ICTで最悪15分授業が遅れる?冷静にICTを見つめていこう

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昨日衝撃的なニュースを目にしました。それがこちらのニュースです。

佐賀県立高パソコン授業の惨状(上) ― トラブル続出で授業は停滞

佐賀県立高パソコン授業の惨状(下) ― 事業失敗 ツケは生徒に

「授業開始と同時にパソコンを立ち上げるよう指示したとしても、すぐに生徒全員のパソコンが揃うわけではない。動きが重かったり、故障であったり、電池が切れていたりとトラブルはつきもの。パソコン自体を忘れてくる生徒もいる。結局、実質的に授業を始めるのは10分か、最悪な時は15分以上も後になる

これらの件については、記事をそのままよんで、そうなのか!それはいかん!と、反応しては行けないと思っています。

現場で実際に指導をしている先生方、または生徒の様子がわからないと良い面も含めて考えていくべきことですよね。

ただぼくが思うのは、現場でのICTの活用のメリット・デメリットの議論と、周りからのICTへの大きな期待に、ズレがあるということです。そんなに劇的に、ICT化で、よくなることはないんです。実際。

タブレットや電子黒板を導入していると、なんとなく先進的な学校とみなされていますし、新たな取組をはじめているというように、外から見ると思うかもしれませんが、

実際はタブレットや電子黒板は問題が山積みの道具で、ただ単に現場に渡したり、生徒にもたせても、うまく使いこなすことは非常に難しいと思っています。

だから生徒全員に渡して準備に15分かかったという話は、非常にリアリティーがあって、妙に納得をしてしまいました。

ちなみに、電子黒板の問題点は、先日私が名古屋でおこなった「もう振り回されない!明日から使えるタブレット活用3つのコツ」というセミナーで、電子黒板のなにがいけないのか?についてまとめて話してきました。こちらも御覧ください。

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電子黒板の何がいけないのか?

ぼくは、

・スケジュール帳をiPhoneでつけはじめると、紙の手帳の便利さに気が付き、紙に戻ったり、

・エクセルを使っていると、電卓のほうが速いことがたくさんあったり、

・電子書籍を専用端末で読むと、紙の本の読みやすさ良さがわかったり、

ということがありました。

デジタルを使いこなしていくと、アナログの便利さ、手軽さ、自由さに気がつくという、
なんとも皮肉なことが起こりました。

これとまったくおなじことが、ICT機器でも起こりえるということです。個人的な感想ですが、ICTを使えば使うほど、

・デジタル教科書を使えば使うほど、紙のほうが便利なことがわかります。

・電子黒板を使うと、逆に黒板とチョークの良さがわかります。

そんなことが起こりました。

ぼくのような個人で実験をあれこれしての失敗なら、逆に失敗から得る物が多いのですが、これが学校で起こると大変なことになる可能性があります。

またやっかいなのが、いろいろな業者がICTで実現可能!
みたいな宣伝をしながら、学校に売り込みに来るため、
ICTならなんでもできてしまうのか!と社会全体が思ってしまわないのか、
そんなことが心配です。

もちろんデジタルが良い面もあって、

ぼくの感覚としては、デジタル教科書はデジタル資料集という感じで、資料集としての使い方は、紙よりも優れていると思っています。

佐賀の事例はデメリットがありつつも、メリットもあるのではと思っています。
現場の人や、とくに生徒がどう思っているのかを聞きたいですね。

デジタルとアナログを融合をさせながら成功へと向かっていくと思っていますが、
佐賀でやってくれている壮大な実験は非常に大切な問題を投げかけてくれているので、

注視していく必要がありますね。佐賀の事例を検証しながら、
ICT化をすすめていこうと思います。

PS 名古屋で活用についての講演をしてきました。ICTをいかにうまく使うのか?という講演です

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