電気の語源は「宝石」だった!?コハクが秘めた2500年前のフシギな力

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

私たちの生活に欠かせない「電気」。スイッチを押せば部屋が明るくなり、スマホを充電すれば世界中とつながれる。こんなにも身近な電気ですが、その「電気」という言葉が、実は美しい宝石に由来していることをご存知でしたか?

今日は、電気の意外な語源をたどる、時空を超えた科学の小さな旅にご案内します。

「電気」の語源は、なんと「コハク」!

英語で電気は「エレクトリシティ(electricity)」と呼ばれます。日本でも江戸時代、平賀源内が作った静電気発生装置は「エレキテル」と名付けられました。この「エレキ」という言葉、実は古代ギリシャ語で「コハク(琥珀)」を意味する「エレクトロン(ēlektron)」に由来しているんです。

コハクは、木の樹脂が地中で長い年月をかけて固まった「化石」の一種で、その美しい黄色やオレンジ色の輝きから、昔からアクセサリーとしても人気がありますね。

なぜコハクが電気と関係あるの?

では、なぜ美しい宝石であるコハクが、電気と関係しているのでしょうか?

話は約2500年も昔、古代ギリシャにさかのぼります。哲学者のタレスたちは、コハクを布などでこすると、小さな紙くずやホコリが引き寄せられるという不思議な現象に気づいていました。これは、摩擦によってコハクが「静電気」を帯びるからなんです。もう少し詳しく言うと、モノとモノがこすれ合う時、一方から他方へ「電子」と呼ばれるマイナスの電気の粒が移動することがあります。コハクは電子を受け取りやすい性質があるため、布でこするとマイナスの電気を帯び、近くにある紙くずなどを引き寄せたのです。

この不思議な力が、人類が「電気」という存在に気づいた最初の一歩でした。

コハクの力を実験で見てみよう!

「コハクをこすると本当に何かが起こるのか?」実際に試してみました。こちらの動画をご覧ください!

動画のように、コハクをこすると、紙くずなどが吸い付けられるのです。今回はシュレッダーのクズを使って実験をしました。もしご家庭にコハクのアクセサリーなどがある方は、ティッシュペーパーなどで優しくこすって、小さくちぎったティッシュなどに近づけてみてください。(※大切なアクセサリーに傷がつかないよう、十分ご注意くださいね)

このコハク(エレクトロン)が持つ引きつける力を、ギリシャ語にちなんで「エレクトリック フォース(electric force)=電気の力」と呼ぶようになりました。そして、この現象を引き起こす原因である目に見えない小さな粒が、19世紀末に発見されたとき、その名前もコハクのギリシャ語から「電子(electron)」と名付けられたのです。

古代ギリシャの小さな発見が、現代の私たちの生活を支える「電気(electricity)」や「電子(electron)」という言葉に、時を超えてつながっているなんて、なんだかワクワクしませんか?

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※ なお、静電気発生装置(バンデグラフ)を用いた実験については、必ず専門家の方の立ち合いのもと行ってください。お気をつけてお試しください。また静電気実験に関するご依頼(実験教室やTV監修・出演等)についてはこちらからお願いします

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