人間にも電流は流れるのか?人間回路で実験してみよう!【ためす君】
鉛筆回路試験器「ためす君」とは?
ぼくがよく使っている実験道具に「 #ためす君 」というものがあります。これは大学時代の先輩で、現在は教材開発会社を経営している「川上さん」が開発したもので、2つのリチウムコイン電池(合計6V)と、 #LED を組み合わせたものです(だから手作りもできますので、家庭でも作れます)。こちらから購入することができます。これを使うといろいろな実験ができます。
人間回路を作ろう
さて突然ですが、人間には電気は流れるのでしょうか。また流れたことを感じることができるのでしょうか?こちらの動画を御覧ください。
いかがでしたでしょうか。ためす君をプラスチックの上にのせても…
光りません。ハサミの金属部分に乗せると、
光りました。片方をプラスチックに乗せると…
光りません。アルミ箔の上に乗せてみました。
光ります。これらのことから、金属には電流が流れるということがわかります。ここからが面白いところ、人間はどうでしょうか。指でもってみると…
光ります!このとき右手、体、左手、と回路ができて微弱な電流が流れるため光っています。しかもまったく痛みは感じません。こんなふうにしても光ります。
これは人差し指、中指のところで回路ができているからです。またアルミ箔で回路を作り、一部をぼくが保管すると、光ります。
これはアルミ箔、一部私の手で回路ができたためです。子供と手をつないでみましたが、これも光ります。
面白いですね。手をはなすともちろんきえます。4人くらいでやってみても光りました。体脂肪計の仕組みなどを生徒に話をするときに、実際に人体に電流が流れているということを伝えるのですが、なかなか実感として伝えることができずにいました。でもこの「ためす君」があれば、また違った反応になりそうですね。
さて、電流が流れているのに、痛みはないのでしょうか。こちらの表を見ると、
田中隆二・市川健二『産業安全研究所安全資料RIIS-SD-70-1』(労働省産業安全研究所)(※1)より
直流の場合ですが、3mAくらいで感じることができるようです。実際にためす君を持った時の電流値を計測してみました。
LEDというと2Vちょっとが適正電圧の場合が多いと思いますが、6Vも加えても大丈夫なのでしょうか。まずはためす君だけでの電流を測定してみると、87mAくらいで、適正電流値を超えていますが、そこまで大きな数字ではないので、壊れてしまうことはありません。
これはボタン電池のリチウムイオン電池を利用しているということから、その内部抵抗の大きさにポイントがあるとのことです。リチウムイオン電池を使うというところがポイントなのですね。
次に自分が回路の一部となって、光らせたときの電流値を測定してみました。すると…
このように20.2μA=0.02mAという結果となりました。これなら壊れないのですが、LEDがこの電流でも光るということに驚きですね。一度電流が流れさえすれば、LEDの特性上、抵抗が小さくなるため、流れ続けると考えられます。
鉛筆回路を作ってみよう
まずは自由に生徒に絵を描いてもらいました。
ここにためす君を乗せてみると、電気が流れてLEDが光ます。
この色を明るくするためにはどうしたらいいのかを考えてもらいました。色々な絵でためす生徒が出てきます。
生徒に聞くと、
・道を短くする
・道を太くする
・道を濃くする
と良いという意見が出てでてました。例えば次のような回路を鉛筆で書いて、ためす君をおいてみると…
このようにためす君が光ります。少しずつ上のほうに上げていくと、
このように、
LED電球が少しずつ明るくひかっていきます。回路が短くなって、抵抗値が下がったためですね。もちろん導体につけると眩しいほどにひかります。
6Vだから適正電圧ではないとおもいますので推奨はできませんが…すごい光。他にも試してみましょう。次に並列回路を作ってみると…
徐々にLED電球が明るくなっていきます。並列回路を組むと抵抗値が下がるということって、公式は覚えていても、意外と多くの生徒がわからないところなんですよね。さらに線を太くしてみました。
このように抵抗値が小さくなって明るく光るように成りました。抵抗値が太いと抵抗値が下がることがわかりますね。
また鉛筆にも電気は流れます。
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