「月金星の満ち欠け実験器KS」活用術:子どもが前のめりになる天体授業の作り方

桑子研
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

月や金星の満ち欠けといった天体の単元は、子どもたちが目で見て直感的に理解するのがなかなか難しいテーマですよね。「なぜ月の形が変わるの?」「金星はなぜ明け方や夕方に見えるの?」といった素朴な疑問に、言葉だけで答えるのは限界があります。そこで今回、ご紹介したいのが、ナリカさんから発売されている「月・金星の満ち欠け実験器KS」です。

私も以前から、どうにかして教室でこれらの現象を分かりやすく再現できないかと考えていましたが、この実験器はまさにその悩みを解決してくれる画期的な教材だと感じました。傘の先にボールが吊るされた独特のデザインは、まるでアイデアの結晶。一見すると手作りもできそうに見えますが、その完成度と使い勝手は、授業の質を格段に向上させてくれること間違いなしです。

「月・金星の満ち欠け実験器KS」を徹底解剖!準備から実践まで

この実験器、一体どんなものが入っているのでしょうか?そして、どうやって使えば、子どもたちが宇宙の神秘を肌で感じられる授業ができるのでしょうか?写真も交えながら、その詳細と授業での活用法をご紹介します!

【準備するもの】

「月・金星の満ち欠け実験器KS」を開封すると、以下のものが入っています。

開けるとこのようなものが入っていました。左側が傘です。

こちらは月や金星になるボールです。傘の先につけます。

こちらは太陽のモデルとなるLED電球です。
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こちらは電球をセットするものです。型番はBLC-60BKZ(amazon)

回転させることが自由にできて固定に便利です。

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【月の満ち欠け実験:準備と手順】

月の満ち欠けの原理は、「月が太陽の光を受けて輝き、地球から見る位置によって光っている部分の見え方が変わる」ことです。この実験器を使えば、その複雑な現象を驚くほどシンプルに、そして分かりやすく再現できます。

  1. 傘を広げる: まず、教室の広めのスペース、できれば中心に傘を広げて置きます。これが、月が地球の周りを公転する軌道を表します。
  2. 月モデルを吊るす: 付属の月モデルボールを、傘の中心から放射状に吊るします。このボールが「月」です。
  3. 太陽を配置: 太陽役のLED電球を傘の外側に配置します。このLEDが、月を照らす「太陽」となります。
  4. 地球役は先生(または生徒)!:準備はこれで完了!いよいよ実験です。先生(または代表の生徒)が地球役となり、傘の中心でゆっくりと回転してみましょう。
  • ポイント1:地球目線で見る! 自分が地球になったつもりで、月のモデルが太陽に照らされている様子を観察します。傘の中心で回転すると、月に当たる太陽の光の角度が変わり、私たちから見える月の形が刻々と変化していくのがわかります。「これが満月!」「あ、ここが新月か!」「これは三日月だ!」と、子どもたちからは感嘆の声が上がること間違いなしです。

  • ポイント2:天文学的な位置関係を学ぶ! この実験を通じて、新月は太陽と地球の間に月がある状態(地球からは月が照らされていない面を見ている)、満月は地球から見て太陽の反対側に月がある状態(月全体が太陽に照らされている面を見ている)など、各月の形と太陽・地球・月の位置関係が視覚的に理解できます。

【金星の満ち欠けと見え方:準備と手順】

金星も月と同じように満ち欠けしますが、見え方には大きな違いがあります。金星は地球よりも太陽に近い軌道を公転しているため、地球からは金星の大きさや見える位置(明け方や夕方)も変化して見えます

  1. 太陽を中央に: 月の実験とは異なり、金星の実験では太陽役のLED電球を傘の中心に取り付けます
  2. 地球役は先生(または生徒)!:生徒が地球役となり、傘の外側から金星モデルを観察します。

  • ポイント1:大きさと満ち欠けを同時に観察! 金星が地球に近づくほど大きく見え、遠ざかるほど小さく見えることがわかります。また、月と同様に太陽に照らされた部分の見え方が変わり、金星にも満ち欠けがあることが確認できます。
  • ポイント2:明けの明星・宵の明星の謎を解き明かす! 金星が太陽の光を受けて輝く様子を観察することで、なぜ金星が明け方(東の空)や夕方(西の空)にしか見えないのか、その理由が感覚的に理解できます。金星が太陽の向こう側にある時や、太陽と地球の間にある時は、太陽の明るさで隠れて見えないことがよく分かります。

手作りとの比較:製品版の魅力とは?

「これなら手作りもできるのでは?」そう思われた先生もいるかもしれません。確かに、傘やボール、電球などを組み合わせて自作することも可能でしょう。しかし、この「月・金星の満ち欠け実験器KS」は、単なる材料の組み合わせ以上の**「質の高さ」「使いやすさ」**が追求されています。

  • 完成度の高さ: ボールの取り付けやすさ、傘の安定性、電球の固定方法など、細部にわたる工夫がされています。授業中に「あれ、うまくいかない…」といったトラブルが格段に減ります。
  • 時間の節約: 自作する手間や時間を考えれば、すぐに授業で使える完成品であることは大きなメリットです。忙しい先生方にとって、これは非常にありがたい点ではないでしょうか。

少しお値段は張りますが、理科の授業や科学クラブ活動で繰り返し活用することを考えれば、その価値は十分にあると感じました。

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