放射線の透過率と放射線クッキー及びリトビネンコ事件
放射線の授業をしていて、透過率の問題を考える時に、『傑作!物理パズル50』(ブルーバックス)に出てきた放射線クッキー問題やリトビネンコ事件を例に出すことがあります。放射線クッキー問題とは、
なんとあなたに、放射線を放出するクッキーが3枚、差し出されました。それぞれα線、β線、γ線を放出しています。そしてあなたは、それらの1枚を食べ、1枚を手に握り続け、残りの1枚をポケットにしまわなくてはならないというのです。せめて被害を最小にするには、どうすればよいでしょうか。
という問題で、答えとしては、
もちろん、そんなクッキーからはできるだけ遠ざかるのがベストです。でも、もしどうしてもそれが無理ならば、正解のようにするのがベターです。α線は手の皮膚よりも内側には入ってこないでしょう。β線は、衣服を突き抜けられないでしょう。γ線は手に握ろうが、ポケットにしまおうが、胃袋に入れようが、どのみち被害を避けられません(体を通り抜けてしまうので)。
というものです。適切な例かどうかは分かりませんが、透過率を考える上で参考になるかなと思います。またリトビネンコ事件については、wikipediaに詳しく載っていますが、2006年に、ロシアのアレクサンドル・リトビネンコという人が、亡命先のイギリス・ロンドンで放射性物質のポロニウム210を盛られ、約3週間後に死亡した事件のことです。色々な検査をしましたが、不思議なことに、放射線がほとんど検出されず、原因の特定が遅れました。理由としては、210ポロニウムの特徴にありました。この放射性物質は、多量のアルファ線を放出するそうですが、その一方で、ガンマ線の放出は微量なのです。
そのため、体の外から放射線測定器を近づけても、ほとんど検出されなかったすです。よく考えられた暗殺方法です。