月: 2025年2月

  • 風船が勝手に動く⁉ 静電気の不思議なチカラを試してみよう🎈(静電気実験)

    風船が勝手に動く⁉ 静電気の不思議なチカラを試してみよう🎈(静電気実験)

    ケン博士
    サイエンストレーナーの桑子研です。このサイトで科学を一緒に楽しみましょう。

     風船をこすったら、髪の毛が逆立ったり、風船自体が壁にくっついたりした経験はありませんか? これは静電気の力によるものです。静電気とは、物と物がこすれ合うことで生じる電気のことで、身近なところでよく見られます。そんな風船を天井からつるすと、静電気の力の影響がよりよく見えます。こちらの動画を見ながら、なぜこんなことが起こるのか考えてみてください。

    風船にどんな力が働いているのか、また、どのような条件でこの現象が起こるのかを調べてみると、静電気の仕組みがより深く理解できるはずです。静電気の性質を活かした実験を通して、電気の世界を探ってみましょう!

    用意するもの

    風船×2、糸、ハンカチまたはタオル

    方法

    1 風船を天井からつるします。

    2 風船をハンカチでこすります。

    3 もう一つの風船をハンカチでこすって、天井からつるされている風船に近づけます。

    4 こすったハンカチを天井からつるされている風船に近づけます。

    5 自分を風船でこすってから、天井からつるされている風船に近づけます。

    仕組み

    物質によって、静電気の起きやすいものがあります。また正と負のどちらになりやすいのかというのが、わかるのがこちらの帯電列です。

    拙著『科学検定3・4級』(講談社、桑子研)

    この表にはありませんが、風船を絹でこすると、風船はマイナスに、絹は+に帯電します。

    こすった風船どうしを近づけると、

    このように退け合います。また逆に絹を近づけてみると…

    このように引かれ合います。つづいて、体を風船でこすって、

    人間に静電気をためてから風船に近づけると…

    このように引き寄せられます。まるでマジックのようです。お家でもぜひやってみてください!

    静電気発生マシーン(バンデグラフ)を使うと、こんな面白い実験が!!

    もっと静電気を起こしたい!そんな時に使うのがバンデグラフです。バンデグラフを使った面白実験を公開しています。この実験は、広瀬すずさん・鈴木亮平さん・やす子さん・チョコレートプラネッツの長田さん・松尾さん等とテレビ番組にて行った実験も含まれます。詳しくはこちらをどうぞ

    電気賞状!沸騰ワード10で広瀬すずさんが体験した静電気実験授業【まとめ】

    ※ なお、静電気発生装置(バンデグラフ)を用いた実験については、必ず専門家の方の立ち合いのもと行ってください。お気をつけてお試しください。また静電気実験に関するご依頼(実験教室やTV監修・出演等)についてはこちらからお願いします

    【特集】やめられなくなる!静電気実験

     

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  • 物体はどう落ちる? 微積でスパッと理解する落下の法則!(物理と微積 第2回)

    物体はどう落ちる? 微積でスパッと理解する落下の法則!(物理と微積 第2回)

    ケン博士
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     前回は、力が働かない場合の運動についてお話ししましたが、今回は「力が働く場合」、特に「落下運動」について、微積分を使って解説していきます。

    「微積なんていらない?」いや、むしろ使ったほうが簡単です!(物理と微積 第1回)

    落下運動と微積分

    私たちが日常で目にする「落下運動」は、重力という一定の力が物体に働くことで起こります。地球上では、重力加速度( g )はほぼ一定で、約9.8 m/s²です。この重力が物体にどのような影響を与えるのか、微積分を使って見ていきましょう。

    1. 速度の導出

    まず、物体に働く力(重力)を考えます。質量を m とすると、重力による力は mg です。この力が物体に加速度を与えます。ニュートンの運動方程式( F = ma )より、加速度 a は次のようになります。

