炎の魔法使い!シュワッと広がる色の魔法!スプレーで楽しむ炎色反応!

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

この記事はラジオでも配信中!

夜空を彩る花火が、なぜあんなにも美しく、色鮮やかな光を放つのか不思議に思ったことはありませんか?赤や緑、黄色に輝くあの光。まるで魔法のようですが、実はこれ、「炎色反応(えんしょくはんのう)」という立派な科学の現象なんです。今日は、この炎色反応の不思議な世界と、それをスプレーボトルを使ってダイナミックに観察する理科実験の方法について、詳しくご紹介します!こちらの動画をご覧ください。

普段見慣れている炎が、魔法のように色を変える瞬間を見たことがありますか?金属という「材料」が、炎という「エネルギー」に出会うとき、そこには美しい光のドラマが生まれます。

炎色反応とは?〜花火の色はどうやって決まる?〜

金属の元素(を構成する原子)は、ふだんは落ち着いた状態(低いエネルギー状態)にいます。しかし、バーナーの火などで加熱されると、そのエネルギーを吸収して興奮状態(高いエネルギー状態)になります。例えるなら、原子くんがエネルギーをもらって、普段いる「1階」から「2階や3階」へ勢いよくジャンプするようなものです。

でも、興奮した状態は不安定なので、原子くんはすぐに落ち着いた「1階」へ戻ろうとします。この「上の階」から「下の階」へ戻るときに、吸収したエネルギーを「光」として放出するのです。そして、ここが面白いところ!金属の種類によって、この「階の高さ(エネルギーの差)」が違います。そのため、放出される光の色も金属ごとに決まっているのです。

  • リチウム(Li) → 赤色の炎
  • ナトリウム(Na) → 黄色の炎
  • カリウム(K) → 紫色の炎
  • 銅(Cu) → 緑色の炎
  • ストロンチウム(Sr)→ 真っ赤な炎(花火の「赤」はこれです!)
  • バリウム(Ba)→ 黄緑色の炎(花火の「緑」はこれ!)

そう、花火師さんたちは、この炎色反応を巧みに利用して、夜空に様々な色の花を咲かせているんですね!炎の色を見るだけで、どんな金属が含まれているのかが分かるなんて、まるで科学捜査のようです。

銅原子の放つ光!

スプレーボトルで行うダイナミック炎色反応実験!

通常、学校の理科実験では、金属の粉末(塩:えん と呼びます)を薬さじにのせて、バーナーの火にかざす方法をとることが多いです。これは安全ですが、少し地味かもしれません。そこで今回は、もっと派手で、炎の色が美しく広がる方法を紹介します!

用意するもの

  • エタノール(燃料用アルコール)
  • 金属の塩(塩化銅、塩化リチウム、塩化ナトリウムなど)
  • スプレーボトル(必ずアルコール対応のものを選んでください)
  • ライター(安全のため、柄の長いチャッカマンなどがオススメ)
  • 耐火性の作業台(実験用トレイや大きな金属のお皿など)
  • 火災対策(濡れ雑巾、消火器や水の入ったバケツなど)

実験のやり方

  1. スプレーボトルにエタノールを入れます。(入れすぎないように注意)
  2. エタノールに、色を見たい金属の塩を少量(薬さじ半分くらい)入れて、よく振って溶かします。 (例:塩化銅なら緑、塩化リチウムなら赤)
  3. 安全な作業台の上で、ライターの火をつけます。
  4. ライターの火に向かって、スプレーを(少し離れたところから)シュッ!と吹きかけます。
  5. 吹きかけた瞬間、スプレーの霧に炎が燃え移り、選んだ金属の色に燃え上がります!

なぜスプレーボトルを使うと派手なのか?

この実験がダイナミックな炎を生み出す秘密は2つあります。一つは、燃料となるエタノールがスプレーによって霧状になること。細かい霧状になると、空気(酸素)と触れる面積が非常に大きくなるため、一瞬で燃え広がることができます。もう一つは、金属の粒子が炎の中に均一に広がることです。薬さじで燃やすと金属が塊になっていますが、スプレーなら細かい粒子が炎の全体に行き渡るため、色が非常にハッキリと、美しく見えるのです。

注意点(絶対に守るべき!)

この実験は非常に美しく楽しいものですが、火とアルコールを使うため、一歩間違えると大変危険です。以下のルールを絶対に守ってください。

🔥 家では絶対に行わないでください。必ず理科室など、換気が良く、火を使っても安全な広い場所で、大人の監督のもと(できれば理科の先生と)行ってください。

🔥 火災を防ぐために、周りに燃えやすいもの(紙、布、アルコールのボトル本体など)を絶対に置かないでください。

🔥 予想以上に大きな炎が出ることがあります。スプレーするときは、顔や手を炎に絶対に近づけすぎないでください。

🔥 実験後は、火が完全に消えたことをしっかり確認してください。

一見すると魔法のような現象も、原子レベルで何が起こっているのかを考えるのが科学の面白さです。炎の色が変わるだけで、普段見慣れた火がまるで別のものに見えてきますね。皆さんも、安全に最大限配慮しながら、ぜひ理科室で先生と一緒に試してみてください!

お問い合わせ・ご依頼について

科学の不思議やおもしろさをもっと身近に!自宅でできる楽しい科学実験や、そのコツをわかりやすくまとめています。いろいろ検索してみてください!
・科学のネタ帳の内容が本になりました。詳しくはこちら
・運営者の桑子研についてはこちら
・各種ご依頼(執筆・講演・実験教室・TV監修・出演など)はこちら
・記事の更新情報はXで配信中

科学のネタチャンネルでは実験動画を配信中!