なぜスイートコーンでポップコーンが作れないの?火山・マグマの仕組み(地学)
ポップコーンは、スーパーで売られているスイートコーンでは作れません。実は、ポップコーンができるのは「爆裂種」と呼ばれる特別な種類のトウモロコシです。触ってみると、非常に硬いのがわかります。
爆裂種を加熱すると、内部のやわらかいデンプン質に含まれる水分が熱せられて水蒸気になります。液体から気体になると急激に体積が膨張しますね。この水蒸気によって外に出たい!という圧力が高まり、周囲のかたいデンプン質が一気に破裂することで、ポップコーンが弾けます。実際に自宅でやってみたのでこちらをご覧ください。
こちらはスローで撮った映像だそうです。
内側にみる茶色いものは、実は外側についていた皮だったのですね。内側のでんぷん質が外側に現れているという感じでひっくり返っている感じです。
火山の仕組みポップコーン
実は、この仕組みは火山の噴火ともよく似ています。火山内部のマグマには水分が含まれており、これが熱せられることで水蒸気となります。水蒸気の圧力が高まると、火口から一気に噴き出し、爆発的な噴火が起こります。
身近な食べ物と自然現象を結びつけて考えると、理科がもっと面白くなりますね!ちなみに科学部の実験でポップコーンの様子を観察したことがあります。その時にこちらのジャズポップコーンを買いました。実験室のバーナーで炙りましたが、金網を使って行ったところ無事ポップコーンができました。
炭酸飲料やお餅
これと似た現象として、炭酸水の蓋を開けるとシュワシュワと泡が出ることや、お餅を温めると内部の水分が水蒸気になって膨らむことが挙げられます。
実は、マグマの中でも同じようなことが起こっています。地下深くにあるマグマには、大きな圧力がかかっていて、多くの火山ガス成分(主に水蒸気や二酸化炭素など)が溶け込んでいます。しかし、マグマが地表近くに上がってくると、周囲の圧力が小さくなります。すると、火山ガスはマグマの中に溶けていられなくなり、泡となって発生します。
これは、炭酸飲料の栓を開けたときに、ペットボトル内の圧力が下がり、溶け込んでいた炭酸ガスが泡となって出てくるのと同じ原理です。このガスの発生によってマグマは膨張し、火山の噴火につながることもあるのです。
炭酸飲料と火山の関係、ちょっと意外ですよね?
マグマができる仕組み
地球の表面は、いくつものプレート(岩石の巨大な板)が組み合わさってできています。そして、このプレートはゆっくりと動いており、時にはほかのプレートの下に沈み込むことがあります。
このとき、沈み込むプレートのすぐ上にはマントル(地球の体積の約8割を占める層)があります。マントルは岩石でできていますが、一部は熱によってゆっくりと流れるという特徴があります(固体だけど動く!)。プレートが沈み込むと、マントルもその動きに引きずられ、一緒に沈み込んでしまいます。
しかし、そのままでは空いたスペースができてしまいますよね? すると、それを埋めるように、深い場所から高温のマントルが上昇してくるのです。
引用:『よくわかる火山のしくみ』高橋 正樹 著、誠文堂新光社、2016年
さらに、沈み込んだプレートの表面は、もともと海水にさらされていた部分です。そのため、プレートの中にはたくさんの水が含まれています。この水は沈み込むにつれてプレートから出てきて、周囲のマントルに染み込んでいきます。
ここで重要なのは、水が岩石を溶けやすくする性質を持っていることです。水が加わると、高温のマントルが溶けてマグマになります。マグマとは、地下深くで岩石が熱によってドロドロに溶けた液体のこと。温度は1000℃を超えることもあります。
マグマは周りの岩石よりも軽いため、上へ上へと移動します。そして、地殻を突き破って地表に出てくると、火山の噴火が起こります。こうして、火山が形成されるのです。
つまり、火山の誕生には、プレートの動きとマントルの働きが深く関わっているということですね!
こちらのよくわかる火山のしくみ もご覧ください amazon
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