試験管に雪を降らせよう!おうちで楽しむキラキラ結晶クリスマス(再結晶実験)

サイエンストレーナーの桑子研です。毎日が実験。

街がイルミネーションで輝き、心が躍るクリスマスシーズン!窓ガラスについた霜の模様や、キラキラと舞う雪の結晶を、美しいと感じたことはありませんか?

もし、そんな冬の魔法のような景色を、試験管の中に作り出せるとしたら…?今日は、クリスマスにぴったりの、美しく、そして心温まる科学実験をご紹介します。主役は「塩化アンモニウム」という、まるで雪のような結晶を生み出す不思議な粉です。

おうちで育てる、雪の結晶?クリスマス実験に挑戦!

さあ、あなただけの「スノードーム」を作る実験を始めましょう!準備はとても簡単です。

まるで魔法の薬を作るように、温かいお湯(約70℃)40mLに、塩化アンモニウム20gをそっと加えて、すべてが溶けて透明になるまでよくかき混ぜます。この「魔法の水」を試験管などのガラス容器に注ぎ、あとは静かに冷えるのを待つだけ。これだけで、試験管2本分の美しい冬景色が楽しめます。

一体どんな景色が見られるのでしょうか?こちらの動画をご覧ください。静かな試験管の中で、まるで生きているかのように結晶が育っていく様子は、時間を忘れて見入ってしまいますよ。

なぜ「雪」が降るの?再結晶のふしぎ

なぜ、ただ冷やすだけでこんなに美しい結晶が現れるのでしょうか?それは「再結晶」という現象で、冬に雪が降る仕組みとよく似ています。

温かいお湯は、たくさんの塩化アンモニウムを溶かすことができます。例えるなら、「満員電車」のような状態です。しかし、溶液が冷えてくると、お湯はもうたくさんの塩化アンモニウムを抱えきれなくなり、「電車から降りてください!」と外に押し出します。

行き場を失った塩化アンモニウムの粒たちは、お互いに手を取り合って集まり、規則正しく並び始めます。これが、キラキラと輝く「結晶」の正体なのです。空から雪が降るのも、空気中の水蒸気が冷やされて小さな氷の結晶となって集まるから。試験管の中の出来事は、壮大な自然現象のミニチュア版なんですね。

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もっとたくさん作りたい、違う形にしてみたい、と思ったらナリカさんのサイトも見てみてください。分量を変えると結晶の育ち方も変わるので、あなただけのオリジナル結晶をデザインするのも楽しいですよ!

ミクロの世界のクリスマスツリー

この結晶を顕微鏡でのぞいてみると、さらに驚きの世界が待っています。

まるで鳥の羽やシダの葉のように、枝分かれした美しい形が見えませんか?これは「樹枝状結晶(デンドライト)」とよばれるもので、雪の結晶が持つ美しい六角形や、冬の窓ガラスにできる霜の模様と同じ仲間です。ミクロの世界に隠された、自然のクリスマスツリーのようですね。

宝石だって作れる!結晶の世界はもっと広い

結晶作りは塩化アンモニウムだけではありません。例えば「ミョウバン」を使えば、まるで宝石のような、カクカクとした大きな結晶を育てることもできます。
科学部の生徒さんが作ったという、この見事なミョウバンの結晶を見てください!

物質によって結晶の形が違うのは、粒たちの個性(分子の形)や、並び方のクセが違うから。他にも、動画で様々な物質の再結晶を見てみましょう。

▼硝酸カリウムの再結晶(針のような結晶が美しい!)

▼ヨウ化鉛の再結晶(黄金色の雪が舞うようにキラキラ!)

▼ミョウバンの再結晶(正八面体の宝石が育つ様子)

いかがでしたか?科学の目で見ると、クリスマスはもっと不思議で、もっと美しく見えてきます。今年の冬は、暖かいお部屋で、あなただけの小さな冬の奇跡を咲かせてみませんか?

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