豚の妖怪に変身!?丸底フラスコで作る「巨大水レンズ」の実験
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

妖怪?!イノシシ? いや、ぼくです。
冒頭からお見苦しい姿を見せてしまったかもしれませんが、これは決してふざけているわけではありません。今日は、教室が大盛り上がりした「丸型フラスコを用いた凸レンズの演示実験」についてご紹介します。ただの水が入ったフラスコが、まるで魔法のように景色を変えてしまう。そんな光の不思議を一緒に見ていきましょう。これは先日の授業で行ったのですが、生徒たちに非常にうけがよかった実験です。
科学のレシピ:巨大な「水レンズ」を用意しよう
用意するものは、理科室にある丸型フラスコです。 迫力のある実験にするために、今回は2L(2リットル)という大きなサイズを使いました。ご家庭で試す場合も、できるだけ丸くて大きな容器が良いと思います。

もちろん、ただの空っぽのフラスコでは何も起こりません。ガラスだけでは光を曲げる力が弱いからです。しかし、ここに「水」を入れることで、劇的な変化が起こります。水が入った丸いフラスコは、巨大なボールレンズ、つまり分厚い「凸(とつ)レンズ」の役割を果たすのです。水をいれてみると、

このように景色がひっくり返って写ります。 これは、凸レンズによって光が屈折し、一点で交わった後に再び広がって目に届くために起こる現象です。理科の授業では、これを「実像(じつぞう)」と呼びます。
近づくと巨大な妖怪に!「虚像」の迫力
では、さらに顔を近づけていくと、、、

このように顔が拡大されて、ひっくり返らなくなります。 まるで豚のお化け(西遊記の猪八戒)のようですね。ちょうどフラスコの形によって、なんとも言えない愛嬌のある変顔になったのがよかったです。これは虫眼鏡で文字を拡大して見るのと同じ原理で、「虚像(きょぞう)」といいます。焦点距離の内側に入ると、世界が一変するのです。
ICT活用で「今、起きていること」を共有する
この写真は実際に授業中に生徒に撮影をしてもらったものです。教卓での演示実験は、後ろの席の生徒には見えにくいという課題があります。そこで、AppleTVを使って無線接続をしてiPadからプロジェクタにうつしているため、生徒にiPadを渡して写真にとってもらいました。
クラス全員がこの「変顔」を同時に目撃することで、教室に一体感が生まれます。 教科書の図を見るだけでなく、映像や画像で見せるのでもなくて、リアルタイムで見せることが大切だと思います。「今、目の前で起きている不思議」こそが、学びへの一番の入り口だからです。
お家にある「丸いもの」で試してみよう
自宅ではなかなか実験しにくいかもしれませんが、水栽培などで使う丸い花瓶や金魚鉢などがあればできますので、ぜひお試しください(^^) 「離れると逆さま(実像)」、「近づくとデカっ!(虚像)」というレンズの性質が、きっと体験できるはずです。
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