お金をかけずに仲間と合格!教員採用試験の勉強法【大学生用】
何からやればいいのかわからない!
そんな焦っている人は必見!
お金をかけずに教員採用試験を合格する方法のまとめです。
教採の準備 焦っている人へ
ぼくは自分自身が大学時代と大学院時代に教員採用試験を受けました。大学時代のときは準備をまったくしないで望み、惨敗。大学院のときにはゼロから教員志望の仲間と対策グループを作り、なんとか合格までこぎつけました。
そのようなこともあり、いろいろな学生から、どのようにして勉強をしたのかを聞かれたり、講演などで話をする機会がありました。今回は私が行った勉強法で合格した学生の例についても例としてあげながら、お金をできるだけかけずに、教採に受かる方法についてお伝えしたいと思います。
はじめに
教員になりたいと思って免許がとれる大学に入ったけれど、何も準備をしてこなかった!?そんな学生さん、いませんか?
実はぼくがそんな学生の一人でした。当時はインターネットに有益な情報がなく、とにかくいろいろな方に教えてもらって、なんとか専任の教員に就くことができました。その経験をいかして、後輩に向けて教員採用試験対策の講師もしました。
当時のぼくのように、心ばかりが焦ってしまい、何をやればよいのかわからない!そんな人のために、教員になるための方法をお伝えします。
3つの就職活動スタイル
教師を志望している人は3つのタイプにわけられます。
A「公立・私立を受ける人」
B「一般企業+公立・私立を受ける人」
C「一般企業につとめてから教師になる人」
です。それぞれメリット・デメリットがあります。
A 公立・私立のみを受ける人
メリット:教員になるための勉強がしやすい。集中できる。
デメリット:内定が遅くなりやすく、不安に陥りやすい。また教育以外のことが見えなくなってしまいやすい。
B 公立・私立+一般企業
メリット:一般企業の内定をとってから、安心して教員採用試験にチャレンジできる(かもしれない)。また一般企業を志望する普通の学生と同じようにエントリーシートを書いたり、面接をしたり、他の業界を見ることで、視野が広がる。
デメリット:6月の教育実習の期間と就職活動が重なることで、超多忙になる。また教員への勉強をするのが大変であり、長期的な準備が必要。
C 一般企業から教師へ
メリット:他の業界の経験を教育に生かすことができる。教員以外の業界を見ていることから、その視点が重宝される(可能性あり)。
デメリット:仕事をしながらの教員採用試験の勉強は大変である。また一人で勉強をすることができる強いモチベーションが必要である。年齢的にも採用する側としては即戦力がほしいため、採用するのに躊躇する(かもしれない)。
ぼくのおすすめはBタイプ
大学生へのおすすめはBタイプです。私の場合は大学院のとき教育学部ではなかったこともあり、周りが一般企業の就職活動をしていたことから、一緒にやっていたこともあり、自然にBタイプになっていました。もし教員になりたい!という強い動機が無い(他にもやりたいことがある)のであれば、Bタイプで就職活動もしてみることをおすすめします。
実際に直接関係が無いと思っていた、一般企業のエントリーは自己分析を繰り返し、自己理解に繋がりましたし、面接がうまくいかないことが何度もあり、勉強になりました。関係なさそうで、教員になる前、なったあと、どちらにもとても役立ちました。
Q 公立と私立はどちらが良いの?
A あなたが何をしたいのか?によります。
公立の特徴
公立は各都道府県で実施している試験を受けて職につくことができます。どこの学校に行くのかわからず、また3、4年おきに学校を移動していきます。就職を目指す学校から大学受験を目指す学校まで様々な学校があるため、豊富な体験ができるようです。
また、学校を移動できるので、よくも悪くも一つの職場の中にはグループが出来にくい状態になっているようです。また地元に帰りたいという人にはうってつけです。ぼくも地元に戻りたいという気持ちが強いのですが、私立では場所が固定されるので狙わない限り不可能です。
また広報活動などは必要ないので、私立の業務の中で大きな割合を占める広報に力を割く必要がないのが公立の特徴かもしれません。その分生徒に向き合えるともいえます。
私立の特徴
私立は、その学校に就職する、つまりある会社に務めるのと同じです。建学の精神や、学校の雰囲気、給与などの待遇面を事前に調べて気に入っておかないと、こんなはずじゃなかった…ということにもなりかねません。また入ってから人間関係がうまく行かなくなった場合、職員の出入りが少ないため働きにくい環境になる場合もあります。
ただし、自分にあった学校、校風の学校に入れれば、公立よりも学習環境がずっと整った学校で教えることができたり、部活動の強豪校で教えるなど、公立とは違ったやりがいがあります。一概には言えませんが、給与面でも私立のほうが優遇される場合も多いようです。
また一般の会社同様に広報活動もしなければいけないので、外部の目にさらせるという意味では、プレッシャーはあります。
Q ◯◯の教科を教えたい!どっちがいい?
