教科書の一歩先へ!位置エネルギーと仕事の関係を確かめる実験(高さ・質量と仕事の関係 中3・高1)
【中学校理科】位置エネルギーと仕事を実感するレール実験
中学理科で「位置エネルギー」や「仕事」という言葉を教えるとき、どうやって実感させるかは、毎年悩ましいところです。教科書には杭打ち装置を使った実験が載っていますが、なかなか扱いが難しかったり、手間がかかったりしますよね。今回はそんな「難しいけど大事」な単元に対して、レールとボールを使って簡単にできて、しかもデータが綺麗に出やすい実験を紹介します。
「質量が違うとどうなる?」「高さが違うとどうなる?」といった問いに真正面から応えられる内容です。シンプルな構成ながらも、位置エネルギーが仕事として伝わっていることを視覚的・数値的にとらえられるのが、この実験の最大のポイントです。
■準備物とセット方法
•滑らかな傾斜レール・配線ケーブルを使って作成
• 質量の異なる3種類のボール(ビー玉、小さな鉄球、鉛球など)
• 電池(単2)× 複数(荷物として使用)
• 包含紙(位置エネルギーの測定基準として使用)
• ものさし、テープ、記録用紙(ワークシート)
• Googleスライドによる注意点の共有(任意)
■手順とポイント
1. 転がす前に、球の中心の高さを測定します。
包含紙などを垂直に立てておき、斜面上でボールの位置が正確にわかるようにします。
2. 高さ設定は、5cm・10cm・15cm・20cmの4段階。
このとき、生徒がしっかり「目線を下げて」「腰を屈めて」「手を離す」ことがとても大事です。位置エネルギー=質量×重力加速度×高さ ですから、スタートの高さを正確にしないと意味がなくなります。
3. 電池を斜面下に置いて「荷物」として使います。
ボールが電池をどれだけ押し出せたか、その移動距離を測ることで「した仕事の大きさ」を捉えることができます。
実験の様子
■実験結果の例と考察
これは別の生徒の実験結果例です。
生徒の取り組んだ実験結果をもとに、以下の2つのグラフを描かせてみました:
• 高さと電池の移動距離の関係
• ボールの質量と電池の移動距離の関係
グラフにしてみると、高さが大きいほど仕事が大きくなり、質量が大きいほど同様に影響を与えるという、美しい傾向が見られました。左側が電池の移動距離と高さの関係、右が電池の移動距離とボールの質量の関係です。
生徒たちも、教科書にある「位置エネルギー」や「仕事」という言葉が、こうやってグラフに見えることで、かなり納得した様子でした。
■使用したワークシート
生徒用の記録・考察用ワークシートも用意しています。
ちょっとした工夫と手間で、抽象的になりがちな力学の授業が、ぐっと「見える化」され、楽しくなる。そんな実験です。ぜひお試しを!
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