固体が消えた!?パルミチン酸の不思議な温度変化(状態変化・融点)中学1年
パルミチン酸の実験!温度変化を追ってみたら…
理科室は、ちょっとした発見で生徒の目が輝く瞬間にあふれています。そんな授業の“見せ場”にぴったりな実験があります。それが、**「パルミチン酸の温度変化」**を観察する実験!
この実験、何が面白いかというと――
● 物質が固体から液体に変わる“変化の瞬間”が見える!
● しかも、教科書にある「融解のグラフ」がそのまま体験できる!
理科教師としては「これは見せておきたい」と思う実験なんです。
さて、みなさん、パルミチン酸って聞いたことありますか?
ちょっと聞き慣れない名前ですが、これは常温では固体の物質。でも温めると液体に変化します!つまり、「融解」のモデルとして最適な物質なのです。今回は、このパルミチン酸を加熱したときの温度変化を観察する実験をしてみました!
使用した器具と準備
授業で実施する場合に必要な器具は以下のとおりです:
• パルミチン酸(少量でOK。安全で扱いやすいです)
• 試験管(または小型のビーカー)
• 温度計(デジタルでもアナログでも可)
• 加熱装置(お湯・ホットプレートなど)
• タイマー
• スプレッドシートやグラフ記録用紙(生徒用)
器具はこのような形で組み立てます。
いざ実験開始!
パルミチン酸の融点は62.9℃。
つまり、それ以下の温度では固体、それ以上になると液体になるということです。
実際に温めてみると…
• 60℃付近から温度の上がり方が鈍くなる
• 固体から液体へと相変化中!
• すべて液体になったら、再び温度が上昇!
おお~、まさに教科書どおりの変化が目の前で見られました!これは生徒にとっても印象に残るシーンになるはずです。今回は、記録をスプレッドシートにまとめさせてグラフ化。こちらが記録用のファイルです。
温め方で結果が変わる!?
ここが重要ポイント!
実際に授業でやってみようとすると、「加熱のしかた」によって結果が大きく変わることがわかりました。
水から温めた場合
例)
→ 時間がかかりすぎた!
授業時間内(15分程度)では融点を超える前にタイムアップ…
お湯(高温)から温めた場合
例)
→ 変化の瞬間を捉えきれない!
一気に温度が上がりすぎて、グラフも観察も中途半端に…
ぬるま湯(約30℃)から温めた場合
→ ちょうどいい!
緩やかに温度が上がるので、相変化の瞬間をバッチリ観察できます!
まとめ
今回の実験では、パルミチン酸の融点付近で温度変化がゆるやかになることを確認できました。これは、**相変化の際に熱エネルギーが状態変化に使われる(温度は変わらない)**という中学理科の重要ポイントと完全にリンクします。さらに、加熱方法によって観察のしやすさが変わるという新たな発見も!
授業でやるときは、ぜひ 「ぬるま湯でスタート!」 を試してみてくださいね。そして、観察した温度をグラフ化させることで、実験と理論がつながる最高の1時間になります!