誰が握りつぶしている? ペットボトルが「ベコン!」とへこむ科学の謎(大気圧)

桑子研
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

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※ この実験は『大人のための高校物理復習帳』(講談社)と連携をとったものです。

家にあるペットボトルが、誰も触っていないのに「ベコン!」と音を立てて潰れていく不思議な現象を見たことはありますか?

まるで誰かが握りつぶしたかのように、ペットボトルが変形していく様子は、大人から見てもとても不思議に感じられますよね。実はこれ、特別なトリックでも、魔法でもありません。私たちの身の回りに常に存在している「ある力」によって引き起こされる、れっきとした科学の現象なのです。

今回は、ご家庭で簡単にできるこのペットボトル実験を通して、子どもたちの探究心をくすぐりながら、「大気圧」という科学の面白い概念を一緒に学んでみましょう。難しい道具は一切不要!親子で一緒に実験することで、驚きと学びを共有できる、素敵な体験になること間違いなしです。

「誰が潰したの?」ペットボトルがへこむ不思議な実験

【用意するもの】

・ペットボトル(500ml〜1L程度がおすすめです)

・お湯(沸騰直後の熱々のお湯を用意してください)

【実験の仕方】

まず、空のペットボトルを用意します。

沸騰させたばかりの熱々のお湯をペットボトルに少しだけ入れます。(ペットボトルの底が隠れる程度で十分です。やけどには十分に注意し、必ず保護者の方が行ってください。)

ペットボトルのフタを閉めて、軽く振ります。そして、すぐにフタを開けてお湯を捨てます。

お湯を捨てた直後に、素早くフタをしっかりと閉めます。

そのまま机の上に置いて、しばらくペットボトルの様子を観察してみましょう。

なんとも不思議!ペットボトルが誰もさわってもいないのに、突然潰れていく様子を確認することができます。

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これが突然・・・ベコン!

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いったい誰がこのペットボトルを潰しているのでしょうか?

しばらくすると、ペットボトルが「ベコン!ベコン!」と音を立てながら、内側にへこんでいくのがわかるはずです。まるで誰かに握りつぶされているみたいで、子どもたちはきっと目を丸くして驚きますよ!

🔍科学のタネ明かし!怪奇現象の犯人は「大気圧」だった!

この不思議な現象の犯人は、ズバリ「大気圧」です。一体どういうことなのか、順を追って解説しましょう。

ステップ1:熱いお湯でペットボトルの中の空気を追い出す

熱いお湯を入れると、ペットボトルの中の空気は温められて膨張します。さらに、お湯が水蒸気となり、ペットボトルの中は水蒸気でいっぱいになります。このとき、熱くなった空気と水蒸気の一部が、フタを開けた瞬間に外へと逃げていきます。

ステップ2:フタを閉めるとペットボトルの中の圧力が下がる

お湯を捨てた後、すぐにフタを閉めると、ペットボトルの中にはまだ高温の水蒸気が残っています。しかし、時間が経つにつれて水蒸気は冷やされ、再び液体(水)に戻ります。この「気体から液体への変化」の際に、体積が大幅に小さくなるため、ペットボトルの中の圧力は急激に下がってしまうのです。

ステップ3:外側からの力に耐えられず潰れる

私たちの周りには、常に「大気圧」という力がはたらいています。これは、空気の重さによって生じる圧力で、ペットボトルの外側からは常にこの大気圧が押し続けています。しかし、ペットボトルの中の圧力が下がってしまうと、内外のバランスが崩れ、外側からの大気圧に耐えきれなくなり、ペットボトルは潰れてしまうのです。

この現象は、山に持っていくとパンパンに膨らむお菓子の袋とは逆の原理です。大気圧や圧力、熱運動、状態変化など、様々な理科の要素が詰まっています。ぜひ、この実験をきっかけに、お子さんと一緒に科学の面白さを探求してみてください!

・『大人のための高校物理復習帳』(講談社)』特設サイトはこちら

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