お弁当容器がキーホルダーに!プラ板は買わなくても出来た!(プラスチックの性質)
「プラスチック」と聞いて、何を思い浮かべられますでしょうか?プラスチックは私たちの生活に深く浸透し、もはやなくてはならない存在となっていますが、実は奥深い科学が詰まった宝庫です。生徒たちにとって身近な存在であるからこそ、その「なぜ?」を深掘りし、科学的な視点から世界を捉えるきっかけを与えることができるのではないでしょうか。
今回のテーマは単なる遊び道具のように思えるプラバンです。なんとお弁当のパックやおにぎりパックなどもプラ板と同じ素材でできてるため、温めると、元の板状の形態に変化します!
その変形には高分子化学の魅力的な世界が隠されています。熱を加えることで劇的に変化するその姿は、生徒たちの驚きと感動を引き出し、科学への興味を一層深める絶好の機会となるでしょう。ナリカサイエンスアカデミーで小森栄治先生から学んだ貴重な知見も交えながら、明日からの授業にすぐに取り入れられるヒントをお届けします。
プラスチックのふしぎ!おうちで楽しむプラバン科学実験
こんにちは!今日は「プラスチックの性質」に注目した実験遊びをご紹介します。中学校の授業でも登場するテーマですが、これを楽しく実験に変えちゃいましょう!今回の主役は、みなさんご存じ「プラバン」です。
プラスチックといえば…?
プラスチックの中でも「ポリスチレン(PS)」という素材は、熱を加えることでやわらかくなり、加工がしやすい性質があります。これは、ポリスチレンを構成する高分子鎖が、熱によって分子運動が活発になり、動きやすくなるためです。身近な例だと、お弁当の容器やプラバンがこれにあたります。実はお弁当の容器はプラ板と同じ素材なんです。ということはあたためてみると…。何が起こるのでしょうか。
科学のレシピ:プラバンでキーホルダーを作ろう!
用意するもの
- ポリスチレン(プラスチック製)のおにぎり入れ(100円ショップや文房具店で購入可能、PSマークがついています)これはセリアで買いました。
- トースター
- アルミホイル(またはクッキングシート)
- 木の板 × 2(ダイソーのMD材がおすすめ)
作り方
- プラバンに絵を描こう おにぎりパックに絵を描いてみましょう。お子さんと一緒に楽しめる工程ですね!
- トースターで温める プラバンをトースターに入れる際、アルミホイルを敷きます。アルミホイルをくしゃくしゃにしてから広げ、その上にプラバンを置くとくっつきにくくなります。これは、アルミホイル表面の凹凸がプラバンとの接触面積を減らし、貼りつきを防ぐ効果があります。
- 熱いうちに木の板でプレス! トースターから取り出したら、すぐに木の板でプラバンを挟みます。ここはスピード勝負!おすすめの板はダイソーのMD材。表面がつるつるしていて、プラバンがくっつきにくい優れものです。
結果は…?
熱を加えたプラバンは、あっという間に元の大きさまで縮みます。これがポリスチレンの「戻る」性質です。これは、ポリスチレンが製造過程で引き伸ばされ、分子鎖が特定の方向に配向しているためです。熱を加えることで分子運動が活発になり、高分子鎖がランダムなコイル状に戻ろうとするため、体積が収縮するのです。この現象は形状記憶の一種とも言えますね。子どもから大人まで、「おおっ!」と声が上がる瞬間です!
こんなに平らになっちゃうんです。
ほかにもコップを使うと、PSマークがついています。こんなペンダントも作れます。
プラスチックの由来は昔は、粘土という意味でした。まさに粘土のようで不思議ですね。簡単で楽しい実験。お子さんと一緒にやってみるのもいいですし、大人もついつい夢中になっちゃうかも!?科学の世界をもっと楽しんでみましょう!
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