【監修】最強の重りは「新聞紙」だった!大気圧のパワーで空手チョップに挑戦(サクセス15)

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

みなさんは、テーブルの端から少しはみ出して置いた割り箸を、空手チョップで「パキーン!」と折ることができますか? なんだか痛そうですし、割り箸が飛んでいくだけで折れなさそうですよね。

ところが、その割り箸の上に「新聞紙1枚」を広げてかぶせるだけで、まるで魔法のように、誰でも簡単に折れるようになるんです。

今日は、そんなアッと驚く科学実験をご紹介します。使うのは、新聞紙と割り箸だけ。一見するとペラペラで何の力もなさそうな新聞紙が、なぜか割り箸をテーブルにがっちり固定してしまうのです。

空気の「重さ」が割り箸を押さえつける!

実はこれ、私たちが普段まったく意識していない「大気圧(たいきあつ)」のすさまじい力を利用した、れっきとした科学実験です。「Success15(サクセス15)」(グローバル教育出版)という受験情報誌で、私は「ゆかいな理科教室」という科学コラムを連載しています。12月号では、まさにこの「新聞紙チョップ」の裏技を取り上げました。

では、なぜ新聞紙1枚でこんなことが起きるのでしょうか?

空気は目に見えず、重さも感じにくいですが、実際には私たちのはるか上空から地面まで、空気の柱がぎっしりと積み重なっています。この空気全体の重さが、地面や私たち自身を常に力強く押しているのです。これが大気圧の正体です。

新聞紙を広げると、その広い面積全体を、上から空気が力強く押さえつけます。その力は、なんと1平方メートルあたり約10トンもの重さがかかる力に匹敵します!

普段は新聞紙の下からも空気が同じ力で押し返しているので気づきませんが、割り箸を速くチョップすると、新聞紙は一瞬では持ち上がりません。上の空気に押さえつけられた新聞紙が、巨大な「重り」として働き、割り箸は逃げ場を失って折れてしまうのです。

この実験、見た目のインパクトも抜群で、しかも家にあるもので簡単に試せます。目に見えない空気の力を「実感」できる最高の実験ですので、ぜひお試しください。(※新聞紙はできるだけ大きく広げるのがコツですよ!)なお、詳しい実験の方法や科学的な解説については、こちらの記事にもまとめてあります。

科学マジック!新聞紙1枚で割り箸をへし折る「大気圧パワー」の秘密

今回のコラム記事でも、どうすれば中学生のみなさんに「科学って不思議!」「面白い!」と感じてもらえるか、言葉を選び、表現を工夫してみました。この記事が、みなさんの知的好奇心につながれば、これほど嬉しいことはありません。もしよければご一読ください。

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