A 私立をおすすめします。
例えばぼくが物理を教えたいとします。その場合、採用は基本的に「理科の教師」として出るので、とくに公立で実際物理を初年度から教えることができるかどうかということはかなり微妙です。
その学校で人員として物理が不足している場合は、物理になるでしょうし、生物を教えることもごくごく普通にありえます。では物理を教えたい!という希望が強い場合にはどうすればいいのでしょうか。それを叶えるのが私立です。私立の場合が学校が独自に採用しているため、その教科・科目がほしいと指定してくるところがたくさんあります。
また「教える」ということや「生徒と関わる」ことを重視するのであれば、公立私立どちらでもかまいません。なお地元の就職をというのが第一であれば公立がやはり強いですよね。また公立であっても、希望を強く持って経験を詰めば、先進的な学校に移動することや、もちたい教科を持てることもあります。公立の友人が実際にそのようなキャリアをたどっています。
個人的な結論
ぼくがおすすめしたいのは、公立も私立もどちらも受けて、受かったところにまずは行くこと!結局ははたらかないと何が自分が向いていたり、好きなのかがわからないからです。
もちろん第一志望の学校に内定をいただければ、それに越したことはありませんが、受かるのは非常に難しいです。となればできるだけ多くの球を投げて、バッターボックスに立ち続け、打てた球をでやってみることが大事。これはぼくの個人的な考え方なので、受かった時などに身近な人に相談をしてみるのも良いと思います。
公立と私立の勉強法の違い
勉強法は、公立と私立でかなり異なります。準備にあっとうてきに時間がかかるのが公立です。私立を受験する場合には、一般企業の採用と同じで、各学校が独自で採用しています。つまり勉強のしようのない、模擬授業や面接などがより重視されるのが私立です。今回は学生向けに書いていることもあり、今年で決めることを念頭に「公立と私立を同時に攻めていく方法」について紹介します。
おすすめのスケジュール
私は大学院に入ってから、一般企業への就職活動をしてから、教師を目標としました。大学生から教員を目指す人とは少し違ったスケジュールでしたが、いっしょに勉強をした仲間の多くは年下の学部生でした。参考例として理想のプランについて紹介します(僕自身、このプランで学部のときからやっていれば、学部で合格出来たと思います)。
<大学3年(大学院の場合は1年生)>
4月〜 情報収集は大学3年4月あたりから
10月 公立向け勉強のスタート(教職教養、専門教養、小論文)
(11月 一般企業の就職活動スタート)
1月 各学校が開いている教員採用試験の勉強会などに参加する。
<大学4年(大学院の場合は2年生)>
4月 私立学校採用情報のチェック(毎日)
6月 教育実習+公立採用試験手続き、私立の私学適正手続きを
7月 面接の練習
8月 公立採用試験、私学適正検査を受ける
9月〜翌年4月 私立学校の採用試験を受け続ける
※ 大学3年3月から勉強をはじめて半年くらいで公立に受かった友人もいたので、いつはじめても、遅すぎることはありません。あくまで目安として御覧ください。
公立の勉強法
それでは、まずは公立の対策をまとめます。私立のみを受ける人は、その対策については下に書きました。ここは読み飛ばして下さい。
公立では、一般教養、教職教養、専門教養などの筆記試験を1次試験で受けるのが一般的です。
これは公務員試験と同じように、事前に準備しておかないと歯がたちません。裏を返せば、充分な準備をすれば合格確率は格段にあがります。公立を受けるのであれば、早めの準備がカギです。
一般教養(1次試験)
中学レベルの理科、社会、数学が中心で、その県独特の問題がでることもあります。
なかなか勉強がしにくいところですが、過去問を入手して、分析をしておくと、勉強すればよいものが見えてきます。一般的な参考書はこちらです。
ただぼくのオススメとしては、一般教養に関しては特別に対策をする必要はないと思っています。勉強をしたわりには、出題範囲が広すぎて、コストに見合いません。それよりもおすすめは教員養成セミナーを毎月買い続けて、読んでおくことです。これで一般教養対策にもなります。
教職教養(1次試験)
教育法規や教育心理など、教職教養については事前に勉強をしておかないとまったく解けません。暗記科目だからです。まず、上記の教職教養ランナーを買ってきて、穴を赤ペンですべて埋めていきましょう。そして赤いシートなどで隠しながら地道におぼえていきます。厚さに驚いてしまうかもしれませんが、大切なところをサッと覚える程度でかまいません。
