箱の中に箱が!光の魔法CMYウォーターキューブを作ろう!(光の屈折・色の三原色)
手作りCMYウォーターキューブで“色の魔法”を体感!
光と色の単元をどうやって面白く伝えるか、頭を悩ませたことはありませんか?今回は、既製の「CMYキューブ」にヒントを得て、自作した《CMYウォーターキューブ》をご紹介します。美しい色の重なり、光の反射や屈折、そして“色の三原色”のしくみが直感的に理解できる教材として、非常におすすめです。
まずはこちらをご覧ください。これが、私が手作りしたCMYウォーターキューブです。CMYウォーターキューブです。水の中に浮かぶように現れる色と立体――その不思議な見え方に、思わず見入ってしまいます。
「CMYキューブ」とは何か?
このウォーターキューブを作るきっかけになったのが、私のお気に入りの既製品「CMYキューブ」。これは、**色の三原色(C:シアン、M:マゼンタ、Y:イエロー)**の関係や、光の反射や屈折について体験的に学べる教材です。
立方体のそれぞれの面に、イエロー(黄色)、シアン(青緑)、マゼンタ(赤紫)が塗られていて、その箱を眺めてみると、なんと小さな箱が内側に現れると言うものです。amazonでも購入することができます。私が持っているのはこちらの、CMYミキシングキューブ(amazon)です。こちらの動画をご覧ください。
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なぜ小さな箱が浮かび上がるのだろうか?動画の最後に紹介したのですが、ダイソーで売っていた透明なサイコロをよく見てみると、確かにこの中にも小さな箱があるのがわかりました。こんなところに潜んでいたなんて!
こちらの製品、実は歴史がありました。
CMY ミキシングキューブ 1960年代に単純なユークリッドの形を基に色付きのフォームを扱う技術を開発したアメリカ人アーティストVasa Mihichに触発されました。
初め「光の三原色」かなと思いましたが、これは反射光なので「色の三原色」です。色の三原色については詳しくはこちらをご覧ください。https://global.canon/ja/technology/kids/mystery/m_04_04.html
見えている“小さな箱”の正体
なぜキューブの中に、もうひとつ小さな立方体が浮かび上がって見えるのでしょうか?実は、これは各面の色ガラスを通る光の重なりによるものなのです。
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上面に見える黄色は、下面の黄色の反射光。
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左の青色は、奥側のシアン面を通ってきた光。
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ピンク(マゼンタ)も同様に、光が通過して見える色です。
たとえば、レーザーポインターでキューブを照らすと、どの面からどのように光が出てくるかがよりはっきり観察できます。オレンジの部分に当てると、マゼンタの光が通って黄色と混ざっていることが分かる――そんな観察が可能です。
CMYキューブを色々と調べてみると、上の黄色は下面の黄色が浮かび上がったもの、
そして左側の青は、奥の青(シアン)からの光が通ってきたもの、ピンク(マゼンタ)も同様ということがわかりました。
例えばレーザーポインターでピンクの下のオレンジのところを狙ってみると、マゼンタの面から光がやってきているのがわかります。これが黄色と混ざるということになります。
またここのオレンジの面を狙ってみると、下面の黄色のところからも光が反射されてきているようです。
実際に作ってみた「CMYウォーターキューブ」
CMYキューブの仕組みに感動した私は、「自分でも作ってみたい!」と思い、試行錯誤して水を使った《CMYウォーターキューブ》を作りました。ダイソーで手に入れた透明のプラスチックキューブをベースに、内側に色水を封入する形で製作。実験の結果、既製品に近い効果を再現することに成功しました!
まだわからないことがたくさんある、もっと詳しく知りたい!そう思って、水を使ったCMYウォーターキューブを作って実験をすることにしました。そしてできたものが、CMYウォーターキューブです。
作り方
透明ちよがみはダイソーで売られていたものです。
また私はセリアで買いましたが、キューブボックス(1BOX)というものが売られています。これはダイソーでも売っているようです。
ここに透明ちよがみを切って、入れていきました。
これで完成です。水を入れていきましょう。
入れる過程を見ていくと、、、
セロファンで実験してみましたが、、、うまくいかず。
色の透明感を出すためにいろんな材料を試してみました。セロファンは、シアン・マゼンタ・イエローがしっかり再現できず(赤、青、黄)になってしまいました。また水に溶けてしまうことも弱点です。何度かやっているとふにゃふにゃしてきます。
透明ちよがみがやはり適していると思われます。
探究する面白さ、楽しさ!
五円玉を色々な場所に置いてみました。どう見えるのでしょうか。手前に置くと、、、
奥におくと、、、
五円玉が浮かび上がっているのがよくわかります。一枚ずつ入れてみると、また不思議な様子が浮かび上がってきます。
全部入れてみると…
このような台紙を用意して、色鉛筆で色を重ねていくと…
ある程度、再現することができました。

色鉛筆で塗ってみると、、、使ったのは水色・ピンク・青です。
色の三原色であることがわかります。次に1枚ずつシートを入れて、番号をつけて観察しました。
1つずつ見ていくと、、、
「2」番が浮かび上がり、その像がそれぞれの面に反射をしていることがわかります。また下の方に半分に縮まったような像が見られます。V字の白の部分がどこからきているのかが気になります。
青のものは、3の部分が手前に来ていることがわかります。4の部分ではないのですね。また白い部分がどこから来ているのかがやはり気になります。
赤も青と同様ですね。全て入れてみると…
「COPIC sketch」を使った方法
これは生徒が考えた方法です。「COPIC sketch」というペンを使って色を表現することで、鮮やかな色合いを再現することに成功!これを使った水槽型キューブが見事完成しました。こちらが水を入れる前です。
水を入れるとこのようになります。
入れる前と入れた後の比較です。
透明な水に色が映える様子は本当に綺麗で、つい見入ってしまいます。
COPIC sketch Y06 https://amzn.to/3Oylgvt イエロー
COPIC sketch B16 https://amzn.to/3AVGj8h シアン
COPIC sketch RV17 https://amzn.to/4gfRE1X マゼンタ
CMYキューブは、「色って不思議!」「光って面白い!」という感覚を生徒にダイレクトに伝えることができる優れた教材です。そして、既製品をただ使うだけでなく、自作する過程そのものが科学的探究活動になります。
「なぜこの色になるんだろう?」「もっと工夫したらどうなる?」
そんな問いが生まれる、素敵な理科の時間にぜひ活用してみてください。合わせてこちらの記事もご覧ください。
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