静電気でみんなが踊る!?江戸時代のエンタメ「百人おどし」再現(静電気実験)

ケン博士
静電気大好き!サイエンストレーナーの桑子研です。

「百人おどし」を知っていますか?

「百人おどし」を知っていますか?まずはこちらの動画をご覧ください。これが #百人おどし です。まずはこちらの映像をご覧ください。学校で一度はやったことがある人も多いのではないでしょうか?

百人おどしとは?

江戸時代に #平賀源内 先生が静電気を発生させる装置「エレキテル」を作りました。その後、#橋本宗吉 先生がこのエレキテルを使って「百人おどし」という実験を行っていました。こちらはその当時の資料です。

「百人おどし」とは、みんなで手をつないで輪になり、電気を流す実験です。名前に「百人」とついていますが、必ずしも百人で行うわけではありません。「百」という言葉には「多くの人」という意味があるため、授業では40人ほどで実演しています。

この記事ではその「百人おどし」についての実験方法について紹介します。なおこの実験は、テレビ番組で広瀬すずさんやチョコレートプラネッツの長田さん、松尾さんさんと行ったこともあります。驚きのリアクションを見せてくれました。詳しくはこちらをどうぞ

松尾さんが驚いた様子

江戸時代に百人おどしが流行した理由

なぜ「百人おどし」は江戸で流行したのでしょうか?江戸時代に #平賀源内 先生が静電気を作る装置、「エレキテル(wiki)」を作りました。


『日本の伝記 平賀源内』(集英社)より引用

そのエレキテルを使って、 #橋本宗吉 先生が「百人おどし」という実験を行っていました。

図は橋本宗吉著の『阿蘭陀始制エレキテル究理原』
『大人の科学マガジンvol22』(学研)P24,25より引用

電気なんか人間に流れるの?そう思う人もいるかもしれません。実は人間も電気を流すことは簡単にできます。こちらの記事をご覧ください。

人間にも電流は流れるのか?人間回路で実験してみよう!【ためす君】

でも、江戸時代の文献には日常生活の中で静電気に関する記述がほとんどありません(江戸を専門で研究していたK先生に聞きました)。考えれば、当時の人々は ぞうり を履いていたため、地面に電気を逃がしやすく、体に電気が溜まりにくかったからなのではないかと考えられます。

一方、現代人は ゴム底 の靴を履いているため、電気が体にたまりやすくなっています。そのため、ドアノブに触れたときに「バチッ」となることがよくあります。江戸の人々にとって、エレキテルや百人おどしで静電気を目にしたり、体験したりすることは 非日常のエンターテイメント だったのです。また、一部では「妖術」だと考えられていたこともあるそうです。

必ずしも百人で行うわけではないのですが、百という数字が「多くの人」という意味が合ったと考えられます。授業中では40名などで実演しています。

百人おどしで必須の「#ライデン瓶 」を作ろう!

ライデン瓶とは?

ライデン瓶 は、電気をためることができる装置です。1746年に ライデン大学 の科学者 ピーテル・ファン・ミュッセンブルーク によって発明されました。仕組みは コンデンサー と同じで、2つの向かい合わせた金属の間に電気を溜める構造になっています。

用意するもの

プラスチックのコップ2個、アルミホイル、セロテープ

作り方

1 アルミ箔の上で強く押し付けながらコップを転がして、アルミ箔にあとをつけて、その後をはさみできりましょう。

2 アルミホイルをプラスチックコップの外側の面に巻き付けていきます。同じものを2つ作りましょう。

3 1つのコップにアルミ箔を細長く切りったものを図のように貼り付けます。ベロのようですね。

4 「3」で作ったベロのついた紙コップを内側にして、もう一つのコップを重ねましょう。 これでライデン瓶の完成です!

 

季節によって大きさを変える必要があります(静電気の起こりにくさと関係)

安全面もあるので、何度か実験をしてから行うのがおすすめです。かなり気温が低く乾燥しているのなら、左側、梅雨の時期のコンディションの悪い中行うなら右側(550mLのプラコップ(ミニストップにて購入2024/06/23使用))

なお教材会社ナリカで、ライデンびんが売られているので、こちらを購入しても良いでしょう。

百人おどしの方法とその仕組

下敷きや風船などを絹(雑巾でも可)でこすって静電気を起こしていきます。そしてライデン瓶のベロにこすりつけて、静電気をためていきます。

ベロにこすりつけます。

 このとき内側のコップと外側のコップのアルミ箔は接していないため、内側のコップに電気がたまっていきます。上の例だと下敷きはマイナスに帯電するため、内側のコップにマイナスの電気がたまります。10回以上やると失敗しません。静電気発生装置(バンデグラフ)がもしあれば、一気に溜めるともできます。その場合は、コップをもって #バンデグラフ にこすりつけるようにしましょう。

バンデグラフで静電気をためている様子

内側のアルミ箔のベロを通して、電子の移動が起こり、マイナスの電気が内側のコップに溜まっていきます。また外側のコップにあった電子が地面に逃げていき、結果として+の電気が結果残ります。このためマイナスとプラスが向かい合った状態が生まれます。

 つまり、小型のコンデンサーだと思ってください。

 準備ができたら、友達と手を繋いで、小さな和を作ります最前列の人がコップの外側を持ち、最後尾の人がアルミ箔のベロの部分をそっとさわります。

触れた瞬間、内側のコップにたまったマイナスの電気が、輪になった人々の手を通って、外側のコップへと流れるため、輪の全員に電気が流れて、筋肉が収縮し「ビクッ!」っと全員の体が動きます。

 

3・2・1

キャー!

毎年盛り上がる実験で、普段感じることはなくても、体に電気が流れるということを体感できる良い実験です。ぜひ大勢の友達を集めて、やってみてください!

こちらは失敗をしてしまった時の様子です。

※  静電気発生装置を用いた実験については、必ず専門家の方の立ち合いのもと行ってください。お気をつけてお試しください。また静電気実験に関するご依頼(実験教室やTV監修・出演等)についてはこちらからお願いします

 この実験は、広瀬すずさんとテレビ番組にて行った実験の1つです。詳しくはこちらをどうぞ

電気賞状!沸騰ワード10で広瀬すずさんが体験した静電気実験授業【まとめ】

【特集】やめられなくなる!静電気実験

安全性に関して気になった方はこちらをご覧ください。

安全に実験をするためにライデン瓶の性能を調べてみる(静電気実験)

また #百人ためし の歴史的な経緯については、こちらにまとめました。御覧ください。

静電気の基礎知識と「ライデン瓶・エレキテル・百人おどし」の歴史

※1 TDK「第76回「江戸時代の電磁気実験」の巻」参照 https://www.jp.tdk.com/techmag/ninja/daa00682.htm

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