物体はどう落ちる? 微積でスパッと理解する落下の法則!(物理と微積 第2回)

ケン博士
サイエンストレーナーの桑子研です。このサイトで科学を一緒に楽しみましょう。

 前回は、力が働かない場合の運動についてお話ししましたが、今回は「力が働く場合」、特に「落下運動」について、微積分を使って解説していきます。

「微積なんていらない?」いや、むしろ使ったほうが簡単です!微積と物理の関係(その1)

落下運動と微積分

私たちが日常で目にする「落下運動」は、重力という一定の力が物体に働くことで起こります。地球上では、重力加速度( g )はほぼ一定で、約9.8 m/s²です。この重力が物体にどのような影響を与えるのか、微積分を使って見ていきましょう。

1. 速度の導出

まず、物体に働く力(重力)を考えます。質量を m とすると、重力による力は mg です。この力が物体に加速度を与えます。ニュートンの運動方程式( F = ma )より、加速度 a は次のようになります。

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この式の両辺を時間 t で積分すると、速度 v が求められます。

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※Cは積分定数

 

ここで、積分定数 C は初期条件によって決まります。例えば、時刻 t = 0 での速度を v0とすると、C=v0となり、

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つまり、物体の速度は時間とともに直線的に増加します。前回の等速度運動の式と比べると、速度が時間tの増加とともに、増えていくのがわかりますね。グラフにすると次のような感じになります。

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 このグラフの傾きは、重力加速度gとなります。

2. 位置の導出

次に、位置(変位) x を求めてみましょう。速度 v は位置の時間微分なので、

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この式の両辺を時間 t で積分すると、位置 x が得られます。

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※ Cは積分定数

 時刻0のときの位置をx0とすると、C=x0となります。このことから上の式は次のように書くことができます。

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 この式は、物体の位置が時間の二次関数として変化することを示しています。つまり、時間が経つにつれて、物体は加速度的に移動距離を増やしていくのです。グラフにしてみると、次のようになります。

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 微積分を用いることで、力が働く運動、特に重力下での落下運動をより深く理解することができます。速度が時間に対して直線的に増加し、位置が時間の二次関数として変化することがわかりました。次回は、さらに複雑な運動について見ていきましょう。

 なお、このように運動方程式から速度や位置を求める手法を「運動方程式を解く」といいます。微積分を活用することで、物理現象をよりシンプルに理解できるので、ぜひ挑戦してみてください!

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