    スクリーンショット 2015-06-06 18.48.50

     

    この式の両辺を時間 t で積分すると、速度 v が求められます。

    スクリーンショット 2015-06-06 18.48.55

    ※Cは積分定数

     

    ここで、積分定数 C は初期条件によって決まります。例えば、時刻 t = 0 での速度を v0とすると、C=v0となり、

    スクリーンショット 2015-06-06 18.49.02

     

    つまり、物体の速度は時間とともに直線的に増加します。前回の等速度運動の式と比べると、速度が時間tの増加とともに、増えていくのがわかりますね。グラフにすると次のような感じになります。

    スクリーンショット 2015-06-06 18.38.52

     このグラフの傾きは、重力加速度gとなります。

    2. 位置の導出

    次に、位置(変位) x を求めてみましょう。速度 v は位置の時間微分なので、

    スクリーンショット 2015-06-06 18.49.08

    この式の両辺を時間 t で積分すると、位置 x が得られます。

    スクリーンショット 2015-06-06 18.49.12

    ※ Cは積分定数

     時刻0のときの位置をx0とすると、C=x0となります。このことから上の式は次のように書くことができます。

    スクリーンショット 2015-06-06 18.49.20

     この式は、物体の位置が時間の二次関数として変化することを示しています。つまり、時間が経つにつれて、物体は加速度的に移動距離を増やしていくのです。グラフにしてみると、次のようになります。

    スクリーンショット 2015-06-06 18.46.02

     微積分を用いることで、力が働く運動、特に重力下での落下運動をより深く理解することができます。速度が時間に対して直線的に増加し、位置が時間の二次関数として変化することがわかりました。次回は、さらに複雑な運動について見ていきましょう。

     なお、このように運動方程式から速度や位置を求める手法を「運動方程式を解く」といいます。微積分を活用することで、物理現象をよりシンプルに理解できるので、ぜひ挑戦してみてください!

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  • マンガで学ぶ原子の世界!原子分野は科学史と一緒に理解しよう

    マンガで学ぶ原子の世界!原子分野は科学史と一緒に理解しよう

    ケン博士
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    原子分野を学ぶなら科学史も一緒に!

    原子の世界はとても不思議で奥が深い。でも、学校で習うと「難しい!」「計算が多い!」と敬遠されがちな分野でもありますよね。そんな原子分野をもっと面白く、そしてスッと理解するためにおすすめしたいのが 「科学史」と一緒に学ぶこと」 です。

    なぜ科学史?と思うかもしれません。でも、原子の研究がどのように進んできたのかを知ることで、「なぜこの考え方が生まれたのか?」がわかり、理解がグッと深まります。

    マンガ おはなし物理学史

    原子分野は「科学史」がポイント!

    たとえば、昔の人は原子についてどう考えていたのでしょう?

    • 紀元前400年ごろ、デモクリトス という哲学者が「物質はこれ以上分けられない最小単位=原子でできている」と考えました。でも、この考えは実験による証拠がなかったため、しばらくの間は受け入れられませんでした。
    • 19世紀になって ドルトン が原子の概念を科学的に確立。さらに トムソン が電子の発見をし、原子はもっと小さな粒でできていることがわかりました。
    • その後 ラザフォード の実験で「原子は中心に小さな核(原子核)があり、その周りを電子が飛んでいる」ことが判明。
    • そして ボーア が電子の軌道を説明し、最終的にはシュレディンガーによる「電子は雲のように存在する」という量子力学の考え方に発展。

    こうして科学者たちの研究が積み重なり、今の「原子のモデル」ができあがったのです。

    生徒におすすめ!マンガで学ぶ物理学史

    「科学史と一緒に学ぶのがいいのはわかったけど、そんな時間ない!」という受験生には、 マンガで読める本 がおすすめです。

    たとえば『マンガ おはなし物理学史』(講談社)は、ニュートンから現代の量子力学までの流れを漫画で学べる1冊。原子分野だけでなく、力学・電磁気学など物理全体の流れがつかめるので、「なぜこんな公式があるのか?」という疑問が解決しやすくなります。

