驚きの結果!2つの波が衝突するとどうなるの?【スマホで物理#09】

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波の性質② 波の重ね合わせの原理

ケン博士
サイエンストレーナーの桑子研です。スマホで物理を楽しみましょう。 

#08では素元波について説明しました

今回は2番目の波の性質である「重ね合わせの原理」について見ていきましょう。

同じ大きさのボール(物体)を、お互い投げ合って空中で衝突させてみましょう。2つのボールは空中でぶつかると音をたてて、ポトリとその場に落ちます。ボールの場合と同じように,2つの同じ大きさの波(振幅・位相が同じで速度が逆向きの波)をぶつけるとどうなるのでしょうか。波もボールと同じように、動きを止めたり、消えてしまったりするのでしょうか。

次の図のように、両方から同時に「山」を作って、ぶつけてみると、予想とは違う驚きの結果になります。こちらの動画を御覧ください。

いかがですか?次の動画はデジタルで再現をしたものです。その特徴がよりわかりやすく見ることができます。

ぶつけてみると…

このように、お互いに進んでいた波はぶつかった瞬間、盛り上がって高さが2倍になります。これはとても不思議な現象ですね。ボールがぶつかった瞬間に大きくなった!なんて聞いたことはありません。

ボールなら、こんなことにはなりません!

 そして2つの波はその後、何事も無かったかのように、スーっとそのまますり抜けるように移動します。

次に振幅が同じで位相が逆の波をぶつけてみるとどうなるのでしょうか。上の実験動画を見ると、その様子もよくわかると思います。次の図のように片方から「山」、もう片方から「谷」を作ってぶつけてみましょう。すると…、

2つの波はぶつかった瞬間になんと消えてしまいました!そして消えたのか?と思うと、何事もなかったかのように、「山」は右側に,「谷」は左側に通り抜けていきます。なんと不思議な現象でしょうか。ボールなら、ぶつかった瞬間に消えた!そんなこと起こりえませんね。

ボールが消える!?ありえません。

波の重ね合わせの原理

それではなぜこのようなことが起こるのでしょうか。波を作っている媒質は進行方向に対して垂直(上下)に振動していましたね 。実は波と波がぶつかると、この振動方向にのみが足されると考えることで理解することで、現実に起こったことを理解することができます。

次の図は山と山がぶつかったときの様子についての考え方です。

山と山がぶつかった場合

 左からやってきた波1の「山」上に、右からやってきた波2の「山」が重なることによって、さらに大きな山となります。振幅については、次のように単純な足し算となります(A + A = 2A)。

また次のように左からやってきた波1「山」と、右からやってきた波2「谷」がぶつかったときの様子について見てみましょう。

山と谷がぶつかった場合

 上に振動している媒質が、左からやってきた「谷」によって下の方向に引っ張られるので、媒質は元の位置まで戻り、あたかも波が消えてしまったかのように見えます(A – A = 0)。波がぶつかったときには、媒質の振動方向のみの足し算,引き算が起こります。これを波の重ね合わせの原理といいます。

続きます。

岸辺の波はなぜ怖い?「自由・固定端反射」【スマホで物理#10】

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参考情報

波については拙著も参考にしてみてください。

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