実験キット不要!身近な道具で「力学的エネルギー保存」を体感(中3・高校物理)

桑子研
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

身近な道具で挑戦!「力学的エネルギーの保存」が体感できる実験

力学的エネルギーの保存って、言葉ではわかっていても、実感としては「なんとなくそうなのかな?」という生徒も多いですよね。特に中学校の教科書では「力学的エネルギーが保存される」といった記述はあっても、具体的な実験の紹介が少ないのが現状です。実験を通して、自分の目で“エネルギーの変化”を観察できれば、学びの実感がぐっと深まります。

高校の教科書でよく出てくる「自由落下」や「振り子」の実験も、慣れていない中学生には少しハードルが高い場合があります。特に振り子は、振幅を一定にするコツや、糸の長さ・摩擦の影響など、ちょっとしたテクニックが必要ですよね。

そこで今回は、実験キットなし、しかも身の回りの道具でできる簡単な方法をご紹介します。「振り子の実験」を応用しつつ、力学的エネルギーの保存の概念を体感できる実験です。準備から考察まで、授業でそのまま使える内容です!

■ 用意するもの

生徒たちにも「えっ、これで実験できるの!?」と驚かれるはず。準備物はこちら:

• スーパーボール
• 画鋲
• 紐
• 割り箸
• 包含紙をハードケースに入れたもの(または厚紙でも可)
• DVDケース(台座として使用)

どれも特別なものではなく、理科室や家庭でもすぐにそろう道具ばかりです。

準備と実験方法

1. 割り箸に紐を通して振り子を作成
→ 紐は割り箸の中央から垂れるように設置。振れ幅が安定しやすくなります。

2. ボールがちょうどセンサー(今回は目視や定規)を通るように、糸の長さを調整
→ 振れた瞬間の高さが読み取りやすくなります。

3. 方眼紙を背景に立てる
→ スーパーボールの下端を目印に高さを測ります。正確なデータをとるための重要ポイントです。

■ 実験例:落差とエネルギーの関係

今回は、落差を変えながら次の4条件で測定しました(生徒が実施):

有効数字の計算が出てきます。

方眼紙を用いることで視認性が向上し、生徒たちのデータの正確さも格段にアップしました。

■ 考察と指導のポイント

• 有効数字の扱いを復習しつつ、結果の精度を考えさせることができます。
• 「力学的エネルギーは保存されていると言えるか?」という問いかけを通じて、エネルギーの定性的・定量的理解を促しましょう。
• なぜ落差3cmのときだけズレが大きかったのか?
→ 初期条件や測定誤差の可能性、摩擦や空気抵抗の影響など、多面的な見方を促すのに絶好の題材です。

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