宝石のように出現!硝酸カリウムと塩の「再結晶」で温度のヒミツを解き明かす

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

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 生活の中で「結晶」を意識することはありますか? 実は、身近なところにも結晶は存在しています。例えば、冬の朝に窓ガラスにできる霜、雪の結晶、そして食卓にある砂糖や塩の粒も小さな結晶です。でも、これらがどうやってできるのか、じっくり考えたことがある人は少ないかもしれません。

今回紹介する「再結晶」の実験は、中学1年生の化学分野で扱われる内容で、身の回りではあまり意識しない結晶を自分の手で作り出すというワクワクするものです。特に、硝酸カリウムや塩化ナトリウムを使って結晶を取り出す方法を学びます。この実験を通じて、溶解度や温度の影響を体感しながら、物質の性質についての理解を深めることができます。さっそくその方法について見ていきましょう!

実験手順

⓪ 事前準備

塩化ナトリウムと硝酸カリウムを3gずつを薬包紙に入れておきます。この作業は結構大変。たとえばあるクラスに包んでもらったり、助手の先生がいる場合は、お願いをしましょう。なお薬包紙の折り方については、こちらにを参考にしました。生徒にも薬剤師のおすすめの方法だというと、一生懸命やってくれます。(生徒と一緒に作るための、説明用スライド

例えば8班編成で、4クラスある場合は、それぞれ32袋ずつ作る必要があります。子供もに作らせるのも良いかなと思います。

図の引用:薬剤師物語 http://www.yunofumi.net/t5.html

① 試験管の中で溶かす

試験管に食塩3g(赤ラベルの付けた試験管)と硝酸カリウム3g(青ラベルをつけた試験管)を入れます。

ピペットを使って5mLの水を加えて軽くふります(1つ100mLのビーカーを持って行ってもらいます9。この際に、溶け切らないことを確認させましょう。また試験管の振り方の指導などにもいいかなと思います。なおピペットで5mLをうまく生徒が取れない生徒がいます。ここでピペットの持ち方や使い方について、事前に指導をしておく必要があります。

 大きめのビーカーにお湯(給湯器があれば80度程度)を入れたものを用意して、そこに2本の試験管を入れて、温めて、様子を見ながらよく振って、戻したりします。すると、青ラベルをつけた硝酸カリウムは完全に溶けますが、赤ラベルの塩化ナトリウムの方は溶けません。

硝酸カリウムは全て溶けていきます。

 手際が悪い班は、お湯が冷めてしまってうまく全部が解けない班がありました。もう一度熱湯を入れてあげましたが、この実験は50分丸々使うので、注意が必要です。

青ラベルの硝酸カリウムが全て溶けたら、食塩の方は時間が経っても溶けないので、食塩水の方は、上澄み液(溶けている部分)を約2mL、ピペットを使って緑色のラベルのついた別の試験管に移します

② 水溶液を冷やして様子を観察する

次にビーカーのお湯を捨てて、そこに水を入れて、2本の試験管を入れて冷やしてみます。すると…硝酸カリウムの方は溶質(固体の成分)が結晶となって現れてきます!

硝酸カリウムの結晶の様子

塩化ナトリウムは出てきません。

③ 青ラベルの硝酸カリウムの試験管について、ろ過して、顕微鏡等で観察する。

 硝酸カリウムの方はろ紙でろ過を行い、固体を取り出します。試験管を逆さまにしても結晶が落ちないので、蒸留水を試験管に入れて軽くふって流すと、落ちてきます。濾紙に残った個体について、薬匙を使って、スライドガラスの上にのせておき観察します。2つの資料を作りましょう。

拡大

スライドガラスに乗せて顕微鏡で見てみると(硝酸カリウム)

硝酸カリウムの方も濾紙から結晶を薬さじで取り出して、顕微鏡で見てみましょう。肉眼でも驚くほど繊細な結晶の様子を観察することができます。美しい!につきます。針状の結晶が見えますね。

④ 食塩水の方は、蒸発皿に入れて水分を全て飛ばす

食塩水の方は、ピペットで蒸発皿にとって、ガスバーナーで水分を飛ばして残った溶質を観察します。

この際に熱していくと、塩が飛び散ることがあるので注意が必要です。保護メガネをしっかりさせましょう。最終的にはこのようになります。

薬さじで採取し、ルーペや顕微鏡で覗いてみましょう。顕微鏡で見ると、食塩は結晶がほとんど見えません。

顕微鏡で観察する

この方法だと塩の大きめの結晶は見えません。

時間をかけて蒸発させる方法

そこでスライドガラスに食塩水を垂らして、自然乾燥させて、結晶を観察します。時間がない場合は事前に各班2枚のプレパラートを用意しておくといいと思います。

塩化ナトリウム

硝酸カリウム

塩化ナトリウムの観察

正方形の構造が肉眼でも観察できます。顕微鏡でも見てみました。

拡大してみると…

 

同様に、硝酸カリウムも天日干しをしました。それがこちらです。

硝酸カリウムの観察

 再結晶の実験は、目に見えない溶質が再び固体として現れる瞬間を体験できる、とってもワクワクする実験です。生徒が自分の手で結晶を作ることで、科学の不思議さを身近に感じられるはず。もし結晶をもっと大きく育てたい!と思ったら、次のステップとして、結晶を育てて大きくする方法にもチャレンジさせてみるのも面白いですね。

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なお、こちらは以前の勤務校の科学部の生徒が作った結晶です。

また塩化アンモニウムの結晶の様子もおすすめです。こちらからご覧ください。

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