【手作り花火】ヘビ花火を作ろう!まるで生きもの!化学が織りなす『黒い蛇』
夏といえば花火。夜空を彩る華やかな花火もいいですが、今回は一風変わった、そしてまるで生きているかのようにニョロニョロと成長する不思議な花火をご紹介します。その名も「ヘビ花火」。理科の教科書に載っているような実験を、夏休みの自由研究や休日の家族での遊びとして、もっと身近に、もっと面白く体験してもらいたい。そんな思いから、科学部の生徒たちと一緒にオリジナルのヘビ花火作りに挑戦しました。
市販のヘビ花火とは一味違う、この手作りのヘビ花火は、身近な材料を使って化学反応の面白さを体感できるのが最大の魅力です。実験を通して試行錯誤を繰り返し、生徒たちが独自の配合で驚くほど素晴らしい「大蛇」を完成させてくれました。その姿は、まるで魔法のよう!しかも、使う材料は家庭にあるものや薬局で手に入るものばかり。難しい知識は一切不要です。さあ、あなたも一緒に、この不思議なヘビ花火の科学の世界を覗いてみませんか?
用意するもの
砂糖(スクロース) 20g
重曹(炭酸水素ナトリウム) 5g
エタノール 25ml
砂(今回の実験では「鹿沼土」を使用)
バット(耐熱容器なら何でもOK)
「エタノール」にはいくつかの種類があります。アルコール濃度の高い順に「無水エタノール(99.5vol%)」、「エタノール(95.1~96.9%)」、「消毒用エタノール(76.9~81.4%)」の三種類に分類されますが、今回は火がつけばどれでも実験可能です。
実験手順
① 砂糖(25g)と重曹(5g)をエタノール(25g)にいれる。
② 混ぜながらバットの上においてある土が入ったシャーレにいれる。
③ その上にチャッカマンで火を付ける
実際に火をつけてみたのがこちらです。
色々な配合を試した結果、事前に混ぜておいた方がうまくいきやすいことがわかりました。最も成功した写真がこちらです。
まるで生きているかのように、ニョロニョロと花火が成長していく様子は圧巻ですね。他の作品も、もはやアートのようです。
ヘビ花火の科学的な仕組み
実験が終わった後の黒いヘビ(冷めてから触ってください!)は、カサカサしていて、息を吹きかけると簡単に崩れてしまうほど軽いです。この不思議な現象の裏には、簡単な化学反応が隠されています。
1. 砂糖の燃焼と炭化
火を点けると、まずエタノールが燃焼し、その熱で砂糖が溶け始めます。溶けた砂糖は熱によって分解され、水分子が抜けて炭化が進みます。これがヘビの黒い部分の正体です。
2. 重曹の熱分解
同時に、重曹(炭酸水素ナトリウム)も熱によって分解されます。このとき、二酸化炭素のガスが発生します。
2NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + CO2
3. ヘビが伸びる仕組み
溶けて粘り気のある砂糖が、重曹から発生した二酸化炭素の泡でどんどん膨らまされます。二酸化炭素の泡が風船のように砂糖の炭化物(炭)を押し広げながら外へ出ていくため、ニョロニョロと細長いヘビの形に伸びていくのです。この原理は、駄菓子屋さんに売っている「カルメ焼き」と似ていますね!
科学の不思議を体感できるこのヘビ花火、手作りの線香花火と一緒に、今年の夏に挑戦してみてはいかがでしょうか。
手作り線香花火と一緒に夏に挑戦するのも良いかなと思いました。
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