ゾウもキリンもいない動物園!? 伊豆「iZoo」で知る爬虫類の奥深き世界
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
皆さん、「動物園」と聞くと、どんな光景を思い浮かべますか?大きな象、首の長いキリン、よちよち歩くペンギン…。きっと、そんな人気者たちが集う場所を想像しますよね。
先日、私は伊豆にある動物園「iZoo(イズー)」に行ってきました。名前の通り伊豆にあるからiZoo。正直、訪れるまでは「まあ、普通の動物園かな」くらいに思っていました。
しかし、これがいい意味で期待を裏切る、すごい動物園だったのです。
ゾウやキリンは「いません」!?
iZooの何がすごいのか? まず驚くべきことに、この動物園には象も、キリンも、ペンギンも、パンダも、ライオンも、チーターも、フラミンゴも、いません(笑)。一匹たりとも、いません。
「え、じゃあ何がいるの?」と思いますよね。 実は、iZooは爬虫類や両生類を専門にした、日本でも非常に珍しい動物園なのです。
まるで恐竜? イグアナの世界
園内に入ると、まずイグアナの種類の多さに圧倒されます。それこそ何十種類もいるのです。 こんなにたくさんのイグアナを一度に見たのは、私も初めての体験でした。


これはもう恐竜だ!
この迫力、まさに「生きた恐竜」と呼びたくなりますよね。 でも、理科教師として少し補足を。実はイグアナは恐竜の直接の子孫ではありません。恐竜(鳥類を除く)は約6600万年前に絶滅してしまいましたが、イグアナやトカゲ、ヘビの仲間(有鱗目)は、それよりもずっと前から存在し、絶滅を乗り越えてきた「大先輩」なのです。太古の地球から続く生命のたくましさを感じさせられます。
足元に注意! ゾウガメとの触れ合い
イグアナだけでなく、カメも何十種類と展示されています。 そして、ここでの一番の驚きは、その展示方法です。
なんと、通路にはおがくずのようなものが敷き詰められ、その上を巨大なゾウガメが“普通に”歩いているのです!

右がぼくの手。ゾウガメは腕と甲羅の付け根あたりをとんとんと叩くと、 立ち上がる習性があるんだとか。叩いたら、首が伸びて立ち上がりました。 なんだこの習性!
もちろん、ゾウガメに触ったり、エサをあげたりすることもできます。 ただ、本当に普通に歩いているので、他の展示に見とれていると、足元のゾウガメに躓きそうになるほど…(笑)。こんなに近い距離で彼らの生活を体感できる動物園は、他にないでしょう。
虹色に輝くヘビの秘密
ヘビのコレクションも圧巻です。 猛毒を持つハブやマムシはもちろんですが、私が特に目を奪われたのは、その「色」の多様性です。
漆黒に黒光りするもの、神々しいほど真っ白なもの、そして、ウロコがピカピカと虹色に輝いているものまで。

この虹色の輝き、実は「色」ではないことを知っていますか? これは「構造色(こうぞうしょく)」と呼ばれる現象です。ウロコの表面にある目に見えないほど細かな溝や層が、光を複雑に反射・干渉させることで、特定の色(この場合は虹色)が強く見えるのです。CDやシャボン玉が虹色に見えるのと同じ原理ですね。生物の体が持つ、驚くべき仕組みです。

角があるのわかりますか?
衝撃! ゴキブリタワーの真実
順路の最後のほうには、アリンコ(アリ)の展示や、思わず二度見してしまうゴキブリタワーという、ぞっとするような展示物もありました。ゴキブリタワー……。 これは、一本の木に、数え切れないほどのゴキブリがビッシリと張り付いている展示物です。 さすがに写真を載せるのはためらわれますね…。
おすすめはしませんが、怖いもの見たさで興味のある人は、こちらを御覧ください。
よく見ると木がざわざわと動いているように見えましたが、 それらがすべてゴキブリでした(^^;)
多くの人にとって、ゴキブリは「害虫」の代表格かもしれません。しかし、彼らもまた、地球の生態系においては「分解者」として重要な役割を担っている生物の一員です。…とはいえ、あの光景は強烈でした。
まとめ
iZooは、私たちが普段「動物園」という言葉から連想するイメージを、見事に覆してくれる場所でした。 「かわいい」や「かっこいい」だけではない、「驚き」や「不思議」、そして「生命の多様性」を肌で感じることができます。
生物の面白さ、奥深さに触れたい方、ぜひ一度訪れてみてください!
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