【実験】断線してるのにモーターがなぜか回る?コンデンサとモーターの不思議な関係

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

みなさん、電気回路のナゾナゾです! 電池とモーターを導線でつなげば、もちろんモーターは回りますよね。では、その回路の途中に「コンデンサ」という部品を入れたらどうなるでしょう?モーターは回り続けるでしょうか? それとも、まったく回らないでしょうか?

コンデンサは、電気を蓄える(たくわえる)ための部品です。その構造は、2枚の金属の板(極板)が、電気を通さない「絶縁体」をはさんで向かい合っています。回路図を見ても分かる通り、極板と極板の間はつながっていません。つまり、回路の途中で断線しています

「え? 断線してるなら、電気が流れるはずがない。だからモーターは回らない!」

 こういう「どうなるんだろう?」という疑問こそ、科学の入り口です。ぜひ、自分の目で確かめてみましょう。

コンデンサとモーターを直列接続すると、モーターは回るのか?

用意するもの:

コンデンサ(1F ※)、モーター、電池(2本)

※「F(ファラッド)」はコンデンサが電気をためられる容量の単位です。1Fは非常に大容量で、実験の様子が観察しやすくなります。

手順:

1 コンデンサ、モーター、スイッチ、電池を直列に接続する

2 スイッチを入れる前に、モーターの様子を確認する準備を刷る

3 スイッチを入れてモーターの様子をしばらく観察する

こちらが実際にやってみたときの動画です。御覧ください。

いかがでしたか?驚いたことに、スイッチを入れた瞬間(回路を組んだ瞬間)、モーターはたしかに動きはじめます!しかし、じっと見ていると、モーターの回転は少しずつ弱まっていき…やがて止まってしまいました。瞬間は動き、

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十分時間がたつと、止まる。

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これが、試験でもよく問われる大切な現象です。 でもなぜ、断線しているはずのコンデンサに、一瞬とはいえ電流が流れたのでしょうか?

「充電」の間だけ流れる電気

その秘密は、コンデンサの「充電」という働きにあります。コンデンサを「電気をためるダム(あるいはバケツ)」だと想像してみてください。スイッチを入れた瞬間、電池(水源)から電気(水)が勢いよく流れ出します。この電気(水)は、モーター(水車)を通り抜け、空っぽのコンデンサ(ダム)に向かって流れ込みます。

この、コンデンサ(ダム)に電気が流れ込んでいる「間だけ」、回路には電流が流れます。モーターは、この電気が通り抜ける力で回転するのです。そして、コンデンサ(ダム)が電気でいっぱい(=充電完了)になると、もうそれ以上電気は流れ込めません。電気の流れがストップすると、モーター(水車)も止まってしまいます。

(厳密には、コンデンサの片方の極板にマイナスの電荷がたまり、もう片方の極板からマイナスの電荷が押し出されて(プラスがたまったように見える)、電池に戻る…という現象が起きています。この電荷の「移動」こそが電流の正体なのです。)
教科書ではよく「コンデンサは直流を通さない」と書かれています。これは「充電が終わった後は」通さない、という意味だったのですね。実験で見た「一瞬だけ回って止まる」動きこそが、コンデンサが「充電されている」様子をモーターの回転で可視化(かしか)してくれていたのです。

実際にみてみると、コンデンサに電気がたまっていく様子が、モーターの回転が弱まっていく様子で確認できて、とても面白いですね!ぜひみなさんも、教科書にのっていることでも、「本当かな?」と疑って、実際に確かめてみてください! 当たり前とおもっていても、本当に目の前でおこると、驚いてしまいますし、その仕組みが深く理解できますよ。

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