捨てないで!梱包材が魔法のアイテムに?擦って体にくっつけまくってみよう!(静電気実験)
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験!
「バチッ!」
冬、乾燥した日にドアノブに触れようとした瞬間、指先に走る小さな衝撃。誰もが経験したことのある、あのイヤ〜な静電気。でも、もしその正体を解き明かし、まるで魔法のように自由に操れるとしたら、どうでしょう?
実は、その魔法の杖は、あなたのお家に届いた宅配便の箱の中に隠れているかもしれません。そう、いつもは捨ててしまう「アレ」が、今回は主役です!
捨てないで!梱包材で解き明かす静電気の秘密
冬になるとドアノブで「バチッ」とくる静電気。この現象は、物質同士がこすれ合うことで電気が発生し、溜まることで起こります。そしてこの静電気、実は身近なもので驚くほど簡単に作り出すことができるんです。
今回、科学のヒーローとして登場するのは、商品を優しく守ってくれる梱包材!普段は役目を終えると捨てられがちですが、彼らこそ静電気実験のスター選手なのです!
用意するもの
- 梱包材(プチプチではなく、発泡スチロールシートのようなものがおすすめです)
- 衣服(特にウールのセーターが最強の相棒です!)
実験のやり方:ミクロの世界で起きている電子の大移動!
- 梱包材を、ウールのセーターや絨毯で力強く、10秒ほどゴシゴシとこすります。
- さあ、魔法の準備はOK!こすった梱包材をそーっと壁や自分の顔に近づけてみましょう。
- すると…おお! まるで生きているかのように、梱包材が壁や顔にピタッと吸い寄せられます!
さあ、ここからが面白い!壁だけじゃなく、お子さんが「静電気忍者」に大変身!
なぜ、くっつくの?ミクロの世界をのぞいてみよう!
私たちの身の回りにあるすべての物質は、「原子」という小さな粒からできています。そしてその原子の中には、プラス(+)の電気を持つ「陽子」と、マイナス(ー)の電気を持つ「電子」がいます。
普段はプラスとマイナスが同じ数でバランスを取っているのですが、物質同士をこすり合わせると、一方の物質からもう一方へ、なんと電子くんが引っ越し(移動)をするのです!
物質には、実は電子の引きつけやすさに違いがあります。これを「帯電列」といい、ウールと梱包材(ポリスチレン)の組み合わせは、まさにウールが電子を放出しやすく、梱包材が受け取りやすいという、静電気界のゴールデンコンビ!
ゴシゴシこすることで、ウールのセーターから梱包材へと電子くんたちが大移動!その結果、梱包材はマイナス(ー)の電気をたくさん持つ「帯電」という状態になります。
マイナスに帯電した梱包材を壁に近づけると、今度は壁の中にあるプラス(+)の電気が「お、仲間が来た!」と表面に集まってきます。そして、プラスとマイナスは磁石のように引き合う性質があるので、梱包材は壁にピタッとくっつく、というわけです。これが静電気の力の正体です!
壁だけではありません。人の体にもピタッ!子供たちにつけてあげれば、大喜び間違いなしの「静電気マン」の誕生ですよ!
なぜ、この実験は「冬」がおすすめなの?
「夏に同じことをやっても、うまくいかない…」そう思ったあなた、素晴らしい科学の視点です!その理由は、湿度にあります。
静電気にとって、空気中の水分(湿気)は天敵。せっかく梱包材に集まった電子くんたちを、空気中の水分がどんどん奪い去ってしまうのです。
一方、空気が乾燥している冬は、電子くんたちを邪魔するものが少ないため、電気がたくさん溜まります。だからこそ、冬は静電気実験のベストシーズンなのです!
他にも、髪の毛の下で風船をこすって逆立てる実験も有名ですよね。ぜひ、家にある色々なものをこすって、最強の「静電気ゴールデンコンビ」を探してみてください!
静電気を操る男がお届けしました。
【発展】科学の力で最強の静電気を!バンデグラフの世界
家庭でできる手軽な実験から、科学の世界はさらに奥深く広がっています。
「バンデグラフ」という静電気発生装置を使うと、髪の毛が全部逆立つような、もっとパワフルで面白い実験が可能になります!
実はこれらの実験、広瀬すずさん、鈴木亮平さん、やす子さん、チョコレートプラネッツの長田さん・松尾さんといった豪華な方々と、テレビ番組でご一緒させていただいたものでもあります。
※ なお、静電気発生装置(バンデグラフ)を用いた実験については、必ず専門家の方の立ち合いのもと行ってください。お気をつけてお試しください。また静電気実験に関するご依頼(実験教室やTV監修・出演等)についてはこちらからお願いします。
【特集】やめられなくなる!静電気実験
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