食物連鎖のシミュレーション!クマがいなくなると草が消える!?「生態系」のミステリー(Scratch)

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

想像してみてください。もしも森から強くて怖い「クマ」がいなくなったら、その森は平和で豊かな楽園になるでしょうか?実は、答えは「ノー」です。自然界は目に見えない糸で複雑に結ばれており、たった一種が増えすぎたり減りすぎたりするだけで、世界はガラリと姿を変えてしまいます。

今日は、そんな不思議な「生態系のバランス」を、自分の手で操れるデジタルな実験室をご紹介します。中学生の理科でも習う「食物連鎖」や「食物網」の裏側に隠された、驚きのドラマをシミュレーションで体験してみましょう!

デジタルで再現!命のつながり「食物連鎖」

自然界で起きる生態系のバランスは、本当に複雑で興味深いものです。でも、実際に「クマを100頭増やしたらどうなるか?」なんて実験を現実の森でするわけにはいきませんよね。そこで便利なのが、PCやタブレットで手軽に試せるシミュレーションツールです。今回は、特に面白い2つのサイトを見つけました。

まずご紹介するのは、プログラミング学習でもおなじみのScratch(スクラッチ)で公開されているシミュレーションです。

Scratchのサイトのシミュレーションでは、「くさ」「うさぎ」「くま」の3つの生物が登場します。このシミュレーションのすごいところは、それぞれの初期値(パラメーター)を自由に変えられる点です。

satoko1010さんが作成されたこのツールを使って、例えば「くま」を極端に増やしてスタートしてみましょう。

「くま」を増やしてから始めると、一時的にくまが画面を埋め尽くしますが、エサとなる「うさぎ」を食べ尽くしてしまい、最終的には食糧不足でくまも絶滅してしまうことがよくあります。しかし、設定を微調整すると、ごく少数のバランスで奇跡的に安定し、共存し続けることもあります。この「予測のつかなさ」こそが、リアルな生態系の難しさであり、面白いところなのです。

絶滅か、共存か?「生態系の復元力」を体験する

もう一つ、より視覚的に分かりやすいシミュレーションがこちらです。

生態系シミュレーション

こちらのシミュレーターでは、グラフを見ながら個体数の変化をリアルタイムで観察できます。「オオカミ」を増やしても、一定の範囲内で波を打つように数が変動し、やがて絶妙なバランスに落ち着く様子がわかります。驚くべきは、その「復元力」です。一時的に「オオカミ」が減ってしまっても、エサとなる「うさぎ」が増えることで、再び「オオカミ」が復活することもあります。自然界には、多少の変動ではびくともしない、力強いバランス調整機能が備わっているのですね。

もしも「頂点捕食者」がいなくなったら?

ここで一つ、皆さんに考えてみてほしいことがあります。もし「オオカミ」や「くま」を完全にゼロにしたら、どうなると思いますか?

「天敵がいなくなって、うさぎは幸せになるのでは?」と思うかもしれません。しかし、シミュレーションを実行してみると、意外な結末が待っています。うさぎが増えすぎた結果、エサの「草」を根こそぎ食べてしまい、最終的には砂漠のような多様性のない世界に落ち着いてしまうことがあるのです。強い捕食者がいるおかげで、その下の生き物が増えすぎるのを防ぎ、結果として植物や多くの命が守られているのです。

生態系のバランスは本当に繊細で、たった一つのピースが欠けるだけで、ドミノ倒しのように全体へ影響が波及します。シミュレーションを使えば、そんな地球規模の壮大な仕組みを、の一端を理解することができます。

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