ただし、教育法規と教育心理は特に出題が多いので、重点的に学習をすすめましょう。
そのほか、「即答型 ポケットランナー教職教養」は大事なところだけがまとめられており、非常におすすめです。また、「教員養成セミナー」などを毎月購読しておくと、教育関連のニュースなどがまとめられており、参考になります。10月からかいつづけてみることをおすすめします。
教育法規については、暗記が苦手だったぼくは語呂合わせを作りました!こちらのページも参考にしてください。
専門教養(1次試験)
専門教養は、できてあたりまえです。高校志望なら高校の時につかった参考書などを買ってきて、勉強をしておきましょう。GMARCHレベルの学力があれば、問題はほぼ解けます。
東大や東工大の過去問は解けなくても、解説ができれば現場でも十分対応できます。受験から時間もたっていますし、無理しないでくださいね。1次試験を合格すると、2次試験となります。2次試験には小論文・面接・集団討論・模擬授業などの試験がかされます(地域によって異なります)。
小論文(1次試験または2次試験)
何度も事前に練習をして実際に手をうごかして書かなければ、本番で書けるということはありません。各都道府県で、字数制限が違うので、その字数にあったものがすぐにかけるようになっておかないとだめ。例えば、
・「学び」という面において、次世代の若者たちに期待することを800字いないで述べよ。(制限時間60分)
など、無勉強ではうまくまとまらず手が出ないはずです。何度もいろいろなテーマで練習をしてみて、他の人に読んでもらったり、業者のサービスを利用して評価してもらいましょう。私はどんな論文でも、この形にもっていくというパターンを作っておきました。はじめの論文の評価はEでしたが、繰り返すうちにCかBをとれるようになりました。
面接(2次試験)
志望動機がはっきりと言えること、また元気であることがアピールできる必要があります。立ち振る舞いは、特にしっかりとやっておく必要があり、実際に見てもらいながら練習をすべきです。例えば次のような質問が出されます。
・〜県の教員を希望する理由
・最近の教育について思うこと
・高校のとき一番心に残っているものは
変化球の質問としては、次のようなものもあります。
・あなたのクラスの男子生徒がピアスや腰パンなどだらしない格好をしています。あなたはどのような指導をしますか。
・あなたのクラスでいじめがおこっています。どのように対応しますか。
・離島に配属されたら行きますか?(東京都)
これらは友人が実際に聞かれたことをまとめたものです。とにかく熱意をもって、思ったことを語っていく姿勢が大切です。これは企業の就職活動をしておくと、自然と身に付きます。離島に行っても良いか?には、必ず笑顔で「ハイ!」と答えましょう(もし思っていなくても…)。
集団討論(2次試験)
受験者同士で、あるテーマについて討論をおこないます。例えば、3分間考える時間があたえられ、最初に自分の立場を述べてから、自由に討論をしていきます。
まわりの意見をしっかりと聞いて、自分の意見を差し込んでいくという技術が必要になり、これも事前に誰かと練習をしておくと良いでしょう。一人では勉強できないものの1つです。
模擬授業(2次試験)
模擬授業は、教育実習で授業の技術を得ておけば対応できます。おすすめは、あたかも目の前に大勢生徒がいるようにイメージをして、適当な名前を読んで、指しながらなどコミュニケーションを大切にした授業展開が良いと思います。エアー授業といったところでしょうか。
また手頃な教材があれば、持っていき、その場で使いながら説明しても良いでしょう。事前に誰かに見てもらい、わかりにくいところなどを評価してもらうと良いですね。
<参考>
一次試験 筆記:一般教養、教職教養(マークシート)、専門教養(理科4科目で高校レベル)、面接:集団面接(6人)(質問は「横浜市を受験した理由」「どのような教師になりたいか」「信条としていることは何か」)
二次試験 小論文、模擬授業、個人面接 備考:2日にわけて実施
合格者からのメッセージ
私が教えた学生で、実際に合格者した学生からのメッセージをまとめました。合格者の声を読んでみてください。
大学4年 KKさん
進路先:都内私立学校 英語
公立が第一志望だったが、落ちてしまった。勉強会でもらった資料を使って、私立学校の受け方や礼状の書き方などをそのまま実践したことによって、決めることができた。
Q 私立学校を受ける上で、もっとも大切だと思ったことは?
