授業中に全員成功!クリップモーター作りのコツ(プラスチックダンボールを使った実践)
今日は、クリップモーターの作り方を紹介します。普通の方法だと成功率が低いですが、「プラスチックダンボール」を使うことで簡単に作れる方法を紹介します。なおこの方法は、小森栄治先生に教えていただきました。
クリップモーターとは?
クリップモーターは、乾電池とエナメル線を使って作る簡単な電動モーターです。エナメル線をコイル状に巻き、電流を流すことで磁場が生まれ、磁石と反応して回転します。
コイルの巻き方が成功のカギ!
一般的な巻き方では、中学生の半数以上が成功できません。その理由は、
- 両サイドの棒が一直線にならないと回らない。
- 均等な円形のコイルを作るのが難しい。
ここで「プラスチックダンボール」の登場です!
クリップと単一電池はこのような感じです。
実際に回してみた映像です。
科学のレシピ
クリップモーターというと、乾電池などに巻いて作るもので、こんな巻き方が一般的だと思います。
でも実際にこの巻き方で作ってみると、中学生だと半分以上が成功できない。
それもそのはず、大人でも結構難しいんです。とくに両サイドの棒のところが一直線にならなければいけないのですが、これがなかなか調整できない。全ては巻き方の難しさにあります。そこで「プラスチックダンボール」をつかって巻き方の補助をします。
プラスチックダンボールを使うと、 ✅ コイルの形が整いやすい! ✅ 長さが短くなるので経済的! ✅ 調整しやすくなる!
という良いことづくしです。エナメル線は約45cm使用し、太さは直径0.5mmのものを選びました。この太さがあると、しっかりしたモーターが作れます。
エナメル線は、だいたい45cmくらいの長さ使います。太さは直径φは0.5mmのものを使用しました。この太さだとしっかりしたモーターを作ることができます。
それではまず巻き方から見ていきましょう。プラスチックダンボールをこのように切り取ります。
ここからの作り方は動画にまとめました。
長さとしては2.5cm、縦は横から見て穴が3つあるようにしてカットします。この真中にまず導線を通して先を5cmほど出しておきましょう。
あとは図に沿って通していきましょう。最後に少し引っ張りながら形を整えて、余分な導線をカットします。
導線についてはやすりをつかって片方はすべてはぎます。もう片方は上半分をはぎます。根本までしっかりとはぎましょう。
図は、グレーの部分がはいだ部分です。クリップは次のようにまげて、
こんな形にして乾電池にとりつけてください。
磁石を乾電池にはりつけたら出来上がりです。このようにして載せてみましょう。
少し勢いをつけると、くるくると回り始めます。
いかがでしたか?ぜひ自宅でも作ってみてくださいね。
エナメル線を全部剥ぐと何が起こるのか?
① コイルの傾きと磁界の向きがちょうど同じとき(0°のとき)、クリップモーターに流れる電流と磁石の作る磁界によって相互作用が起こり、力が働きます。反時計回りにコイルが回転します。
※ プラダンクリップモーターはもう少し巻くのですが、この図はわかりやすいように1回しか巻いていません。
② 90°まわると、両端に力がはたらきコイルを押し広げようとする力となり、回転の力にはなりません。
③ 180°回ると、整流子がない場合には、電流の向きとの関係から、時計回りの力となり、モータは回転しません。
整流子を作るとどうなるか?
そこで、手前のエナメル線だけ、上部のメッキを剥がさないでおきます(次の図の黄色)
①’ 0°のときクリップについている下の部分を通して電流が流れます。
②’ 90°になっても、下部がクリップに支えられているため電流が流れます。
③’ 180°まわると、メッキ部分が下部になり、電流が流れなくなります。そのため、コイルは反時計周りの回転が続き、①’へと戻ります。
以上です。いかがでしたでしょうか。クリップモーターは、電流と磁石の力を使ったシンプルなモーターですが、成功させるにはコイルの巻き方が重要です。プラスチックダンボールを活用すれば、形を整えやすく、より成功率が上がります。理科の知識を活かしてものづくりを楽しんでみましょう!
実際にはコイルの形だけプリントにつけておき、生徒に導線部分と電流の流れの関係を書かせていくと良いのかなと思っています。不格好ですが素材を提供します。もしよければお使いください。
科学のネタ帳について
科学の不思議やおもしろさをもっと身近に!自宅でできる楽しい科学実験や、そのコツをわかりやすくまとめています。いろいろ検索してみてください!
・運営者・桑子研についてはこちら
・各種ご依頼(執筆・講演・実験教室・TV監修・出演など)はこちら
・記事の更新情報はXで配信中! フォローして最新情報をチェック