指が迷子にならない!フレミング左手の法則を「教室の壁」で攻略する裏技
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

みなさんは、中学時代の理科の授業で「左手を不思議な形」にして、あちこちに向けて格闘した記憶はありませんか?
磁石と電気の不思議な関係を解き明かす「フレミング左手の法則」。実は今、教室では中学2年生たちがこの魔法のような、でもちょっと厄介な法則と向き合っています。私たちの暮らしを支えるモーターやスピーカーの仕組みにつながる大切な分野なのですが、実はここには「2次元の紙面」と「3次元の現実」という、大きな壁が立ちはだかっているのです。
3次元空間の表現を紙面から読み取れない
現在、中学2年生は電磁気学について勉強をしています。おそらく多くの大人もおぼえているであろう、右手をグッドの形にする「右ネジの法則」や、左手を鉄砲をもったような形にする「フレミング左手の法則」です。
ただし、やはり二次元の紙面上に、3次元を表現するというのをとらえることがとてもむずかしいようです。そしてそれを説明するのも苦労をしています。例えば次のような問題で、力のはたらく向きを考えるときに、

右手の向きがなかなかできない生徒が多くいます。説明をがんばっても、100%わかった!ということにはなかなかなりません。そして出来ない生徒はイライラしはじめたり、あきらめはじめます。
それは非常にもったいないことです。原因は、図を3次元としてとらえられていないという点にあります。例えば、本来は直角に交わっているはずの軸が、図面上では斜めに描かれているために、ここの角度が45°に見えてしまっているのです。

本当はy軸は奥行き(奥)を向いているから、ここは90°なのですが、それが図から読み取れない。そして、その感覚的なズレを言葉で説明するのが、ぼくもうまくできません。

だから話が噛み合わないし、左手をうまくあてることができません。パッとわかる生徒もいますが、どうしてもできない生徒もいます。その生徒の理解力不足として片付けて置いていくというのは、教師としての技術不足だと感じていました。
教員として何ができるのか?
その対策として、2つの作戦をたてました。はじめに考えたのが、生徒目線の動画です。それがこちらです。
でも、動画を見ても授業中に理解できないと、生徒は疎外感を感じてしまいますし、諦めてしまう気持ちもわかります。もっと直感的に、誰もが「あ!」と思える伝え方はないだろうか?
生徒の気持ちになって考えてみる
対策の2つ目は、つい最近やってみて大成功したものです。座標軸の名前に、次のような「具体的な場所」を書き加えてみました。

そして、教室の空間そのものを使ってこう指示を出したのです。
「電流が右のほうにあるよね、だから左手をだして中指を右の廊下側に向けて!
次に磁場は奥だよね。人差し指は、前にぼくの方(前に座っている生徒)に向けて!
すると親指はどっちをさしている? … 天井、上だよね!」

これが驚くほど効きました!全ての生徒が納得をしてくれたのです。頭の中の図面と、今自分がいる教室の空間がリンクした瞬間でした。図の意味がようやくつながり、教室のあちこちから「あ〜〜そういうことね!!」という嬉しい声が聞こえてきました。
上・下・左・右・手前・奥+具体的な指示
そうかそうか、「上・下・左・右・手前・奥+具体的な指示」で説明をすればよかったのですね。ぼくも中学生のときは空間図形の断面図が苦手でしたので、苦手な生徒の気持ちはわかっているつもりでしたが、生徒の反応を見ていると、逆に教えられることがたくさんあります。
科学の世界は3次元でできています。それを2次元の教科書に閉じ込めるから難しくなるのであって、もう一度「自分たちのいる世界」に引き戻してあげれば、科学はもっと身近で楽しいものになります。
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