3万ボルトを撃ち込め!ドハマりしたハイテク実験器具「帯電ガン」の威力と仕組み

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

「静電気」と聞くと、冬のバチッ!という痛いアレを思い浮かべませんか?実はこの静電気、科学の世界では驚くほどパワフルで、エンターテイメント性にも富んだ現象なんです!特に、授業や自由研究で生徒たちの「なんで!?」という好奇心を引き出すには、視覚的にインパクトのある実験が欠かせません。

私は特別なアイテムを手にしました。その名も「帯電ガン」!理科好きの血が騒ぎ、実際にその恐るべき威力を目の当たりにし、思わず購入してしまったほどです。今回は、このハイテクな「帯電ガン」を体験ベースでご紹介し、静電気の面白さを再発見していただきます。

番組で使用したのはこちらの帯電ガン


💡 科学の魔法!「帯電ガン」で何ができるの?

帯電ガンは、その名の通り、物体に大量の静電気(電荷)を一瞬でチャージするための特殊な装置です。まるでSF映画の小道具のようですが、科学の授業で大活躍するんです。

◆ 準備するもの(実験に安全に臨むために)

  • 帯電ガン(できればプラス・マイナス両方あると、電荷の極性の違いを実験できます)
  • カツラ(髪の毛を逆立たせる、視覚的に最も面白い実験用です)
  • 雷電瓶(ライデンびんとも呼ばれ、静電気を貯め、火花放電を可視化する古典的な器具です)
  • 絶縁マット(安全のために必須です)
  • ゴム手袋や安全メガネ(生徒さんの安全確保用です)

⚡ 3万ボルト!? 帯電ガンの驚異的なメカニズムと威力

番組で使用されたのは、こちらの高性能な帯電ガンです。グリーンテクノさんの製品で、Amazonや楽天でも手に入ります。

【例:アズワン(AS ONE) コロナ帯電ガン GC90-N】

アマゾン楽天でも売られていますが、流石に研究・教育用ということもあり、お値段は高めですね。

使い方は非常にシンプルで、帯電させたい対象物に向けてレバーをひくだけです。電圧調整も可能で、人体実験(もちろん安全な範囲で!)をする場合は、30kV(3万ボルト)くらいに設定して発射します。髪の毛がふわりと逆立つ様子は、生徒たちの目がキラキラ輝くこと間違いなしです!プラスとマイナスの帯電ガンがあり、同じ電荷は反発し、異なる電荷は引き合うという静電気の基本法則を、視覚的に示す実験の幅も広がります。

🔍 帯電ガンとバンデグラフの違いとは?

静電気の実験装置として有名なものに「バンデグラフ起電機」があります。これは摩擦帯電を利用して電荷を溜める仕組みですが、帯電ガンはそれとは異なり、「コロナ放電」という現象を利用して、電荷を対象に直接飛ばす構造になっています。つまり、摩擦という手間をかけずに、ピンポイントで強力な静電気を与えることができる、より直接的なアプローチなのです。詳しい仕組みはメーカーのHPなどでも確認できます。

🚀 性能と価格で選ぶ!代替案とマニアックな購入品

学校での使用や個人的な実験用に、もう少し手軽なモデルもあります。

◆ 代替案:電池式帯電ガン(GC25B)

電圧は固定(2.5万ボルト)ですが、携帯可能で価格も抑えめ。これでも十分に、髪の毛を逆立たせたり、軽いものを引き寄せたりする実験で活用可能です。→ グリーンテクノHPにて紹介あり。そして、私は静電気の魅力に抗えず、さらに強力な5万ボルト出力(GC50S-N)のもの(16万円)まで購入してしまいました(もちろん家族には内緒ですよ)。それがこちらです。

【例:帯電ガンGC50S-N】 価格:183,495円(税込)

amazon 帯電ガンGC50S-N

楽天 帯電ガンGC50S-N


✨ 実際に試してみた!帯電ガンが生み出す「科学現象」

グリーンテクノのH Pにて、帯電ガンを利用した実験動画集も公開されていましたが、私も実際に色々な実験を行ってみました。

カツラの髪が逆立つ様子:静電気の反発力を視覚的に捉えることができます。

雷電瓶に電荷を貯めてみる実験:昔ながらの蓄電器に、現代のハイテク機器で電荷を注入する、科学の歴史を感じる実験です。

雷電瓶として使用したコップは、次の画像の左側の小さなものです。自分で触って「感電実験」(もちろん安全に配慮しています)をしてみましたが、この小さなサイズでも十分すぎるほどの電荷が貯まりました。これは容量を大きくしすぎない方が安全だと感じました。右側のアルミを減らしたバージョンだと、貯まる電荷が少なくなるため、子供に触ってもらう実験ではこちらの方が安全かもしれません。

こちらがその静電気を溜めた時の様子です。バチッ!と火花放電が見えますね。雷(稲妻)も巨大な放電現象ですから、小さな雷を人工的に作り出していると考えると、ロマンがあります。

これらの実験は、授業でのちょっとした演出や、静電気の単元(電荷、放電、摩擦帯電など)の導入にぴったりです。生徒たちの「なんで!?」を引き出し、科学への興味を深めるための、非常に有効な教材だと感じました。特に、電荷の「移動」や「極性」の違いを、生徒の皆さんに視覚的に印象づけることができる場面で、帯電ガンは大きな力を発揮します。授業や自由研究のアクセントに、帯電ガン、かなりおすすめです!

実際に実験をしてみました。こちらは帯電ガンでカツラの髪の毛が経つ様子です。またこちらはお手製雷電ビンに貯めてみた様子です。


💡 合わせて知りたい!静電気発生マシーン(バンデグラフ)の面白実験

帯電ガンとは少し仕組みが異なる、静電気発生装置(バンデグラフ)を使った面白実験も公開しています。この実験は、広瀬すずさん・鈴木亮平さん・やす子さん・チョコレートプラネッツの長田さん・松尾さん等とテレビ番組にて行った実験も含まれています。静電気の奥深さを感じていただけるはずです。

詳しくはこちらをどうぞ

※ なお、静電気発生装置(バンデグラフ)を用いた実験については、必ず専門家の方の立ち合いのもと行ってください。安全に十分お気をつけてお試しください。また静電気実験に関するご依頼(実験教室やTV監修・出演等)についてはこちらからお願いします

【特集】やめられなくなる!静電気実験

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