スーパーの食材で実験!煮干しで背骨のしくみを観察しよう(ニボシの解剖)
理科の授業でセキツイ動物の背骨の観察をする際に、実際の骨格を見ながら理解を深める方法として「煮干しの解剖」があります。手軽に手に入る煮干しを使い、生徒が自分の手で解剖を行うことで、セキツイ動物の構造を具体的に学ぶことができます。
煮干し解剖のメリット
煮干しは片口鰯(カタクチイワシ)であり、背骨を含めた臓器がそのまま残っています。魚の基本的な体のつくりを観察するのに最適な教材です。さらに、解剖には特別な器具を必要とせず、竹串一本で簡単に作業ができるため、安全に実施できます。費用も比較的安く、スーパーで手に入るため準備もしやすいです。
準備するもの
- 煮干し(大きめのものが観察しやすい)
- 竹串(割り箸やつまようじでも可)
- ピンセット(あると便利)
- ルーペ(細かい部分の観察に)
- 新聞紙またはペーパータオル(作業台の汚れ防止)
- 学習用ワークシート(観察のポイントを整理)
実施手順
- 煮干しを用意する スーパーで販売されているカタクチイワシの煮干しを使用します。大きめのものを選ぶと観察しやすくなります。一袋400円程度で約50匹入りのものを用意すると、1クラス分として十分な量になります。今回用意したカタクチイワシの煮干しはこちら
- 外部形態の観察 まずは煮干しの体のつくりを確認します。頭、胴、尾の区別や、ひれの位置などを観察し、魚類の基本構造を理解させます。
- 竹串で解剖 竹串を使って背中側から優しく穴をあけ、そこから開いていきます。このとき、背骨を傷つけないように慎重に作業します。背骨がはっきりと見えるように広げていき、並行して内臓の観察も行います。
- 観察ポイント
- 背骨の構造:連なった骨の形状を確認する。
- 内臓の位置:エラや消化器官の残りを観察する。
- 筋肉のつき方:煮干しでも、筋肉の配列が確認できる。
- ワークシートに記録 観察した内容をワークシートに記入し、スケッチを描かせることで、理解を深めます。
本物の観察になるので、またいろいろな注目ポイントも多く、例えば背骨の裏側をよくみると、黒赤い線がとっておるのがわかります。これは血管ですね。これを台紙にはってまとめていきました。
この台紙は、「煮干しの解剖資料室」様よりダウンロードすることができます。
素敵な教材ありがとうございます!
またエラとサイハについて、その構造を顕微鏡で観察しました。こちらがエラとサイハです。
上の黄色っぽいのがエラで、しっぽいのがサイハです。サイハでプランクトンをこしとっているのだそうです。サイハについて顕微鏡で見てみましょう。
サイハはさらにトゲトゲした突起物がついていました。
一度お湯で戻すとさらに良い感じに!
次にニボシを10分間熱湯にいれて、やわらかくして胃を取り出しました。ビーカーに熱湯をいれてつけただけですが、こうするだけで、色づいてもきて、より観察しやすくなります。
胃はわかりにくいのですが、こちらです。動画をご覧ください。
ここをめくると
かくれています。
これです。黄土色をしています。これをはさみで半分に切ります。
すると内容物を取り出すことができるので、これをスライドガラスにだして、水を1〜2滴かけてカバーガラスをかぶせて観察します。このとき内容物がばらっとなるように水をかけてから少し楊枝などでつっつくとよいとおもいます。顕微鏡で観察するといました。これは40倍(接眼10、対物10)です。
100倍にすると、
こちらの図鑑で調べたところケンミジジンの一種だと思われます。結構探すのが大変ですが、みつけるとうれしいです。お試しください。なおニボシの解剖については、詳しくはこちらにまとめられています(佐賀市星空学習館)。参考にしてみましょう。
なお、上記のサイトの写真や説明内容は、「煮干しの解剖資料室」様より提供されています。台紙や写真などの資料もダウンロードできるので、すぐに実践できてうれしいですね。
https://www.niboshinokaibou.com/
なお、セキツイ運動のしかたについてはこちらの動画も面白いです。
NHKforSchool 脊椎動物の体の動かし方
https://www2.nhk.or.jp/school/movie/clip.cgi?das_id=D0005301536_00000
実際にやってみた生徒からはこんな感想がありました。
・あんなに小さいイワシにも人間と同じように脊椎や、内臓が揃っているのには驚いた。
・活動をしていて疑問に思ったのは生活場所で分けた際にどちらにいることもあるカバは海か陸かどちらに入るのか知りたいです。
140万種のなかみは、鳥類 が約1万種。魚類 は3万 1000種。ほ乳類 が5500種。両生類 が6500種。は虫類 が8700種となります。
今あげた動物は、すべて脊椎(せきつい)動物で、これらを全部合 わせると6万 2000種になります。
このほかにも、節足(せっそく)動物 110万種、軟体(なんたい)動物 8万5000種、線形(せんけい)動物約2万5000種、刺胞(しほう)動物約1万種など、ものすごくたくさんの種類があるのです。
まとめ
煮干しの解剖は、手軽でありながら実際の骨格を目で見て触れることができる貴重な学習活動です。竹串一本で安全に行え、費用も抑えられるため、理科の授業で取り入れやすい実験の一つです。実際に自分の手で解剖しながら観察することで、生徒の理解度が高まり、より深い学びにつながることでしょう。
お問い合わせ・ご依頼について
科学の不思議やおもしろさをもっと身近に!自宅でできる楽しい科学実験や、そのコツをわかりやすくまとめています。いろいろ検索してみてください!
・運営者・桑子研についてはこちら
・各種ご依頼(執筆・講演・実験教室・TV監修・出演など)はこちら
・記事の更新情報はXで配信中!
科学のネタチャンネルでは実験動画を配信中!