理科室の裏側!実験道具「おもり」を油粘土で手作り!

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

理科室での実験、特に「力と運動」の分野でコロコロと転がす「力学台車」。あの上に載っている銀色に輝く「おもり」、一ついくらくらいするかご存知ですか?実は、教材会社さんで揃えると、なかなかに高価なんです…。もちろん、精密な実験に必要なものは購入しますが、工夫次第で安く、十分な性能のものが作れるなら?…そう、手作りしてしまいましょう!

今日は、学校現場のそんな「工夫」の裏側、力学台車に乗せるためのおもりを「あるもの」で代用するアイデアをご紹介します。

なぜ「500gのおもり」が必要なのか?

力学台車の実験は、中学理科では「物体の運動は、加える力が大きいほど、また物体の質量が小さいほど変化しやすい」(運動の法則 F=ma の基礎)ことを学びます。そのために、台車に乗せるおもり(質量)を 500{g}、1000{g}…と変えたり、台車を引く力(おもり)を変えたりして、運動の変化を比較します。500g というのは、その比較実験をする上でとてもキリが良く、扱いやすい「質量」なんですね。しかし、この金属製のおもりをクラス全員分、比較実験用に何個も揃えるとなると…。そこで、私たちは考えました。

代用品の主役は、まさかの「油粘土」!

そうです、あの小学校の図工の時間に使った、独特の匂いと感触の「油粘土」です!

なぜ油粘土か? 答えは簡単、「ちょうど500g」で売っているからです!例えばamazonや楽天などで検索すると、まさに実験のためにあるかのように $500\text{g}$ の商品がたくさん出てきます。しかも、非常に安価です。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

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作り方と、悲しい注意書きのワケ

作り方は驚くほど簡単です。買ってきた油粘土を、袋の上から養生テープなどでぐるぐる巻きにします。形が崩れず、台車に乗せやすくなればOKです。そして最後に、「さわらないでください」という文字を大きく書いて貼り付けます。これでできあがり。

なぜ「さわらないでください」と書くのか。これは、悲しい経験から得た教訓です。以前これを作ったとき、実験準備中に生徒たちが「何これ?」「粘土だ!」と、その独特の感触が気持ちいいのか、さわりまくってしまったのです。結果、袋がやぶけてしまい、使い物にならなくなりました…。油粘土の魔性の手触りが、生徒の好奇心を刺激しすぎたようです。科学の探究は、高価な機材がなくても「工夫」次第でいくらでも可能です。皆さんの身の回りにも、意外なものが理科実験の道具に変わるかもしれませんよ。

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