圧巻の展示に感動!福井恐竜博物館で学ぶ、肉食・草食恐竜の目のひみつ
皆さんは恐竜はお好きですか?私は子どもの頃から大好きで、いつか行ってみたいと思っていた場所がありました。それが、福井県にある福井県立恐竜博物館です。
先日、福井県で実験講習会の講師を務める機会があり、念願叶ってついに訪れることができました。評判が良いとは聞いていましたが、その展示方法の素晴らしさには本当に驚かされました。
まず、エントランスから地下へと続く長いエスカレーターを降りていくと、薄暗い空間に突如として巨大な恐竜の全身骨格が現れます。その迫力と臨場感はまさに圧巻!まるで、タイムスリップして恐竜時代に迷い込んだかのような感覚に陥ります。この「見せ方」に、私はすっかり心を奪われてしまいました。
そして、館内を進んでいくと、理科教師として特に心惹かれた展示がありました。それが、肉食恐竜と草食恐竜の「目のつき方」の違いを解説するコーナーです。
実はこれ、中学校の生物の授業でも学ぶ内容なのですが、本物の骨格標本を前にすると、その違いがより一層鮮明に、そして説得力を持って伝わってくるのです。
この展示では、草食恐竜の代表としてエドモントサウルス、肉食恐竜の代表としてティラノサウルスの骨格が並べて展示されていました。
ティラノサウルスの頭骨をじっくり観察すると、両目が正面についていることがわかります。私たち人間と同じように、2つの目で同じものを見ることで、立体視、つまり奥行きを正確に把握することができます。これは、獲物との距離を正確に測り、狩りを成功させるために非常に重要な特徴です。展示にあった脳のモデルからも、視覚に関連する部分が発達していたことがうかがえます。
ティラノサウルスは嗅球が大型で、嗅覚能力が非常に高かったことが分かっています。
一方、エドモントサウルスの頭骨は、両目が顔の横についています。これにより、視野が広がり、敵がどこから近づいてくるかを素早く察知することができます。しかし、両目で見る範囲が狭いため、立体視は苦手です。これは、獲物を狩る必要のない草食動物が、敵から身を守るために進化した特徴と言えます。
歯のつき方にも特徴がありますね。
🦕 草食恐竜(植物食)
- 歯の形:平たくて刃物のようなギザギザ(鋸歯)がついていることが多い
- 役割:葉や茎をすりつぶす、かみ切る
歯の並び方:顎の両側にたくさん並び、奥歯が発達、すり鉢状や板状に並び、上下で擦り合わせることで繊維をすりつぶす
🦖 肉食恐竜(肉食)
- 歯の形:先が尖っていて、ナイフや包丁のように鋭い
- 役割:肉を引き裂く、捕らえた獲物を逃がさない
歯の並び方:一本一本が離れ気味に生え、前から後ろまでほぼ同じ形、根元がしっかりしていて抜けても生え変わる
普段、教科書でしか見ることのない内容が、巨大な骨格標本を通して目の前に現れると、単なる知識ではなく、生き生きとした「学び」になります。理科の面白さは、身の回りのあらゆる現象や、遠い昔に生きていた生き物たちの中に、私たちが学ぶべき法則や真理を見つけることにあるのだと、改めて感じさせてくれる一日でした。