「理科室の2割の法則」使うモノだけが輝く整理術
サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。
「あの実験道具、どこにしまったっけ・・・」
「同じ薬品をまた注文しちゃった!」
理科室や実験室で、こんな経験はありませんか?必要なものがすぐに見つからないと、実験をする気力そのものが失われてしまいますし、気づけば同じものを何個も買ってしまう・・・なんてことも起こります。実は「整理整頓」は、単なる片付けではなく、時間とお金と心の余裕を生み出す、れっきとした知恵なのです。今日は、理科室の整理術と、そこから見えてくる面白い法則についてご紹介します。
整理と整頓、その違いとは?
まず、「整理」と「整頓」は似ているようで、実は意味が違います。
整理とは、必要なものと必要でないものを区別して、必要でないものを捨てること。
整頓とは、必要なものがいつでも取り出せるように、置く位置を決めておくことです。
つまり、「減らす」のが整理、「決める」のが整頓。この二つがそろって、はじめて使いやすい空間が生まれるのです。

写真は物理室のある一角の棚です。
分類ごとにわけて、透明で中身が見える白い箱に実験道具を入れ、黄色テープ+黒マジックで中身の名前を書いて管理しています。この方法は、小森栄治先生に教えていただきました。
ラベル作りにもコツがあります。幅5cmと幅2cmの2種類のビニールテープを用意し、カッターマットに貼ってから一気にカットすると、効率よくラベルを量産できるのだそうです。ちょっとした工夫ですが、こうした「作業の段取り」を考えること自体、実は理科の実験計画にも通じる発想ですね。
理科室の扉があると中身が一覧できず不便なので、思い切って扉を取り外しました。ものが飛び出さないよう注意は必要ですが、圧倒的に使いやすくなります。
また、収納ボックスは規格をそろえたかったので、無印良品の透明ボックスに統一しました。小森先生によると、ナリカで扱っているグッドネル社(イギリス製)のボックスやカート類も、重ねたときにきれいに揃い、長期間規格が変わらないので便利だそうです。
本棚の下には、小さな引き出しがたくさんついた収納があります。そこにはハサミやカッター、文房具、電子部品など、細々としたものを分類して収めています。
目指しているのは、生徒が理科室に来たときに「なんだかワクワクする」と感じられ、なおかつ「どこに何があるかすぐわかる」空間です。棚の中身を写真に撮って扉に貼っておくと、さらにわかりやすくなるというアイデアもあるそうです。
「使っているのはたった2割」という法則
経済評論家の勝間和代さんの整理術の本を読んだとき、興味深い指摘に出会いました。片付けがうまくいかない部屋では、愛用している2割のものがボロボロの状態で雑に収納され、使っていない8割のものが新品同様のままきれいに収納されているのだそうです。
これはいわゆる「パレートの法則(2:8の法則)」の一種ともいえる現象です。よく使うものほど手荒に扱われ、逆に出番の少ないものほど大切にしまわれてしまう。考えてみれば、身に覚えのある方も多いのではないでしょうか。
そこで勝間さんは、よく使うものにこそきちんとしたスペースを与え、必要なら買い替えて新品にする一方、活躍していないものは処分するか人に譲ることにした、といいます。
「収納コスト」を計算してみると・・・
勝間さんの本でとくに面白いと感じたのが、収納にかかる「コスト」の考え方です。たとえば、60平米(畳約36枚分)の部屋に家賃15万円を払っているとしましょう。すると、
1日あたりの家賃:約5000円
1平米・1日あたりのコスト:約80円
この数字を1年分に直すと、1平米の場所にものを1年間置いておくだけで、約3万円ものコストがかかっている計算になるのだそうです。使わないものを部屋の一角に置きっぱなしにしておくことは、実は毎年お金を払い続けているのと同じこと。これはなかなか衝撃的な視点ですよね。だからこそ、無駄なものを持ちすぎてはいけない、と勝間さんは説いています。
ちなみに勝間さんは、一気に片付けようとはせず、少しずつ進めていったそうです。まずは手間がかからず効果がすぐ表れる、寝室や洗面所から着手したのだとか。理科の実験でも、いきなり大きな装置に挑むより、小さな検証を積み重ねるほうがうまくいくことが多いものです。片付けにも、同じ考え方が生きているのかもしれません。
デジタル空間の整理と、教師にとっての「余白」
勝間さんの本には、パソコンなどデジタル空間の整理についても書かれていました。デスクトップには基本的にファイルを置かず、書きかけのものなど、直近で使っているファイルだけを置くことを強調されていたのが印象的でした。
また、収納は7割か8割程度の余裕を残しておくことが大切で、それは仕事についても同じなのだそうです。教師をしていると、授業の合間に生徒が急に相談を持ちかけてくることがあります。予定をぎちぎちに詰め込んでいると、そうした大切な瞬間に対応しきれず、断ってしまうことがありました。余裕を持っておかないと、本当に大切な仕事に割く時間を惜しんでしまう。これは反省点です。
整理整頓というのは、単に「きれいにする」ことではなく、いざというときに動ける余白をつくる作業なのだと、あらためて感じさせられました。
この本は1時間ほどで読めてしまう分量ですが、読み終えたあとには、部屋だけでなく時間やお金への向き合い方まで変わってくる、そんな一冊です。ぜひ理科室や自分の部屋の整理とあわせて、手に取ってみてください。
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