風船で空き缶をお散歩!?静電気のふしぎ実験!(静電気実験)【科学監修】
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
冬の日にセーターを脱いだらパチパチ!下敷きで髪の毛を逆立てて遊んだ思い出…。私たちの身近にあふれる「静電気」。実はこの小さな電気の力で、空き缶をまるで魔法のように操れるって知っていましたか?触れてもいないのに、風船を近づけるだけで空き缶がスルスルと後をついてくる…。まるで風船になついて、お散歩しているみたいですよね。今日は、おうちで簡単にできる、この不思議で楽しい科学マジックをご紹介します!
さあ、魔法の準備をしよう!
用意するものは、ごく身近なものばかり。思い立ったらすぐに実験できますよ。
- 空き缶(アルミ缶など軽いもの)
- 風船
- ハンカチ、タオル、またはティッシュペーパー
実験の方法
- 風船をハンカチなどでよくこすります。これが魔法のエネルギーを溜めるおまじないです!
- 飲み口を横に向けた空き缶を、机など平らな場所に置きます。
- こすった風船を、そっと空き缶に近づけてみましょう。さあ、何が起こるでしょうか?
すごいですよね!空き缶がコトコトと転がって、風船に引き寄せられていきます。これぞ「空き缶のお散歩」です!
なぜ?空き缶が動く魔法のタネ明かし
この魔法の正体は、「静電誘導(せいでんゆうどう)」という科学現象です。少し難しく聞こえるかもしれませんが、空き缶の中で起こっていることを物語のように見ていくと、とても分かりやすいですよ。
- 風船が悪役に変身!?風船をハンカチでこすると、風船はマイナスの電気をたくさんまとった状態(帯電)になります。
- 空き缶の中の電子たちが大慌て!マイナスの電気をまとった風船が近づいてくると、アルミ缶の中にいる「自由電子」(マイナスの電気の粒)たちは、「うわー、マイナスが来たー!」と大慌て。マイナス同士は反発しあう性質があるので、みんなで風船から一番遠い場所へと逃げていきます。
- プラスとマイナスの引き合う力!電子たちが逃げた結果、風船に近い側は電子がいない「プラスの電気」が多い状態になります。マイナスに帯電した風船と、プラスになった空き缶。磁石のN極とS極が引き合うように、お互いに「こっちにおいでよ!」と引き合う力が生まれるのです。
このように、電気を帯びた物体(風船)を近づけると、相手(空き缶)の電気がプラスとマイナスに分かれて、逆の電気が引き寄せられる現象。これが静電誘導です。「『静』かな『電』気が、相手の電気の並び方を『誘』って『導』く」と覚えるとイメージしやすいですね。
アルミ缶のように軽くて丸い形だと、この小さな力でもコトコトと転がることができる、というわけです。ぜひ、ご自宅でもこの科学マジックを試してみてください!(なお、この実験については、『サクセス12』(グローバル教育出版)の3・4月号で「科学マジック仲よしな風船とアルミ缶」という記事の監修も担当させていただきました。)
【発展】もっとすごい静電気の世界!
静電気の力をさらにパワーアップさせると、もっと面白い現象が見られます。静電気発生装置「バンデグラフ」を使った実験では、髪の毛が全部逆立ったり、触れていないのに蛍光灯が光ったり!
この実験は、広瀬すずさん・鈴木亮平さん・やす子さん・チョコレートプラネッツの長田さん・松尾さん等とテレビ番組にて行ったこともあります。その様子はこちらからご覧いただけます。
※ なお、静電気発生装置(バンデグラフ)を用いた実験については、大変危険ですので、必ず専門家の方の立ち合いのもと行ってください。また静電気実験に関するご依頼(実験教室やTV監修・出演等)についてはこちらからお願いします。
【特集】やめられなくなる!静電気実験
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