減ります。
よって答えは2番ですね。
答え 2
問2
磁石が通り過ぎると、1つのコイルで誘導起電力がどうなるのかを考えてみましょう。
たとえばSが近づいてくるときには、コイルにとってみれば、
磁束がない状態から、↑向きの磁束が増えます。
コイルにはこの↑向きの磁束を打ち消すように、
右手をGoodの形にして、親指を↓に向けましょう。
図のように電流が流れます。
次にSが遠ざかるときを考えてみましょう。
S極が遠ざかるときは、今度はコイルにとって見れば、↑向きの磁束が減るので、
右手をGoodの形にして親指を↑向きに向けて補うようにしましょう。
すると図のように電流が今度は「反対側」に流れます。
よって、通ると正・負と電流の向き(誘導起電力の向き)も変化します。
よって、選択肢3か4が正しいことになります。
次に斜面を滑っている間は等加速度直線運動をするという条件なので、
下にあるコイルBのほうが、ΔΦ/Δtが大きくなります。
つまり大きな誘導起電力となります。
答えは3番。
答え 3
第2問 B
問3
まず回路図にわかっている情報を書き込んでいきましょう。
AB間の電圧が12Vなので、R3には30−12=18(V)の電圧が、またR1にはそのまま30Vがかかります。R1に流れる電流をI1、R2,R3に流れる電流をI2とします。
それぞれの抵抗についてオームの法則より、
準備ができました。それではまず抵抗xを求めます。
1、2よりI1、I2について求めると、
式3に②’を代入しましょう。
また電流計を流れる電流はI1+I2なので、①’、②’より、
となります。
答え 9番:4 , 10番:3
問4
ちょっと難しい問題だと思います。まず先ほどと同じよに、わかっている値を回路図に書き込んでいきます。
ここで、可変抵抗の抵抗値はxに、また電圧をV4にしました。
そうすると、R2にかかる電圧は(30−V4)になります。
オームの法則をそれぞれの抵抗についてたて、P1やP2がほしいため、
まずは求めやすい電流I1について求めます。
P1について求めてみましょう。
電力の公式P = IVをオームの法則で変形し、
それぞれ値を代入します。
すると、可変抵抗xが含まれないため、xを変化させてもP1は一定の15Wであることがわかります。
このことから選択肢は、4〜6番です。
次にI2についてですが、変数xを使って表したいので、②式のV4を③式を使ってI2xに取り替えて、整理していきます。
この形にしたら、電力P2を求めてみましょう。
この式をみると、xを増加させると、分母が増えるため、P2は小さくなることがわかります。
よって、P1は変化しない、P2は減少するので、答えは6番です。
答え 6
第3問 A
問1
今年もでましたね。レンズの問題。
1 これは前に過去問ででましたね。暗くなります。◯
2 ひっくり返ります。 ×
3 反射の法則ではなく、屈折の法則です。 ×
4 虚像は「レンズをのぞいた人しかみえない」のが特徴。虫眼鏡もレンズごしに虫が大きくなりますね。 ×
あれ!?って感じの問題でした。過去問を解いた人、実験を授業でやっている人は楽勝!
