一見波には見えないけれど…縦波を解き明かす!【スマホで物理 #04】
復習 前回(#03)のまとめ
・波には波長λ、振幅A、速度v、周期T、振動数fの5つの物理量がある。
・振動数fと周期Tには、f=1/Tという関係式がある。 ・波の式v=fλは波の分野の運動方程式のようなもの。必ず覚えておこう。 |
新たな波、現る。縦波?
今まで「波」と単純に説明してきましたが、実は波には2つの種類があります。今まで説明してきた波は「横波」という種類の波です。横波は球場のウェーブと似ていて、
振動の方向が波の移動方向に対して垂直方向(上下方向)になっています。身近にある現象でとてもイメージしやすいと思います。
球場でのウェーブは図のように左隣の人の動きにあわせて、その場で立ったり座ったりする(上下に振動する)ことによって、波の形が進んで行きます。それぞれの人(媒質)が波の形と一緒にダッシュしているわけではありません。
「うおりゃー!」というわけではない。
波にはこのような横波のほかに、縦波という波もあります。運動会で整列した時の様子をイメージみましょう。あなたは一番後ろに並んでいます。ここでイタズラをして、一つ前の友達の背中をいきない、「ドン!」と勢い良く押したとしましょう。
すると押された友人はバランスを崩して、前にいる生徒の背中を押して、バランスを元に戻します。押された生徒は、バランスを崩して、その次の生徒の背中を押します。そして、背中を押された生徒は次の生徒の背中を…というように、順番に「押された」されたということ(情報)が伝わっていきます。これは一見私達が想像する「波」とは違いますが、これを縦波と呼びます。ある一人に注目すると、横波と似ているところが浮かび上がってきます。例えば青い人を見てみると(ある媒質)は、左右に振動をしているだけです。
横波の場合は上下に振動をしているだけでした。縦波はこのように波の伝わる方向に対して、同じ平行に振動をする波です。
では具体的にバネを使って縦波を見てみましょう。こちらの動画を御覧ください。
こちらは実際のバネで行った時の様子です。
ばねをギュっと勢い良く前に押して、すぐに引いて元の位置に戻します。すると、ばねの圧縮された密度の高い部分が次々に伝わっていくのがわかります。
次に、ばねを押したり引いたり振動を繰り返すと、密度の高い部分(「密(みつ)」という)と密度の低い部分(「疎(そ)」という)が伝わっていくのがわかります。
縦波の様子を横波と同じように時間順に並べたのが次の図です。
t=0で黒い媒質が「密」になっており、t=1では「密」の場所が赤い媒質に、t=2では黄色い媒質に・・・、と時間とともに図の密が右に移動しています。また、t=0のピンクの媒質を見ると「疎」となっており、t=1では緑の部分が「疎」と時間とともに図の疎が右に動いて行くのがわかります。縦波は疎密波(そみつは)という別名もあります。
また媒質を見てみると、例えば一番左の黒いリングに注目すると左右に振動をしているだけです。縦波も横波と同じように、媒質自身が疎や密の部分といっしょに動いていくわけではないことがポイントです。
続きます。
波については拙著も参考にしてみてください。
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こちらの動画も参考になると思います。
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