公園のシーソーに隠された物理法則!体重が違っても遊べるワケ【シーソーと仕事の原理】
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
公園に遊びに行くと、ゆらゆらと揺れるシーソーが目に入ります。誰かと一緒に乗って、上がったり下がったり。とても楽しい遊具ですよね。

でも、不思議に思ったことはありませんか? 例えば、お父さんと小さな子供。体重は全然違うはずなのに、どうして一緒に遊べるのでしょうか? もし体重が重いお父さんがグンと下がったまま動かなかったら、楽しくありませんよね。実は、あのシーソーには、大人と子供が一緒に楽しむための「科学のヒミツ」が隠されています。
シーソーで学ぶ「てこの原理」
このシーソーの最大のポイントは、乗る位置を前後に調節できることです。この工夫こそが、体重差を乗り越えるカギ=「てこの原理」を体験させてくれるのです。てこの原理とは、簡単に言えば「おもさ × 支点からの距離」のバランスです。シーソーの真ん中、動かない部分が「支点」です。 支点から見て、左右の「おもさ × 距離」の値が同じになれば、シーソーは釣り合います。

つまり、体重が重い人(おもさが大きい)は支点に近く座り(距離を短くする)、体重が軽い人(おもさが小さい)は支点から遠く座る(距離を長くする)ことで、重さが違っても釣り合うことができるのです。
古代ギリシャの科学者アルキメデスは「我に支点を与えよ、さらば地球をも動かさん」という言葉を残したと言われています。てこを使えば、小さな力で非常に重いものも動かせる(持ち上げられる)という、この原理のすごさを表した言葉ですね。
大きく動く?小さく動く?「仕事の原理」
では、釣り合ったシーソーを動かす時はどうでしょう? 体重が軽い人は、大きく上がったり下がったりしますよね。逆に、体重が重い人は、少ししか動きません。ここに、もう一つの大切な科学法則、「仕事の原理」が隠されています。
物理の世界でいう「仕事」とは、「力 × 動かした距離」で計算されます。 シーソーを動かすとき、体重が軽い人は「小さな力」で済みますが、そのかわり「長い距離」を動かなければなりません。 一方、体重が重い人は「大きな力」が必要ですが、「短い距離」動くだけで済みます。てこ(シーソー)のような道具を使うと、動かす力は小さくできますが、その分、動かす距離が長くなってしまいます。結局、力と距離をかけ合わせた「仕事」の総量は変わらないのです。世の中、うまくできていますね。
シーソーは、こうした「てこの原理」や「仕事の原理」といった物理法則を、頭ではなく体で感じることができる、とても優れた科学教材です。ぜひ今度公園に行ったら、座る位置を変えながら「どこなら釣り合うかな?」「どれくらい動くかな?」と、科学の目で観察してみてください!
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