逆に知識問題は見たことがないと、どうしようもないところもありますね。
ちょうど授業で生徒に演示実験をしておいてよかったとおもった問題でした。
答え 1
問2
まずはじめの条件から焦点距離が15cmであることがわかります。
ちょうど、ぼくが撮影した写真もありました。こちらも参考にどうぞ。
これらのことから、状況を絵にかくと次のようになります。
あとはレンズの公式を使って、xを求めましょう。
倍率は、その公式から、
となります。レンズの公式さえ知っていればとけましたね。これは楽勝です。
答え 7
第3問 B
問3
一見とっつきにくいですが、音の干渉の問題で経路差を見ていくことがコツです。
まず音の波長を求めておきましょう。
V = f λ
340 = 1700×λ
λ= 0.2(m)
λは0.2(m)です。
次に干渉条件について見て行きましょう。
AOとBOにおいて経路差が0となるのが、BがQの位置にきたときです。
ここで音は大きくなります。さらにBをOに近づけていくと、
音が少しずつ小さくなり、Rから再び大きくなり始めたとかいてあります。
ということは、Rでは「弱めあいの位置」になっていることになります。
また経路差ΔLが0の、となりの弱め合いなので、次の図のように
弱め合いの整数mが0であることがわかります。
このことから、弱め合いの条件式にm=0、λに0.20を入れて計算すると
ΔL=0.10mとなります。
よってORは、
1.2 − 0.1 = 1.1(m)
となります。
答え 4
問4
一見こちらも難しそうですが、計算は必要ありません。
まず選択肢をざっと見ておくことが大切です。
x軸上で動かす場合、経路差が0となる原点では音が強め合い大きくなるはずです。
選択肢を読んで、原点0で大きくなるということから、
④〜⑥に絞ることができます。
またy軸上ではどこに動かしても経路差は0なので音は強め合い大きく聞こえるはずです。
ただし音源が徐々に近づいてくるため、
音は徐々に大きくなっていくはずです。
よって答えは6番です。
これは文章から状況を読み取るのが大変な問題ですね。
読解力がもとめられそうです。
答え 6
第4問 A
問1
これは簡単な問題です。等加速度直線運動の距離の式を使って解いていきましょう。
まず次の図のように、AB区間では糸やバネは気にしないで絵をかきます。
斜面下向きの加速度を求めましょう。重力を分解すると、上の図のように
mgsinθとなります。運動方程式から加速度を求めて、
等加速度直線運動の公式に代入すると次のような式ができあがります。
ここで、xに距離 l(エル)を、tに点Bに達した時の時間をt1として代入します。
t1について求めると答えは、選択肢4番になりますね。
等加速度直線運動の公式や斜面上の物体の運動について勉強していれば、
簡単な問題でした。
答え 4
問2
物体の速さが最大になる場所Cとはどういう条件がなりたつのでしょうか。
イメージしてみましょう。
AからBにかけて物体は糸がたるんでおり、重力mgsinθによって引かれ、
どんどん加速していきます。
そしてBを通り過ぎると、糸がピンと張り、バネが少しずつ伸びていきます。
このため、バネは物体を斜面上方向に引っ張り始め、ブレーキとなります。
ただし、Bを超えた直後ではまだまだ伸びが小さくkxの力がmgsinθよりも小さいため、
物体はまだ下方向に加速していきます。
しかし徐々にxは大きくなり、kxがmgsinθと等しくなると、
もう下方向に加速できなくなります(この状態を「☆」とします)。
さらにCを超えると、今度はkxのほうがmgsinθよりも
大きくなるため、斜面上方向に物体は減速していき、
Dで止まります。
ここでC点の速度が最大ということは、
下向きに加速が起こる最後のときまでとなるので、
「☆」の場所がC点、つまりkxとmgsinθが等しくなっている点が
C点だということがわかります。このことから、C点の条件より、
上の図Bからの距離をxとして、xを求めると、
となります。Aからはかるとl+xになるので、答えは3番です。
この問題に関しては、物理Ⅱの単振動と関連が有り、単振動を学習している生徒は、
わりかし簡単だったかもしれません。
答え 3
問3
このグラフを選ぶ問題は少しむずかしいですね。まずグラフ全体の形を見てみましょう。
A点のエネルギーが最終的なD点では減っている答え(②、④)と、同じになっている答え(①、③)
があるのがわかります。これはエネルギーの保存と関係していそうです。
まずここから考えてみましょう。
この問題では摩擦がないため、力学的エネルギーの和が保存します。
力学的エネルギーの和=運動E+位置E+ばねE
つまり、
運動E+位置E+ばねE=一定
となっているはずです。またこのグラフの縦軸の位置エネルギーの和というのは、
