50分の時間内に成功させる!唾液とデンプン反応実験の極意(Y先生の工夫の数々を紹介!)

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

中学2年生の消化に関する単元で登場する、「唾液がデンプンにどう反応するのか」を確かめる実験。やってみるとわかるのですが、これがなかなかに忙しいんです。あれもこれもやらなきゃいけないし、グループで協力しないと本当に時間が足りなくなる。

そんな中、先輩のY先生からこの実験の進め方について詳しく教わる機会がありました。

そこには、Y先生の経験からくる、授業時間内にきちんと結果を出すための工夫がびっしり。実際にやってみたところ、生徒たちは「本当に色が変わった!」と驚き、しっかりと消化酵素の働きを実感してくれました。ここでは、その工夫の数々を、授業準備の手順とともに紹介します。

準備するもの

・紙コップ(人数分)、試験管(班人数+2本)、ビーカー、試験管立て、試験管ばさみ(1本)、加熱器具、沸騰石、チューブののりを溶かしたデンプン溶液(直前に用意すること 50mL用意する)、試薬(ヨウ素液、ベネジクト液)

チューブのりを水に溶かしておきます。実験の直前に行うことが必要です。1クラス分を作るためには、300mLのビーカーに320mLくらいデンプンを溶かした水を用意しましょう。

300mLビーカーにこれくらい入れて

水を入れてかき混ぜます。

これを各班に配るように、100mLビーカーに40mLくらいデンプン溶液を入れておきます(班の数用意)。

また紙コップ(90mLの小さなもの)に水を1/4くらいいれておきましょう(生徒の数分必要です)。それでは実験の開始です。

実験手順

1 各自の試験管(生徒一人一人)に、5mLくらいデンプン溶液を入れます。ここではピペットで測らずに、指2.5本分と指示をすると良いいでしょう。洗い物も少なくなるコツです。

2 生徒一人一人が紙コップの水を口に入れて、口に含み、そのまま1分待ち、だ液と混ざった水をコップに戻します。生徒は汚いとかいうかもしれませんが、口の中ってとっても綺麗なんだよ〜みたいな声かけをしましょう。また全員がやるとすれば、あまり生徒も恥ずかしがったりはしません。

さらに唾液を2mL入れます。ここでもピペットで測らずに、入れる量としては、指0.5本分くらいなので、デンプン溶液とあわせて指3本になるように入れると指示を出します。紙コップを少し折り曲げた入りすると、そのまま入れることができます。その後、紙コップに残った唾液入りの溶液は捨てる。なおここで注意点!あとで紙コップを使うので、捨てさせないということです。

色テープ付きの試験管を使って班員の数、4人なら4本ができました。生徒には自分の唾液の色テープの色を覚えておきましょうと指示を出します。

3 対象実験用に、5mLのデンプン溶液を入れた試験管(色なし)に水を2mL入れたのものを班で1本用意する。1本だけで大丈夫です。合わせて5本できました。


4 ②(唾液入り)と③(唾液なし)の試験管5本(4人班の場合、各生徒1本ずつと、対照実験の1本)を、40度くらいのお湯にいれて(教師が班の数を用意)、10分間入れておきます。温度が絶妙なのですが、ガス給湯器を使うと楽に準備することができます。

10分の待ち時間が発生します。ここまでを説明しておいて、やってみて、この10分間で次の⑤以降の作業を説明するといいでしょう。とにかくこの実験は時間との戦いです。

4 一人一人が唾液の入った試験管から、溶液の半分を、紙コップに戻します。紙コップの再登場となります。

6 対象実験用の試験管の半分を、もう一つの試験管(色なし)に入れます。するとこの様になります。

自分の色の唾液入り澱粉溶液が4人半だと4本、またそれを紙コップに写したものが4個、さらに対照実験用の、デンプン溶液を分けたので、無地の試験管が2本という形です。

7 紙コップに入った唾液入りデンプン溶液と、対照実験用のデンプン溶液に、ヨウ素液をたらしてみましょう。

唾液入りの方は反応なし、唾液なしの方は反応しました。ということは唾液を入れたことによって、デンプンが検出されなくなったということがわかります。

8 次に唾液+デンプン溶液の試験管と、デンプン溶液のみ試験管1本について、ベネジクト液を少量(3〜4滴。色がわかる程度)入れて、沸騰席2・3粒を入れます。試験管の周りを必ず拭いておく(割れるのを防ぐ)のを忘れずに。試験管ばさみを使って熱して、色の変化を観察する。

なおベネジクト液は、還元糖に反応します。還元糖とは、加熱するとベネジクト液中の銅イオン(ブルーの元になっている)を還元できる糖のことです。代表的な還元糖は、・ブドウ糖(グルコース)・果糖(フルクトース)・麦芽糖(マルトース)・乳糖(ラクトース) などです。なお、・ショ糖(砂糖)・デンプン には通常反応しません。

ベネジクト液は加熱することが必要なので、加熱をしていきます。色はどうなるでしょうか。

※ 熱する時の注意

突沸がおこり、熱湯が飛び出すことがあるので、口を誰もいない方向に向けて熱すること。こちらに沸騰石をいれないで加熱した場合どうなるか?ということを動画で撮影しました。なお沸騰石をいれたとしても熱湯が飛び出ることはあります。ご注意ください。

熱していくと

このように色が変化していきます。左側はデンプン+水の場合(銅イオンが還元されずそのままです)、右側はデンプン+唾液の場合です(銅イオンが還元されて、銅に戻ったのか、茶色になりました)。

ある班のものを写させてもらいました。各生徒の唾液の結果が左から4本目まで。右側が対照実験の試験管です。唾液入りのものについては、濃さは違えどオレンジ色になっています。

ベネジクト液が反応したということは、還元糖が検出されたということです。つまり澱粉がなくなっていましたが、その代わりに分解されて別の還元糖になったと考えられます。

この実験は、「消化酵素=目に見えないけれど確かな変化をもたらす存在」ということを体感的に学べるとてもいい題材です。ただ、段取り次第で成功率も、授業の満足度も大きく変わります。Y先生から学んだ工夫はどれも生徒理解に直結するもので、今後もぜひ継続して取り入れていきたいと思いました。

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