回転しないモーター!?親子で手作りする「リニアモーターバー」の科学レシピ
自由研究でも使える、リニアモーターカーの原動力がわかる
工作実験の紹介です。
これぞ未来の乗り物!“回転しない”不思議なリニアモーターを家で手作りしよう
皆さんは、電車が「回転」する車輪で走るのに対し、「浮上」して走るリニアモーターカーの仕組みをご存知ですか?日本の技術の結晶ともいえるリニアモーターカーは、最高時速600kmを超える驚異的なスピードで走りますが、その原理は私たちの身近な“あの力”を使っています。
一般的なモーターが、電気の力で軸を「回転」させて動力を生み出すのに対し、リニアモーターは「リニア(直線)」の名前の通り、回転せずにまっすぐな動きを生み出します。まるで魔法のように、静かに、そして力強く動くこの仕組みは、子供たちの好奇心を刺激するのにぴったりです。
今回は、そんなリニアモーターの原理を、たった5つの道具で再現できる簡単な実験をご紹介します。お家で手に入るアルミホイルと磁石を使って、親子で一緒に「見えない力」の不思議を体感してみませんか?
リニアモーター「バー」を作ってみよう!
この実験では、アルミ箔で作った細い棒(バー)が、磁石の上を驚くほどの速さで滑り出します。
科学のレシピ:
- アルミはく
- フェライト磁石 ×10個以上(100円ショップで手に入ります)
- 下敷き
- 両面テープ
- はさみ
- 乾電池(手回し発電機でもOK)
実験手順:
① 磁石を下敷きに貼り付ける
下敷きに両面テープを貼り、S極を上にして磁石を一直線に並べてつけていきます。
何個でも良いですが、10個以上をおすすめ!
② 下敷きをひっくり返して、アルミ箔のレールを両脇にはりつけていきます。
アルミ箔を太さ1cmほどの帯状に2本切ります。下敷きをひっくり返して、磁石の張り付いた面を下にして机におきます。レールを直線に並んだの真上をはさむように置き、両サイドを両面テープで止めます。
③ 「バー」を作る
ボールペンの芯などを使って直径0.5mm、長さ5cmほどの(厳密にこの大きさでなくてかまいません)アルミ箔のパイプを作ります。
クルっと巻きます!
④ レールの上に「バー」を置いて電流を流す。
レールの上にアルミパイプをおいて、レールに電流を流してみましょう。
結果:なぜ「バー」が動くの?
1.5Vの電池1本でも構いません。電流を流すと、なんとバーがすごい速さで動き始めます!手回し発電機を使えば、手で回す速さに合わせてバーが滑り出す様子も楽しめます。
そして面白いのが、電池の向きを変えると、バーの動く方向も逆になること。まるで、私たちの操作に合わせてバーが意思を持っているかのようです。
この不思議な動きの正体は、「電磁力」です。電流が流れるアルミ箔(バー)が、磁石の作った磁場の中に入ることで、電磁力という力がはたらきます。この力がバーを磁石の列に沿って一直線に押し出すので、バーは回転せずにまっすぐ進むのです。電池の向きを変えると電流の向きが変わり、それに伴って力の向きも逆になるため、バーは反対方向に動くのですね。
いかがでしたでしょうか。うまくいかない場合は、磁石を増やしたり、アルミ箔のパイプを軽くしたり、いろいろと工夫してみてください。この「リニアモーターバー」を一周させて走らせるにはどうすればいいかなど、親子で一緒に考えてみるのも楽しいですよ。ぜひ、ご家庭で未来の乗り物の不思議を体験してみてくださいね!
いかがでしたでしょうか。なかなか動かない場合には適宜調整をしてみてくださいね(^^)。棒を1周回すためにはどうすればいいのか?などいろいろと工夫をしてみてください。
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