問題文を読むとわかるように、
重力による位置Eと弾性力による位置Eの和
であり、上の式でいえば、
位置E+ばねE
のことをいっています。
A点で手を離したとき、物体は静止していますから、運動エネルギーは0です。
また最下点のDの場所ではやはり物体は一瞬静止しているので、運動エネルギーは0です。
このことから、位置EとばねEの和は、力学的エネルギーの保存から
A点とD点では同じになっていなければいけません。
①か③があやしいことがわかります。
次にグラフの形について見て行きましょう。
AからBの間ではばねは伸びていないため、
単純に位置Eがどんどん減少していき、
そのぶん運動エネルギーに変わっていきます。
位置エネルギーの減少量を計算すると、
となり、グラフはAからBの間では一定の値で減少をしていきます。
これは①も③も同様ですから判別できません。
次にB以降について考えていきます。
B以降では、糸がピンと張り、ばねが伸び始めるので、
ばねEが増加していきます。
つまり位置Eの減少に対して、
ばねEが加えられるので、減少量の直線は緩やかになっていきます。
さらに、Cでは運動Eが最大になるため、その他の位置EとばねEの減少量が最大になります。
よって最低値になります。このことから考えると、Cで最低になっている選択肢1が
正しいことがわかります。
これはDで戻っていること、Cで最低になっていること、2つを見抜く必要がある、
少し難し目の問題でした。
答え 1
第4問 B
問4
これは簡単な問題。動摩擦力を求めるためには垂直抗力Nの値を知ることが必要です。
力をすべて書き、まず力Fを上下左右に分解しましょう。
物体は右側には加速をしていますが、上下方向(y方向)には動いていないので、
力のつり合いより、垂直抗力Nの値がわかります。
そして動摩擦力の公式に代入しましょう。
答えは選択肢2ですね。あせって、N=mgと代入しないところがポイントになります。
答え 2
問5
Pに到達するまでに物体にはたらく水平方向の力は、
Fcosθと摩擦力のfです。
またはじめの力学的エネルギーは0、あとの力学的エネルギーは1/2mv2となります。
これらのことから、エネルギーの保存の式をたてましょう。
はじめの力学的エネルギー + 仕事 = あとの力学的エネルギー
これをvについて解くと、
となります。答えは選択肢6です。簡単な問題でした。
答え 6
問6
物体はOからPにかけて等加速し、PからQにかけては摩擦力のみになるので、
減速(負の等加速運動)をします。
よってx−tグラフは正の二次関数から負の二次関数にうつります。
x−tグラフの傾きは速さを示します。スタート時、傾きが0、
またQのとき傾きが0になるのも大切な情報ですね。
答え 3
第4問 C
問7
絵をかきながら考えてみましょう。
まず①→②の間では、気体は仕事をしています。よって気体が「した」仕事W1は、正の値です。
このときの熱力学第一法則を考えると、
今回の過程が断熱変化で、W1が正なので、結果としてΔUは負となり、
内部エネルギーが減る、つまり温度はさがりることがわかります。よって、
T0 > T1
となるため、答えは選択肢7〜8のどれかです。
次に②→③をみると、気体は仕事を「される」ので、気体の「した」仕事W2は「負」となります。
※ この「した」「された」というのが熱力学第一法則でポイントになります!
このため熱力学第一法則より、ΔU’は正となります。
つまり温度が上がります(次の図②→③をみてください)。
さらに、③で温度がもとのT0に戻るので、
①、②、③を足し合わせて考えると、
ΔUとΔU’の和は0になることがわかります。
このことから、W+W’の和は0であることがわかります。
よって答えは、8番になります。
答え 8
問8
これは少し難しかった。自由膨張という問題で、センター試験では初めて見る問題です。
なぜか熱力学第一法則がすごい突っ込まれている試験内容です。
自由膨張の場合、気体は仕事をしません。
また断熱変化のため、次の式からもわかるように、内部エネルギーの変化は0になります。
Q = ΔU + W
0 = ΔU + 0
このことから温度は変化しません。
よって、T3=T0となります。
次にピストンを押していくと、気体は仕事をされたので、気体のした仕事W4は負となります。
このことから熱力学第一法則を考えると、
内部エネルギーが正、つまり温度があがり、T3よりも大きくなることがわかります。
このことから答えは1番。問題文中に説明はあるものの、自由膨張はなれていないと難しいですね。
答え 1
お疲れ様でした!
いかがでしたか?
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