曇りの日でも成功!オオカナダモ・イヌムギを使った光合成実験の準備から手順まで(光合成で使われる気体)

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

水の色がじわじわと変わる瞬間、生徒たちの目が輝きます。「あ、変わった!」——その一言のために、理科の実験はあります。今回は、中学理科の定番である「オオカナダモとBTB液による光合成の観察」を実際に授業で成功させるための工夫と準備のポイントをまとめました。シンプルに見えるこの実験、実は準備次第で結果が大きく変わります。

実験の準備

・オオカナダモ(元気なものを用意) ・BTB溶液(薄めずそのまま使えるものがおすすめ) ・ビーカー ・試験管 4本(ア~エ) ・アルミホイル ・植物育成用LEDライト(できれば高出力) ・暗室または遮光できる箱

事前準備

オオカナダモを前日から暗室に置いておきます(前処理なしだと、もともと光合成が進んでいる可能性があるため)。BTB液を準備し、使いやすいようにスポイトやピペットも用意しておきましょう。また、ライトの位置や強さをテストしておくことも大切です(市販ライトだと時間がかかる場合があります)。

実験手順

ビーカーにBTB液を2〜3滴入れ、水道水を加えます。ストローなどで息を吹き込み、BTB液を黄色にします。

青色から

黄色に変化

呼気(吐いた息)の中には二酸化炭素が含まれており、それが水に溶けると炭酸になって液体が酸性に傾き、BTB液が黄色くなります。黄色くなったBTB液を4本の試験管(ア〜エ)に分けて入れます。

  • 試験管ア:BTB液+オオカナダモ
  • 試験管イ:BTB液のみ(オオカナダモなし)
  • 試験管ウ:BTB液+オオカナダモ+アルミホイルで遮光
  • 試験管エ:BTB液のみ+アルミホイルで遮光

左から試験管ア・イ・ウ・エとします。

日光または植物育成ライトで20分程度照射します。曇天時はライトで代用できますが、効果がやや弱いので長めに照射しましょう。

2時間後にに色の変化を観察します。

実験結果とポイント

最初の30分ではほとんど変化が見られませんでした。植物ライトの出力がやや弱かったため、そのまま2時間照射を続けました。すると試験管ア(オオカナダモ入り)だけが青緑色に変化しました!

青緑色になったのは、光合成によって水中の二酸化炭素が吸収され、液体がアルカリ性に傾いた証拠です。BTB液はアルカリ性で青、中性で緑、酸性で黄色と変化する試薬。この色の変化は、植物が実際に二酸化炭素を取り込んだことをそのまま「見える化」してくれているのです。

こちらが光を当てる前の様子です。

光を当てて30分経ったらこんな感じ。なんと植物の周りだけ青色になっていて感動しました。

植物に光を当てて3時間後。全体的に青色になりました。

また、オオカナダモの葉の周りには小さな気泡が確認できました。

この気泡は光合成によって発生した酸素です。

植物が二酸化炭素と水を使い、光のエネルギーで糖と酸素をつくる。その反応がまさに目の前で起きていたわけです。私たちが毎日吸っている空気中の酸素も、地球上の植物たちが何億年もかけてつくり続けてきたものだと思うと、この小さな気泡がなんだか感慨深く見えてきませんか。

それでは開けてみましょう。

左から青、緑、黄色、緑となりました。何も入れなかった(イ)と、アルミホイルで遮光した試験管(エ)は変化なし。また(ウ)は黄色になって、酸性度が増しています。これは呼吸と関係がありそうですね。

これらの結果から、光がなければ光合成は進まないという事実も、この実験はきちんと示してくれました。条件をひとつだけ変えて比較する「対照実験」の考え方を、色の変化という視覚的なかたちで実感できるのが、この実験の大きな魅力です。

実験を成功させるためのコツまとめ

  • BTB液はやや濃いめ(教科書例よりも)にしておくと、色変化がわかりやすくなります。
  • 曇りの日用に、強めの植物育成ライトを用意しておきましょう。

次に、BTBではなく石灰水を使った場合についても紹介します。

試験管に呼気を20秒ほど吹き込んだものを4本用意し、AとCには屋外で採取したイヌムギの葉を入れ、BとDはそのままに。CとDにはアルミ箔を被せて遮光しました。これを太陽の下で20分間置いた後に観察しました。石灰水は二酸化炭素と反応して白く濁る性質があります。つまり、光合成が進んで二酸化炭素が吸収されれば、濁りが薄くなるはずです。左からA・B・C・Dです。


イヌムギが入っていると見にくいので、取り出してみました。

左側(A)の濁りが薄く、右の3本は濁っている様子がわかります。写真ではCの差がやや伝わりにくいですが、Cが一番濃く濁っていました。大日本図書の教科書『理科の世界2』では、実験結果の例として次のように示されています。

『理科の世界2』(大日本図書)(令和3年2月1日) P100 より引用

教科書の結果例ではCがもっと濁るはずなのですが、今回はやや差が小さかったようです。

BTB液と石灰水、2種類の指示薬を使って比べてみると、光合成の証拠をより多角的に確認できてとても面白いです。二つの実験をやることには、いくつかしっかりとしたメリットがあります。

1. 二酸化炭素の「減少」を2種類の方法で確認できる

BTB液は色の変化(黄色→青緑)で、石灰水は濁りの変化(白濁→透明)で、それぞれ二酸化炭素の減少を示します。同じ現象を異なる指示薬で確認することで、「どちらか一方がたまたまそうなった」ではなく、「これは確かな事実だ」という科学的な確信につながります。これは科学の基本姿勢である「再現性・多角的な検証」を自然に学べる機会になります。

2. 視覚的なインパクトが違うので、生徒の印象に残りやすい

色が変わるBTB液と、液体が透明になっていく石灰水では、見た目の変化のタイプがまったく異なります。どちらかひとつだけよりも、「2種類とも変化した!」という体験のほうが記憶に残りやすく、理科への興味を引き出す効果も高まります。

3. 条件や植物の種類を変えた比較実験に発展させやすい

今回の記事でも、BTB液にはオオカナダモ、石灰水にはイヌムギと異なる植物を使っています。指示薬と植物の組み合わせを変えることで、「植物の種類によって光合成の活発さは違うのか?」といった発展的な問いにつなげることもできます。

まとめると、両方やることは「同じ現象をより確かに、より深く、より面白く理解する」ための有効な手段といえます。授業の時間に余裕があれば、ぜひ両方体験させてあげるといいと思います。この実験は「呼吸と光合成の違い」「光の必要性」「条件制御」を一度に実感できる、中学理科の中でも特に充実した教材のひとつです。準備をしっかり整えて、ぜひ生徒たちと一緒に色の変化に驚いてみてください!

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