魔法じゃない!科学で解き明かす、風船が水を曲げるフシギな力の正体(静電気実験)
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
冬にセーターを脱ぐとパチパチ! ドアノブに触れる瞬間にバチッ! 私たちの身の回りには、見えないけれど確かに存在する不思議な力、静電気があふれています。でも、この静電気が、まるで魔法のように「水をあやつる力」を持っていることをご存知でしたか?今日は、風船と水道水だけで体験できる、とっても不思議で面白い科学実験をご紹介します。さあ、一緒に科学の魔法の世界へ出かけましょう!
さあ、魔法の準備をしよう!
用意するもの
- 風船
- ハンカチやタオル、ティッシュペーパーなど(乾いているもの)
- 水道
実験の方法
- まず、水道の蛇口から、糸のように細く、ちょろちょろと水が流れるように調整します。そこに、まだ何もしていない風船を近づけてみましょう。…何も起こりませんね。OKです!
- 次に、風船をハンカチやティッシュでよーくこすります。髪の毛でこするのも効果的ですよ。これが魔法の呪文です!
- さあ、もう一度、細く流れる水に、こすった風船をゆっくりと近づけてみてください。どうですか? なんと、水がまるで生きているかのように、風船の方へ「くねっ」と引き寄せられるはずです!こちらの動画をご覧ください。https://youtu.be/zvm8415ec6E

魔法の正体を科学で解き明かす!
なぜ、こんな不思議な現象が起こるのでしょうか?その秘密は、物質をつくる小さな小さな粒の世界に隠されています。
ステップ1:風船が電気を帯びる仕組み
私たちの身の回りにあるすべての物は、「原子」という粒からできています。そして原子の中には、プラス(+)の電気とマイナス(ー)の電気が同じ数だけ入っていて、普段はバランスが取れています。しかし、風船を布でこすると、摩擦(まさつ)によって布が持っていたマイナスの電気(電子)が風船へとお引越ししてしまいます。その結果、風船はマイナスの電気をたくさん持った状態(帯電)になるのです。これが静電気の正体です。
ステップ2:水の分子の秘密
一方、水も「水の分子(H₂O)」という粒からできています。この水の分子は、実はちょっとした個性を持っています。水の分子は、1つの酸素原子(O)と2つの水素原子(H)が、まるでミッキーマウスの耳のようにくっついた形をしています。そして、原子の種類によって電気の引っ張り合いの強さが違うため、分子全体で見ると、酸素原子側が少しだけマイナスの電気を、水素原子側が少しだけプラスの電気を帯びるという、「極性(きょくせい)」という性質を持つのです。
つまり、水の分子は一つ一つが小さな磁石のようなものなのです。
ステップ3:引き合う力
さあ、準備は整いました。 マイナスに帯電した風船という「巨大なマイナスの力」が近づいてくると、小さな磁石である水の分子たちはどうなるでしょう?そうです!水の分子たちは、自分が持っているプラスの部分(水素原子側)を、風船のマイナスの方へ向けて一斉にクルッと向きを変えます。この無数の水の分子による「向き直り」が集まることで、水全体の流れが、まるで糸に引かれるように風船の方へ引き寄せられるのです。
もっとすごい静電気の世界へ!
この小さな実験で静電気の魅力に気づいたなら、もっとパワフルな世界をのぞいてみませんか?
科学の世界には、バンデグラフという巨大な静電気発生マシーンがあります。これを使えば、髪の毛が逆立ったり、蛍光灯を触れずに光らせたりと、まるでSF映画のような実験ができてしまいます! この実験は、広瀬すずさん・鈴木亮平さん・やす子さん・チョコレートプラネッツの長田さん・松尾さん等とテレビ番組にて行った実験も含まれます。詳しくはこちらをどうぞ。

※ なお、静電気発生装置(バンデグラフ)を用いた実験については、必ず専門家の方の立ち合いのもと行ってください。お気をつけてお試しください。また静電気実験に関するご依頼(実験教室やTV監修・出演等)についてはこちらからお願いします。
【特集】やめられなくなる!静電気実験
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