【ビー玉顕微鏡】親子でできる!ビー玉1つとスマホで作る「科学の目」の作り方

桑子研
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

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この写真、なんだと思いますか?

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実はこれ、ビー玉を使って作った顕微鏡で撮影した、私の親指の指紋です。驚くほどはっきりと、指紋の凹凸や筋が見えますよね。

「顕微鏡」と聞くと、なんだか難しそう、特別な装置が必要そう…と感じるかもしれません。しかし、今回ご紹介するのは、たったビー玉1つとスマートフォンだけで作れる、超お手軽な顕微鏡です。このシンプルな顕微鏡、実は科学史に名を残す偉大な発明と深く関わっているのです。

遡ること17世紀。オランダの貿易商であったアントニ・ファン・レーウェンフックは、ガラス玉をレンズのように使って、目に見えない小さな世界を覗き始めました。彼が自作した単式顕微鏡は、現代の高性能な顕微鏡とは比べものになりませんが、当時としては驚くべき高倍率を誇り、微生物や赤血球を発見。彼は「微生物学の父」と呼ばれ、人類の科学的な視点を大きく広げました。

実は、今回作る顕微鏡の仕組みは、このレーウェンフックが使っていた元祖顕微鏡とほぼ同じ。特別な道具は一切使わず、身近な材料だけで科学の歴史を追体験できる、そんなワクワクする実験を始めましょう!

科学のレシピ:身近なものでミクロの世界を覗いてみよう

用意するもの:

  • ビー玉(透明なものがおすすめです)
  • スマートフォン
  • 観察したいもの(指紋、虫、葉っぱなど)
  • 透明なセロテープやプラスチック板など

どれもご家庭で簡単に用意できますね。さっそく、観察を始めてみましょう!

観察方法

見たいもの(例えば虫など)をプレパラートや適当なガラスの上にのせ、透明なセロテープなどで貼り付けます。プレパラートがなければ、透明なプラスチック板でも構いません。透明な板がなくても、自分の指でも大丈夫ですよ!

その上にビー玉をそっと乗せます。

さあ、ビー玉を上から覗いてみてください。目をできるだけビー玉に近づけるのがポイントです。どうでしょうか?肉眼では見えない世界が、目の前に広がって見えませんか?

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指紋がくっきりと拡大されて見えますね!これは、ビー玉という球体のガラスが、まるで凸レンズのように機能しているからです。光がビー玉を通過するときに曲げられる「光の屈折」という現象が起こり、対象物が拡大されて見えるのです。

さらに面白い観察に挑戦!

このビー玉顕微鏡、実はパソコンやテレビの画面を観察するのに最適なんです。ぜひ、試してみてください。例えば、パソコンの画面にある英語の「D」の文字の上にビー玉を置いてみると、

このように見えます。不思議な模様が見えますね。よく見ると、白く光っているように見えた部分は、実は「赤・青・緑」の3つの小さな光の粒で構成されていることがわかります。これら3つの光の粒(これを画素、ピクセルといいます)が1つのブロックとなって、さまざまな色を表現しているのです。

上の図の赤枠で示した「D」を構成する白い文字は、光の三原色である「青・赤・緑」の3つ全てが最大限に光っていることがわかりますね。では、GとDの間にある黒っぽい部分はどうなっているのでしょうか?(緑の枠の部分)

この部分を見てみると、液晶の赤と緑の光がほぼ消えていて、青がうっすらとついていることがわかります。このように、白は全ての画素が光っていて、黒はほぼ全ての光が消えている状態。その他の色は、赤・緑・青の光のバランスで表現されているわけです。

パソコンでRGBの色見本を使って観察してみると、色の組み合わせがどのように見えているのかがよりはっきりとわかって面白いですよ!

参考:RGBと16進数カラーコード(http://www.peko-step.com/tool/tfcolor.html

次に、テレビ画面の白い部分を見てみましょう。

パソコンと同じように、白は赤・青・緑の三色の組み合わせで表現されていますね。

続いて、テレビ画面の赤い部分です。

青と緑が暗くなっていて、赤だけが光っているのがわかりますね。

この他にも、新聞のチラシなどの印刷部分を観察してみるのもおすすめです。印刷物はインクの三原色(CMY)で色が表現されているので、デジタルとはまた違ったミクロの世界を観察することができます。ぜひ、身の回りにある様々なものをビー玉顕微鏡で覗いて、ミクロの世界の謎を探検してみてください!

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