エ?崩れない!本の世にも奇妙な奇妙な重ね方(落ちそうで落ちない⁉ 本を重ねる物理の秘密)
今日は、「本を絶妙なバランスで重ねるにはどうすればいいか?」を調べてみましょう。
これは高校物理でいう「力のモーメント」、小学校では「輪軸」などの学習内容に関係しています。物のバランスを考えるときに重要なのが「重心」と「回転軸」です。
例えば、2冊の本を重ねるとします。一番上の本を「一冊目」として、落ちないギリギリの位置までずらしてみましょう。
このとき、本の長さをL、重さをWとすると、本が落ちない限界の位置は「重心が回転軸と一致する地点」です。具体的には、1冊目の本の重心は中央(長さLの1/2)にあるため、1/2Lまでならはみ出しても安定します。次に本を3冊にします。
この状態で2冊目の本が倒れないギリギリの場所を探します。例えばある距離xが倒れない場所だとすると、このxでは「力のモーメントがつり合う」ので、
と、このような関係になっているはずです。「力のモーメント」の数式を解くと、
x=1/4Lとなります。これを増やしていくとどうなるでしょう?実は、ある法則に従って無限に積み上げることができるのです!次に4冊の本を用意して同様に考えてみましょう。
次の図より、力のモーメントの関係から、
と、このようになります。これを
解くと、x=1/6Lとなります。
2冊めが1/2L、3冊目が1/4L、4冊目が1/6L と考えると、数列になっているので6冊目は1/8L。7冊目は1/10Lとなるはずですね。
これを繰り返していけば、
というタワーができます。ここまでくると、1冊目は7冊目とくらべて、ほぼほぼ外にはみ出ているような状態です。
面白いですね。実際にやってみると…
本の半分で落ちないのをまず確かめてみました。
5冊に挑戦。ギリギリラインを狙うのが難しいです。
なんとかここまではうまくいきましたが…
力のモーメントをつかって本を積み上げてみましょう。バランスの限界を知ることで、物理の知識を日常に活かすことができます。ぜひ、実験してみてください!