    もちろん、原子分野をマンガで説明するのは難しい部分もあるため、文字が多めのページもありますが、それでも 科学の流れを一気に俯瞰できる という点で大きなメリットがあります。

    「原子の話って難しそう…」と思っている人こそ、この本を読めば 「なるほど!」と思える瞬間 がきっとあるはず。

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  • 波って何者!?シーツと縄で楽しく実験!【スマホで物理 #01】

    波って何者!?シーツと縄で楽しく実験!【スマホで物理 #01】

    ケン博士
    サイエンストレーナーの桑子研です。このサイトで科学を一緒に楽しみましょう。

    スマホで物理

    スマートフォンの画面でもわかりやすい構成を目指して、スマホで物理を学ぶコーナーを連載することにしました。今日はその第一回目、波の性質から見ていきましょう。目次はこちらからどうぞ。

    「なみの1・2・3」目次に戻る

    波の性質

    私たちの身の回りには、波という現象がたくさん存在しています。たとえば、海の波、音、光、さらにはスマートフォンの電波も波の一種です。しかし、これらの波には「物質」とは異なる特殊な性質があります。

    波の動きと性質

    まず、海の波をイメージしてみましょう。海の波は水面にモコモコとした形を作りながら動いています。つい波の形自体が動いているように感じてしまいますが、実は「波の形」と「波を伝えているもの(物質)」は異なる動きをしています。

    「え?どういうこと?」

    では、実験してみましょう!

    実験:波を作ってみよう!

    シーツや縄跳びの縄を用意して、端を持ち、手を上下に素早く動かしてみてください。すると、シーツや縄に波ができ、スーッと右に伝わっていくのがわかるはずです。

    シーツを持って振ってみる!

    ポイント

    • あなたの手が動かしているのはシーツや縄の一部ですが、波の形は前へ進みます。
    • しかし、シーツや縄の各部分は元の位置に戻ってきます。

    この現象こそが「波」の正体です。

    次にシーツの適当な場所に目印となるクリップをつけて、クリップの動きに注目してみてください。お友達にスマートフォンなどで撮影をしてもらうと、より良くわかると思おいます。

    次の図のA()がクリップだと思ってください。もう一度手を上下に振って、1つの波を起こしてみましょう。

    さっきと同じように波ができ、波の形が右方向へと移動していきます。ここで、クリップの動きに注目をしてください。クリップは波の形と一緒に右に動いていきません。クリップは波がくると上から下へと、その場で上下に往復するだけです。また手元の動き()から見てみると、手元()が上下に振動すると波が起こり、順番に波が伝わって、クリップ()に到達。同じようにクリップも上下に振動していることがわかります。

    また次の図を見て下さい。

     カラフルなクリップが描かれています。1つ1つがシーツにつけられたクリップだと思ってください。上から下の方の図へとおっていくと、「波の形」が右側に動いていることがわかります(図では「山」と書いてある盛り上がった部分)。

    次にクリップ1つ1つに注目をしてください。例えば一番左にある赤いクリップは,真ん中から上、真ん中、下、真ん中へと上下に振動していることがわかります(右に動いているわけではありません)。そして山という部分がくると、赤いクリップは上にあがり、その後、青いクリップが上に、そしてオレンジのクリップが上にと、振動が少しずつ隣のクリップに伝わっていくことがわかります。

    波の正体とは?

    波にはその波を伝える物質が必要になります。この物質のことを媒質(ばいしつ)といいます。例えば、海の波の媒質は?

    水分子です。

    また、シーツに起こった波の媒質は?

