岸辺の波はなぜ怖い?「自由・固定端反射」【スマホで物理#10】
09波の性質③ 反射
#09では波の重ね合わせについて見ていました。2つの波が重なると、上下方向に足し算・引き算が行われるということでしたね。
例)山と山が重なった場合
今回は波の3つ目の特徴である、「反射」について見ていきましょう。石(物体)を壁に向かって投げてみると…石は壁に衝突し、「ガン」と音をたてて、壁の側にポトリと落ちます。場合によっては、石が割れてその場で落ちることもあるでしょう。
では、物体ではなく「波」を壁にぶつけるとどうなるのでしょうか。例えば、お風呂で波を起こして、浴槽の壁に波をぶつけてみましょう。
お風呂で水面に向かってチョップ!波を起こして見る
波は壁にぶつかると、・・・あら不思議!同じスピードで何事も無かったかのように跳ね返ってきます。この現象を波の反射といいます。
赤い線が波面、青い線が波の移動方向
波の場合は、石が壁にぶつかったときのように、壊れたり、消えて無くなったりすることはありません。波ははねかえってきます(実際は少しずつ振幅が小さくなって消えていきます)。
そう思う人もいるでしょうね。しかし物体とは違う大きな特徴として、波には2種類の反射があり、ある反射では返ってくるときに、別の姿をして返ってくることがあります。そんなことゴムボールではありえませんよね。
行きと帰りで違う人になる!?
それでは2つの反射について順番に見ていきましょう。
① そのままの形で返ってくる「自由端反射(じゆうたんはんしゃ)」
壁にぶつかる前の波を「入射波」、反射された波を「反射波」といいます。お風呂の例のように、山は山、谷は谷で、位相が変化せずに跳ね返ってくる反射を自由端反射といいます。自由端反射の様子を動画で見てみましょう。
いかがでしょうか。波の形がそのままの形で返ってくことがわかりますね。
自由端反射を起こすためのポイントは、反射する場所を自由に動けるようにしてあげることです。
少し見えにくいですが、紐付がついています。
このようにしておくと、ヒモが上下に自由に動くことができ、自由端反射を観察することができます。
自由端反射についてシミュレーションでも見てみましょう。
自由端反射では、反射面で振幅が激しくなるのも特徴です。波の振幅がA[m]だとすると、反射面の最大振幅は2A[m]と、2倍にもなります。これも大きな特徴です。台風などの波が高くなっているときに、波際に近寄ってはいけないというのは、これが原因としてあります。見た目の波よりも、波際では高い波となるためです。
② そのままの形で返ってくる「固定端反射」
自由端反射では反射する場所に紐をつけないで、端を固定して動かないようにすると、異なる反射になります。自由端反射のように、ヒモがあると海の波と同じように自由に動くことができますが、
次の写真のように、端をそのまま固定してしまいます。
ヒモではなくて、直接端をスタンドに止めます。
この状態で行った実験動画を御覧ください。
なんと「山」を作って送ると、「谷」になってかえってきます。また逆に「谷」送ると「山」になって返ってきます。
自由端反射と固定端反射の様子について、シミュレーションでも、その様子も見てみましょう。
※ 東京書籍のデジタル教科書についてくる、デジタル教材を使いました。
このように位相が180°ひっくりかえる反射を固定端反射といいます。
様子が180°変わって返ってきた!
また固定端反射の反射面に注目すると、反射面で一瞬振幅が0になっています。
自由端反射とくらべて固定端反射では反射する際に媒質が固定されていて動けないので、変位が変化することができません。これも自由端反射とは違う点ですね。
次回に続きます。
参考情報
波については拙著も参考にしてみてください。
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