ゆらめく飛行機に隠された科学！モビールの「絶妙バランス」の秘密
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
ゆらゆらと揺れるカラフルな飾り、モビール。見ているだけで癒やされますよね。でも、あの絶妙なバランス、どうなっているんだろう？ と思ったことはありませんか？ 実はあのシンプルな姿には、物理学の面白い「秘密」が隠されているんです。
今日は、僕が小学生の頃から夢中になり、大人になってデンマーク製の素敵なモビールを手に入れた体験談とともに、その秘密に迫ってみましょう！
モビールに隠された「てこ」の原理
ぼくは小学生のころ、モビールが好きすぎて手作りを始めました。何個か作ったのですが、なかなか納得の行くものができませんでした。モビールの面白さは、まるでバランスが取れるとは思えないところで、絶妙な均衡（きんこう）を保つことです。風でゆらゆらと揺れる様子は、見ていて飽きませんよね。
実はこれ、理科で習う「てこ」の原理と全く同じなんです。支点（糸で吊るす点）を中心に、左右の「重さ」と「支点からの距離」がうまく釣り合っている状態。小学生の僕が苦戦したのも、この「釣り合い」を見つけるのが難しかったからなんですね。
中学の図工の時間に再び作る機会を得て、その時はじめて納得の行くモビールを作ることができました。
モビール発祥の地・デンマークからのお届けもの
そんなモビール熱を忘れていたのですが、このたびモビール発祥の地とされる、デンマーク製のプラスチック紙モビールを買ってみました。
こちらです。FLENSTED（フレンステッド）のモビールです。 その他にも気球だとか、クジラだとか、いろんなデザインがあるんですよ。
私が買ったのは飛行機のデザインです。
きれいですよね！日本製だと、こんなに素敵な原色のモビールはあまり見かけないかもしれません。北欧デザインならではの色彩感覚ですね。
いざ、組み立て！
早速作ってみました。箱をあけてみると・・・。
すでに紐とバランス部分はできていて、飛行機をパーツに取り付けるだけです。ただ、これが結構難しくて、４個の飛行機を作るのに３０分も費やしてしまいました。細かい作業です。お子さんと作るときは、ぜひ手伝ってあげてください(^^)
完成！飛行機モビールと「モーメントのつり合い」
こんな感じです。
素敵ですよね〜。ちょうどパソコンの上に吊るしてみました。ゆらゆら揺れる姿に癒やされます。
さて、ここからが理科教師の出番です！ このモビールの良いところは、飛行機の重さが全部同じところです。それなのに、なぜちゃんと釣り合うのでしょうか？秘密は、理科でいう「モーメントのつり合い」にあります。難しく聞こえますが、シーソーを思い出してください。体重が違う二人が乗るとき、重い人は支点（真ん中）に近く、軽い人は遠くに座れば釣り合いますよね？
モーメントとは、「（支点からの）距離 × 重さ」で決まる「物体を回転させようとする力」のこと。このモビールでは、支点（糸で吊るされている点）の左右で、この「モーメント」が等しくなっているんです。
一番下の部分を見てみましょう。黄色と緑の飛行機が吊るされています。 ２機の重さは同じです。そして、ちょうど真ん中で吊るされています。つまり「距離」も「重さ」も同じなので、完璧に釣り合っています。
その上は、青い飛行機１機と、先ほどの「黄＋緑の飛行機（合計２機分）」が吊るされています。 今度は、重さが「１機分」と「２機分」で違います。だから、支点の位置が真ん中ではありません。重い「２機分」のほうが支点に近く、軽い「１機分」のほうが支点から遠くなっています。
よく見ると、支点からの距離の比が、重さの逆の比である「２：１」になっているのがわかりますか？ これぞまさしくモーメントのつり合いです！
さらにその上は、赤い飛行機（１機分）と、下の３機（青＋黄＋緑＝３機分）が吊るされています。 だから、支点からの距離の比は・・・もうお分かりですね？ 重さの逆比である「３：１」になっているんです！こうして、一番上の糸まで、すべての階層で「モーメントのつり合い」が計算し尽くされているんですね。勉強になる！ これは理科室にも飾りたい逸品です！
ゆらめきに隠された物理学
いかがでしたか？ ただ美しいだけでなく、物理学の法則がしっかり詰まったデンマーク製のモビール。
風を受けて静かに形を変えるモビールは、「動く彫刻」とも呼ばれます。そのゆらめきの中に、こんな科学が隠されていると思うと、なんだかワクワクしませんか？
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