提出書類作成。セールスポイントをちりばめておく。必ず面接で聞かれる。
大学4年 TMさん
進路先:2県の公立教員採用試験を受け、1県で合格 国語
3年後半からはじめたため、様々な面で遅れを感じていた。もっと早く勉強会などに参加しておけばと思っている。
自分と関わりがない県を受けたので、なぜ○○県を受けてるのか?という質問には困った。私はこのように答えた。
「○○県は教育に力を入れている。古文の○○物語の舞台になっている。伝統的な授業もとりいており、興味をもった。」
など。自分の出身とは異なる県を受けるときは、自分なりの答えをよく考えておくことが大切。
今後の予定
3月のはじめに電話が来て赴任校が決まる。中盤に引っ越し、一年間初任者研修を週10時間受けていくことになる。
大学4年 ITさん
進路先:都内中高一貫校 理科
勉強会に参加できて、勉強の方法がわかった。○○市の公立試験は1次合格さえできなかった。専門ができていなかった(得意なものは物理だったが、生物や地学ができなかった)。
その後、私立学校を受け始める(8月から9月)。大学の求人情報を確認、私学公募に応募。様々なところに落ちる。ただしある学校で模擬授業まで進むことができたのが自信を取り戻すきっかけとなった。私学適正を受けていることにより、学校から連絡を受けて(面接+模擬授業)の採用試験を通過した。
勉強会で練習をしていた模擬授業がうまくいき、合格をつかんだ。
大学4年 MKさん
進路先:○○県の公立教員
三都道府県を受ける。二県は不合格。○○県は補欠合格であったが、12月に内定の結果がきて、繰り上げ合格。この県は英語の面接があり、難しかった。また小論文がうまくかけなかった。面接では手応えがあり、特に場面指導の質問が多かった。
「目の前でたばこを吸っている生徒がいたらどうするか。」
「顔の前でたばこの煙を吐いたらどうする?君の前で。」
という質問には困った。待ち時間に、「暑いから服を着崩していい(ネクタイを外すとか)」と学生全体に連絡があったが、脱がないで面接にのぞんだ。その際「礼儀がなっている」とほめられたとのこと。
特に勉強になったのは、全国の教職教養の過去問を解いたこと。わからなかったところは別冊のノートに書き写して、赤いペンで書いた。
これから道徳の勉強をして、道徳の時間ができるようにしたい。
大学4年 IKさん
進路先:公立の中高保健体育 合格
3年生の1月から対策をはじめた。1次試験はやればできる。2次試験は一人では勉強はできない。勉強会では面接の練習がとくに役に立った。また集団討論の練習を通して、自信になっていった。
Q 採用試験を通った理由は?
面接はテクニックも大切だと思うが、一番感じたのは自分がこれまでやってきたことにどれだけ自信が持てるのかということ。
Q 新卒は経験が無いから、どのように質問に答えた?
新卒は経験がないことは当たり前だから、謙虚な気持ちで答えていけばよい。報告会のあとには、打ち上げも行われました。私のキャラクターがはいったケーキまで作ってくれて。
講師をやって、良かったなと思いました。
私立学校に向けた勉強法
※ 公立のみを志望の方はエントリーシートの書き方まで読み飛ばしてください。
私立学校では8月末にある私学教員適性検査を受け、その結果を使いながら各学校へ受けていくのが一般的です。私学適正とは、私立学校教員のためのセンター試験のようなものです。教職教養と専門教養についてA〜Dの評価がつき、評価が高いと採用されやすくなります。
ただし、私学適正は「あくまで一つの評価材料でしかない」ため、当日の面接でいかにアピールできるかが大切になります。また私学適性の評価が低すぎる得点をとると、受けないよりも悪い評価になる場合もあります。
私学適正の中の教職教養については、公立の教職教養と同じような問題なので、同時に勉強できますが、私立学校特有の問題(慶応義塾や適塾など私学の精神などに関する問題)もあるので必ず過去問には目を通しておいてください。
私学適正でもっとも大切なのは専門教科です。ここで良いランクをとっておかないと、声がかかりにくくなります。
また私立の場合には、1年中募集をしているので一般企業の採用試験のように、どんどん応募していき受けていきましょう。
例) 東京の私学の公募 日本私学教育研究所
そのとき必要となる資料の多くは、履歴書などのエントリーシート、小論文、教授からの推薦状などです。
事前審査がここで行われるので、注意をして書かないと行けません。書類選考を通ると、各学校では、面接や、模擬授業などの試験が待ち構えていることになります。私学でもっとも大切なのは、専門で良い点数をとるのはもちろんですが、面接試験や模擬授業です。
この点は公立の勉強と同じですから、必ずすすめておきましょう。その他にも、私学協会の履歴書供託制度を利用して、履歴書を送っておくと声がかかる場合があります。お近くの私学協会を探したい人は、私学教育ネットで調べてみましょう。
勉強会を開こう
自分が学生のときに、学生同士で勉強会グループを作ると、合格へ大きく前進します。面倒と感じるかもしれませんが、主催者になるメリットについてはこちらにまとめました。お金をかけずに情報があつまり、モチベーション維持もできます。ぼくが指導をしてきた学生でも、主催者の方で受からなかったという人を見たことはありません。
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