安全に実験をするためにライデン瓶の性能を調べてみる(静電気実験)

ケン博士
サイエンストレーナーの桑子研です。このサイトで科学を一緒に楽しみましょう。

プラスチックコップで作った #ライデン瓶 の電気容量を調べてみました

今回は、そんな静電気を自分でためて放電できる「ライデン瓶」の安全性について調べてみました。

1 ライデン瓶(古)

まずは、数年前に作った古いライデン瓶。見た目からして、ちょっとくたびれています。アルミホイルも少しボロボロ。年月の重みを感じますね…。この古いライデン瓶の電気容量を測ってみると、**182pF(ピコファラド)**でした。

2 ライデン瓶(新)

続いて、新しく作ったピカピカのライデン瓶!見た目はほぼ同じサイズ。でも、なんと電気容量は419pFと、倍以上の数値!なぜそんなに違うのか?アルミホイルの貼り方の丁寧さや、コップの表面の状態なんかが影響しているのかもしれませんね。ものづくりって、こういうところに面白さがある!

電気エネルギーを計算してみよう!

さて、静電気って、電圧がめちゃくちゃ高いんです。ライデン瓶にためられる静電気は、およそ**10,000ボルト(V)**くらい。これを使って、どれくらいの電気エネルギーがたまるのか、計算してみました。

ライデン瓶(古)

およそ9mJ(ミリジュール)

ライデン瓶(新)

およそ20mJ

ちなみに、「楽しい実験で終わらせるための安全な静電エネルギー」は、だいたい20mJ程度とされています。つまり、古いライデン瓶も新しいライデン瓶も、どちらも実験にはちょうどいいエネルギー量だということがわかりました!

※1 左巻健男、滝川洋二『たのしくわかる物理実験辞典』(東京書籍,1988)

「商用交流で2mA、1秒程度なら絶対安全」を1つの拠り所として教育的なパルス電撃のエネルギー限界を求めてみると、

人体の抵抗を5kΩとすると、

W=Pt=(2×10^(-3))^2×5000=0.02J=20mJ

となる。

実際に人体に電流が流れた時、2mA程度だと、チクチクするくらいです。なお大人と子供、男子と女子で違うことに注意が必要です。またその日の湿度などのコンディションにも左右されるので、必ず教員等が実験をして安全なレベルを確かめてから、行うのが良いですね。

田中隆二・市川健二『産業安全研究所安全資料RIIS-SD-70-1』(労働省産業安全研究所)(※1)より

#感電体験 をする実験をするときには、ペースメーカーをいれている生徒や外傷などの怪我をしている生徒を除くなどの注意の他、電気容量にも気をつけたいものです。

静電気発生マシーン(バンデグラフ)を使うと、こんな面白い実験が!!

バンデグラフを使った面白実験も公開しています。この実験は、広瀬すずさん・鈴木亮平さん・やす子さん・チョコレートプラネッツの長田さん・松尾さん等とテレビ番組にて行った実験も含まれます。詳しくはこちらをどうぞ

※ なお、静電気発生装置(バンデグラフ)を用いた実験については、必ず専門家の方の立ち合いのもと行ってください。お気をつけてお試しください。また静電気実験に関するご依頼(実験教室やTV監修・出演等)についてはこちらからお願いします

【特集】やめられなくなる!静電気実験

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