ピカチュウ超えの15万Vを体感!静電気発生装置で驚きの放電現象(バンデグラフ)
サイエンストレーナーの桑子研です!このサイトで一緒に科学を楽しみましょう。
冬の乾燥した日、ドアノブに触れた瞬間に「バチッ!」と火花が散って、思わず声が出てしまった経験はありませんか?あの小さな、でも確かに痛い「静電気」。実はあの現象、私たちがよく知る”あの”キャラクターの必殺技と、驚くべき関係があるんです。
そう、ポケットモンスターのピカチュウが放つ「10まんボルト」⚡です!
もし、あのドアノブの「バチッ」が、ピカチュウの技を超えるパワーを秘めているとしたら…?今日は、そんなビリビリッと刺激的で、ちょっぴり痛い(笑)静電気の、奥深くて壮大な世界へ皆さんをご案内します!
静電気発生装置!バンデグラフ!
ピカチュウの必殺技「10万ボルト」はあまりにも有名ですが、実はナリカ製の静電気発生装置(バンデグラフ)が生み出す電圧は、なんと最大15万ボルト!そう、ピカチュウを超えているんです!
そんなバンデグラフを動かして手を近づけてみると、どうなると思いますか?なんと、10cmも離れた場所から、目に見える稲妻が指先めがけて飛んでくるんです。その迫力満点の様子を動画に収めましたので、ぜひご覧ください。
実はこの実験、以前テレビ番組で女優の広瀬すずさんと一緒に行ったものなんです。広瀬さんがバンデグラフにそっと手を近づけて、放電を体験してくれました。(火花が飛びやすいように、手の甲を向けてもらうのがちょっとしたコツです!)詳しくはこちらをどうぞ。
なぜ痛いの?静電気の「ビリッ」の正体
スイッチを切ろうとしたら…もっとすごいものが!?
放電の瞬間、バンデグラフに溜まったマイナスの電気が一気に手を通って足へと流れるため、ピリッとした痛みを感じます。でも、なぜ「痛い」のでしょうか?
実は、私たちの体は普段から微弱な電気信号を使って筋肉を動かしています。脳からの「腕を動かせ!」という指令も、電気信号として神経を伝わって筋肉に届きます。そこに、バンデグラフのような強力な電気が突然流れ込んでくると、筋肉がびっくりして、意思とは関係なくギュッと収縮してしまうのです。この急な筋肉の収縮が、「ビクッ」という動きと不快な「痛み」の正体なんですね。


実際に光を捉えてみると、このような美しい(?)稲妻が走っています。

ちなみにこの後、実験を終えようとスイッチを切ろうとしたら、再び激しい「ビリッ!」が!なんと、スイッチの金属部分にも電気が溜まっていたようです…。とほほ。科学の面白さは、時々予期せぬ形で牙を剥きます(笑)。

【科学的に考察】ピカチュウの10万ボルトは本当に届くのか?
さて、ここで疑問です。ピカチュウの「10まんボルト」は、一体どのくらいの距離まで届くのでしょうか?
現実の世界では、空気を切り裂いて電気が飛ぶ(放電する)には、とてつもないエネルギーが必要です。目安として、空気中で1cm放電するのに約3万ボルトの電圧が必要とされています。これを元に計算すると、我らがバンデグラフの15万ボルトでも、放電距離は約5cm。アニメのように、遠く離れた相手に電撃を飛ばすのは、物理法則的にはかなり難しいようです。ピカチュウが現実の法則に従うなら、相手にタッチできるくらいまで接近しないと、技は当たらないかもしれません。それならパンチの方が早いかも…?
なおドアノブを触って「パチッ」と静電気の痛みを感じる時、人体にはおよそ3,000ボルト以上の電圧が溜まっています。また「パチッ」と音がなり暗闇で光が見える場合: 約5,000ボルト以上という感じです。
これは夏場でも同じです。夏場の方が体に溜まった静電気が空気中の水分を通して自然に放電(逃げていく)されやすく、冬のように静電気が溜まることは稀です。
忘れてはいけないのが「電流」の存在
よく電圧は「電気を押し出す力(滝の高さ)」、電流は「流れる電気の量(滝の水量)」に例えられます。静電気は、電圧は非常に高い(滝が高い)ものの、電流は極めて小さい(水量がチョロチョロ)ため、ピリッとするだけで済みます。しかし、家庭のコンセントの電気は、電圧は100ボルトと低いですが、電流が大きいため非常に危険です。ピカチュウの技が本当に恐ろしいのは、もしかしたらその「電流」の大きさにあるのかもしれませんね。
実験室の火花と、空に輝く「雷」の不思議なつながり
火花放電と雷の不思議
バンデグラフで見せた火花放電。この小さな稲妻を、もっと継続的に観察できるのが誘導コイルです。
実験室の火花放電は、1mあたり300万ボルトという非常に強い電場(でんば)がないと発生しません。ところが、自然界の「雷」は、それよりずっと弱い1mあたり20万ボルトほどの電場で発生すると考えられています。
なぜ、雷はこんなに“燃費良く”放電できるのでしょうか?
実はこの謎、まだ科学的に完全には解明されていません。しかし、有力な説の一つに、はるか宇宙から飛んでくる 「宇宙線」 が関係しているというものがあります。目に見えない小さな宇宙線が空気の分子にぶつかってイオン化させ、電気が流れるための“道”を作ってあげることで、本来よりずっと低い電圧でも雷が発生しやすくなるのではないか、と考えられているのです。
ドアノブの小さな火花から始まった話が、まさか壮大な宇宙の話につながるなんて、ワクワクしませんか?

ちなみに、本物の雷のエネルギーは桁違いです。Wikipediaによると、落雷時の電圧はなんと200万~10億ボルト、電流は1千~50万アンペアにも達するのだとか。ピカチュウの10万ボルトが可愛く思えるほどの、まさに天変地異級のエネルギーですね!
静電気でもっと遊ぼう!
静電気発生マシーン(バンデグラフ)を使うと、こんな面白い実験が!!
バンデグラフを使えば、今日紹介した以外にもたくさんの面白実験ができます。髪の毛が逆立ったり、蛍光灯を光らせたり…!これらの実験の一部は、広瀬すずさん、鈴木亮平さん、やす子さん、チョコレートプラネットのお二人など、多くのタレントさんとテレビ番組でも行いました。詳しくはこちらをどうぞ。

※なお、静電気発生装置(バンデグラフ)を用いた実験については、必ず専門家の方の立ち合いのもと行ってください。お気をつけてお試しください。 また静電気実験に関するご依頼(実験教室やTV監修・出演等)についてはこちらからお願いします。
【特集】やめられなくなる!静電気実験
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