    シーツを作っている糸です。

     実際に動きの中で波の伝わる様子を見てみましょう。こちらは東京書籍「新編物理基礎」のデジタル教科書の資料編から作成したものです。

     波は「物質そのもの」が移動しているのではなく、「物質が順番に振動することで伝わる現象」なのです。シーツや縄のように、ある一点が動くと、その隣の部分も影響を受け、連鎖的に振動が広がっていきます。

    たとえば、

    • 音の波:空気中の分子が振動しながらエネルギーを伝える。
    • 水の波:水の分子が上下に振動しながら波の形を作る。
    • 光の波:電場と磁場が振動しながら進む(電磁波)。

    このように、波は私たちの生活に欠かせない現象なのです。

    まとめ

    • 波は「物質が運ばれる」のではなく「エネルギーが伝わる現象」である。
    • 物質が順番に振動することで波が伝わる。
    • 波の種類によって、振動の仕方や伝わり方が異なる。

    次の章では、波の種類や、具体的な波の性質についてさらに深掘りしていきましょう!

    続きます。

    これが要石!波でつまずく2つのグラフ【スマホで物理 #02】

    参考

    ・実際に科学部と一緒に作った次の装置を御覧ください。おもちゃのバネを連ねて、そこに振動を起こしてみるというものです。振動が次々に伝わっている様子がわかります。

    奥のほうへと振動が伝わっているのですが、リング一つ一つが奥へと移動をしているわけではなく、リングはその場で振動をしているだけです。

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  • 「微積なんていらない?」いや、むしろ使ったほうが簡単です!(物理と微積 第1回)

    「微積なんていらない?」いや、むしろ使ったほうが簡単です!(物理と微積 第1回)

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    高校物理と微分積分──力と運動の関係を考える

    高校の物理では、基本的に 微分積分(微積)を使わず に学習を進めます。これは数学の進度と合わせるためですが、実は微積を使ったほうがスッキリと理解できる部分も多いのです。

    今回は、「力と運動の関係」に注目しながら、微積を使うことでどのように理解が深まるのかを見ていきましょう。

    等速度運動と微積分

    力が働かないときの運動

    まずは 力がまったく働かない場合 を考えてみましょう。例えばカーリングのストーンが動いている様子などです。

    高校物理では、このとき物体は「等速直線運動をする」と学びます。運動方程式から、

    スクリーンショット 2015-06-05 14.12.43

     力がはたらかないので、右辺は0です。

    スクリーンショット 2015-06-05 14.12.47

     加速度を微分を含む式で表記をすると、

    スクリーンショット 2015-06-05 14.12.51

    これをtで積分をすると、速度vは次のようになります。

    スクリーンショット 2015-06-05 14.12.55

    ※ Cは積分定定数。C’はm/Cが一定なのでC’とおいている。

     時刻0のときの速さをv0とすると

    スクリーンショット 2015-06-05 14.12.59

     となります。よってv=v0となり、力がはたらかない場合、物体は等速度運動をすることが示されましたね。

    等速度運動と距離の式

    v=v0を微分を含む式で表記すると、

    スクリーンショット 2015-06-05 14.13.09

     先ほど同様に、時間tで積分をすると、

    スクリーンショット 2015-06-05 14.13.31

    ※C’’は積分定数

     となります。時刻0のときの位置を初期位置x0とすると、

    スクリーンショット 2015-06-05 14.13.31

     積分定数C’’=x0となり、このことから、

    スクリーンショット 2015-06-05 14.13.40

     となります。これをグラフにすると次ような1次関数になります。傾きが速度v0を示しますね。

    スクリーンショット 2015-06-05 14.13.52

    まとめ

    今回は 「力と運動」 について、微積を使って考えてみました。高校の物理では微積を使わなくても学べますが、実は使ったほうがスッキリ理解できることもあります。次回は重力が働く場合の物体の動きについて考えていきます。

    次の記事はこちら

    物体はどう落ちる? 微積でスパッと理解する落下の法則!(物理と微積 第2回)

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