イギリスから教材のプロがやってきた!センサーで暴く「目に見えない物理」の正体
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

みなさんは、目に見えない「電気」や「磁気」の動きを、その場でリアルタイムにグラフ化できたら面白いと思いませんか?教科書の中だけの知識が、デジタルセンサーを使うことで、まるで生き物のように画面上で動き出す。そんな魔法のような道具が、今の理科教育の現場を大きく変えようとしています。
今回は、私が愛用しているセンサー機器イージーセンスの開発元であるイギリスから、特別なゲストが会いに来てくれた時のお話をしましょう。
イギリスからの特別なお客様!イージーセンスの社長との出会い
僕が大好きな実験道具の中に、イージーセンスというセンサー機器があります。これは国内ではナリカ社が販売していますが、開発元はイギリスのData Harvest社です。
先日、そのData Harvest社の取締役社長であるSteave Whitley(スティーブ・ホイットリー)さんが来日されました。なんと、私の実験事例をぜひ見たい、そして新製品を紹介したいということで、わざわざ会いに来てくださったのです!

Steave Whitleyさん
言葉の壁を越えて、物理という共通言語で語り合ったこの貴重な経験から、以下の3点についてお伝えします。
① Steaveさんが教えてくれた驚きの電磁気学実験 ② 新製品イージーセンスのここがすごい! ③ びっくりiPhoneアプリ版「イージーセンス」
まさに理科教師として「夢のような時間」を過ごすことができました。
Steaveさんが教えてくれた「電磁気学」の深い世界
私がスティーブさんに披露したのは、電気振動の実験です。コンデンサーとコイルを組み合わせ、ブレッドボード(ハンダ付けなしで回路が組める基板)を使って、電気が行ったり来たりする様子をグラフで見せました。
スティーブさんとは英語で会話しましたが、僕はあまり英語が得意ではないので、身振り手振りのコミュニケーションです。それでも物理の話になると、不思議と通じ合うものがあります。
電気振動のグラフを見せると、スティーブさんはすぐに「Oh!!」と声を上げ、理解してくれました。驚いたことに、彼はこれまでに約700もの実験例を見てきており、そのうち500近くが物理分野だそうです。まさに理科教育のスペシャリストですね。
僕の実験で彼が特に注目したのは、ブレッドボードを使っていた点です。

多くの学校では完成された「ブラックボックス」の装置を使いがちですが、これなら回路の中身が丸見えです。「生徒が自分たちで回路を組めるという点が素晴らしい」と絶賛してくれました。
磁石を落とすだけで見えてくる「物理の法則」
次に、スティーブさんが見せてくれた電磁誘導の実験がとても美しかったので紹介します。コイルの中に磁石をパッと落とし、その時に発生する電圧をイージーセンスで測定します。
(設定は200ms、測定間隔は200μs)
できあがったグラフは、まるで教科書に描かれた図面のように滑らかで、思わずため息が出るほどの美しさでした。

ここでスティーブさんから、本質的な質問が飛び出しました。
「1回目の電圧の山(最大値)より、2回目の山のほうが大きくなっているけれど、これはなぜかな?」
みなさんはわかりますか?生徒からはよく「磁石の片方の極が強いのでは?」という質問が出るそうです。正解は速度にあります。磁石が落ちるにつれて加速するため、後半のほうが磁界の変化が激しくなり、強い電圧が発生するのです。
さらに面白いのは、グラフの面積です。前半と後半の面積を足すと、ちょうどゼロになります。ゆっくり近づく前半は、最大値は低いけれど時間が長くかかります(横に広い面積)。逆に速く遠ざかる後半は、一瞬だけれど最大値が高くなります(縦に長い面積)。
この「入った磁力」と「出た磁力」が等しいという事実が、グラフの面積として可視化される。これこそがデジタル計測の醍醐味ですね!
輪ゴムのねじれが奏でる「電磁気のうなり」
もう一つ、スティーブさんに教えてもらったユニークな実験があります。磁石に輪ゴムをつけ、そのねじれを利用してコイルの近くで回転させるというものです。
実際にやってみると、これが本当に面白い!グラフにうなりのようなパターンが現れるのです。
回転の速さと輪ゴムのねじれる力が組み合わさることで、複雑な電気信号が生まれます。高校の学習範囲を少し超えるかもしれませんが、数式と現象がぴったり重なる瞬間は、理屈抜きにワクワクします。
ちょっとした工夫で、物理の世界はこんなにも表情豊かになります。スティーブさんからいただいた新しいセンサーと、たくさんの刺激。これからも皆さんに「科学って面白い!」と思ってもらえるようなネタを発信していきますね!
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