Q&A 橋元流は間違いだらけと書いてあった。先生はどう思いますか?
みなさんは使いやすい参考書を使っていますか?
今日も質問が届きました。物理の参考書の選び方について、困っているようです。
同じようにお悩みの生徒も多いと思いますので、みなさんにも共有したいと思います。
(名前を含め、一部変更をしています。ご了承ください)
参考書選びで相談があります。
相談者:ボンドさん
自分で2ちゃんねる等、(物理の参考書を)いろいろ見ていました!
http://nozomi.2ch.sc/test/
そこでいろんな疑問が出てきたので教えていただけないでしょうか?
1 橋元式は間違いだらけと書いてあったのですが、桑子先生はどう思いますか?
2 先生の薦めている漆原先生の本や浜島先生の本は、解き方が全然違うので混ぜると混乱するとあったのですが、本当ですか?
3 桑子先生のきめる!センター物理基礎は高校物理で一番最初に手を出して大丈夫なのか?
4 きめる!センター物理基礎の続編は出ないのか?
色々書いてしまいましたが、よろしくお願いします!
お答えしましょう!
ご連絡ありがとうございます。科学のネタ帳の桑子です。
いろいろなご質問ありがとうございます。
それではひとつずつお答えします。
1 橋元式は間違いだらけと書いてあったのですが、桑子先生はどう思いますか?
間違いだらけではなく、わかりやすくしたことによって、
細かい説明を省いているだけだと思います。
ぼくは橋元流の本質部分のもを抜き出した書き方というのは、
とても気に入っています。
ぼくの参考書「きめる!」も同じように、細かい定義よりは、まずは公式の暗記ではなく、
公式の意味を理解して使いこなしてもらうことに主眼をおいています。
例えるなら、デフォルメされた似顔絵のようなもので、全部は説明をしていなくても、
特徴的なところを著者が考えて切り取って、まずはここ!というところをまとめた本といえます。
例えば、単に「ある場所」のような意味を指す言葉には、
物理ではいろいろあります。
距離、位置、移動距離、変位、座標
それらを一つひとつひとつ説明をしながら使っていくと
面白い説明の前に、厳密な内容で固められた教科書が出来あがります。
記述が正確で間違いがないかわりに、面白い場所(本質)にたどりつくまでの文章が
長くなり、読んでいる人によっては(とくに苦手な人にとってみると)
非常に読みにくい、面白くない
そんな文章になります。
でもすでにわかっている人からみると、教科書の記述は正確だし、丁寧だし、わかりやすい、となります。
読者レベルに同じ文章でも見え方がずいぶんかわってきます。
橋元流は記述をうまくしてあって、そのあたりの細かい定義の話にならないように、
かなり労力をさいて作られていると、ぼくは参考書を作っている側からみると、
強く感じています。
橋元流が間違いだらけ、というより、説明不足にみえるところがある、
というのが正しいと思います。
ある意味で言えば、著者がわざとそういった記述をしているんですね。
2 先生の薦めている漆原先生の本や浜島先生の本は、解き方が全然違うので混ぜると混乱するとあったのですが、本当ですか?
参考書は大きく分けると、
教科書的な記述が正確で丁寧な本
か、
著者独自の色が出たイメージ・喩え話中心の本
の2つにわけられます。
なんとなくですが、ぼくが分類してみると
教科書的な記述・解き方は 検定教科書、浜島物理、新物理入門
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イメージ・喩え話的な記述は 漆原先生、橋元先生、私のきめる本、宇宙一わかりやすい本
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[amazonjs asin=”405304118X” locale=”JP” title=”きめる!センター物理基礎【新課程対応版】 (きめる!センターシリーズ)”]
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となります。
ですから、ボンドさんが発見した2ch?のコメントのように、混ぜると危険なのは、たしかにそうなのかもしれません。
しかし混ぜるというよりも、レベルアップをして階段をのぼるように使っていくのがベストかと思います。
イメージ・喩え話的な記述の本は、食べ物でいえば「あめちゃん」です。
口当たりがよく食べやすいのが特徴で、すぐに問題に対する対応方法や公式の使い方が身につきます。
わからないと悩みが多い生徒は、まずはこの参考書からはいっていきます。
ただぼくの本を含めて、深みはありません。
教科書的な記述の参考書は、「するめいか」のようなものです。
はじめはわからないかもしれませんが、非常に味わい深い内容です。
微積をはじめ、位置ベクトルや座標を使ったり、内積や外積のお話など、
正確な記述だし、物理の内容があらかじめある程度わかっていたり、
数学の使いドコロがわかると、とっても楽しくなってきます。
ぜひ使い分けをして、段階的に使って行ってください。
3 桑子先生のきめる!センター物理基礎は高校物理で一番最初に手を出して大丈夫なのか?
私の本は、一番初学者向けにできている本だと思います(現在)。
というか、物理が苦手な生徒に教えていて、
そのあたりの参考書がなかったために、書きました。
ですから、最初に手を出すにはいい本だと思います。
その他にも、「橋元のはじめからていねいに」なども
はじめに手を出すには良い本だと思います。
[amazonjs asin=”4890853227″ locale=”JP” title=”橋元の物理をはじめからていねいに―大学受験物理 (熱・波動・電磁気編) (東進ブックス―名人の授業)”]
4 きめる!センター物理基礎の続編は出ないのか?
「きめる!」の続編というか、物理基礎の問題集が実はもう少しででます。
昨年からずっと長い時間をかけて書いてきている本で、問題集という形態ははじめてです。
3ステップ解法をつかって解く問題集です。
ご期待ください。
また力学のみですが、センターだけではなく
全体をとおしたもの(物理全体)も用意をしています。
電磁気の本をかいてほしいという要望もよくメールでもらいます。
そちらも今後準備をしていきたいと思っています。
学校の仕事がメインで、専業作家ではないので、執筆ペースは遅いのですが、
ボンドさんが受験をするまでに間に合うかはわかりませんが、
またお知らせできるように、頑張ってまいります。
−−−−−−
以上です。ボンドさんからはこのあとお礼のメールが届きました。
ぼくも答えていく中で非常に明確になりました。ボンドさんありがとう。
みなさんは参考書選びはうまくいっていますか?
いろいろな本で学びができる良い世の中になりました。
ぜひ自分にあった最良の1冊をまずは手にとって、そこから
少しずつ登っていってくださいね。
わかればわかるほど、わからなくなっていくのが面白いですよ!
また質問も募集していますので、ぜひお寄せください。
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